チュウ厨 ー オトゥアの源流 ー
以前、クセになると書いた「オトゥア」だが、このほど、めでたく原因が判明した。それは、テレビでオリンピックのサッカー観戦をしているときに聞こえてきた「オチョア」という選手の名前がきっかけだった。オチョアはメキシコ代表のゴールキーパーで、ギジェルモ・オチョアと言う。
はじめ「オチョア」と聞いたとき、なぜかファーストネームが「アレックス」の、アレックス・オチョアが思い浮かんだのだが、それは別の有名人で、日米で活躍した元プロ野球選手であった。
サッカーをきっかけに、期せずして二人のオチョアに遭遇することとなったわけだが、この響きが頭に残っていて、オイラは「オトゥア」に反応していたのである。
試しに、
オトゥア、オチョア、オトゥア、オチョア、オトゥア、オトゥア、オチョア、オチョア、オトゥア、オチョア、オチョア、オトゥア、オトゥア・・・。
こんなふうに2行ほど書いてみると、もうどっちでもいいくらい同じに見えてくる。
声に出してみると、「オ」と「ア」に挟まれた、「トゥ」と「チョ」の部分だけ、唇や顎《あご》への力の入り方が違う。この違いが好みを分けるのかもしれない。「トゥ」のときに感じる筋肉の動きと、「チョ」のときに感じる筋肉の動きの、どちらを好むか、好まないかということである。
「そんなこと聞かれても困るよ」と言われそうだが、みんなはどちらがお好みだろう?
オイラはやっぱり「トゥ」なわけだが。これは完全に好みの話で、ほんとうに「いい」「わるい」という意味を込めてはいないので、誤解しないでほしい。
では、なぜそのような好みにいたったのかという説明をしよう。
まず思い当たるのは、「チョ」には、「◯◯チョ~ップ」とか「先生にチョーク当てられた~」などと、痛いものを想起させられるということである。また、キムタクの「ちょ、待てよ!」のイメージが染みついているせいかもしれないが、やはり音が鋭いというのがちょっと苦手ポイントだ。脳みそに刺さる感じがする。
翻って(この言い方、なんか大人っぽい)、「トゥ」は、「トゥモロウ」とか「トゥクトゥク」などと、明日へ向かうことを想起させてくれる。また、オードリー春日の「トゥース」のイメージが強い、ということでもないが、やはり「チョ」に比べて、音がややマイルドであるというのも好感ポイントだ。脳みそに刺さるような響きが無いのもいい。
しかし、見落としていた最大の好感ポイントが別のところにあった。それは、「トゥ」の唇の形が、「チュウ」の唇の形にそっくりなことである。つまり、筋肉の動きがそっくりということだ。「チュウ」のほうが唇を大きく突き出す感じがするが、「トゥ」はあまり突き出す感じがしない。要するに、「トゥ」は、控えめな「チュウ」なのだ。そんな奥ゆかしいところも、好ましい。
結論が致命的に恥ずかしいのだが、「オトゥア」がクセになった理由は、「チュウ」と言うときの唇の筋肉の動きを、オイラが無意識に思い出していたからではないだろうか。いま、大事なことをボカシて書いたような気がするので、もう一度、言い直す。
「チュウ」と言うときの唇の筋肉の動きは、母乳を吸うときの唇の筋肉の動きとほぼ同じである。また、初心者が「チュー」をするときの唇の筋肉の動きとほぼ同じである。
なんとまぁ。
しかしなぁ、この原稿を書いてるときのオイラの顔ったらないよなぁ。いい歳したおじさんが唇を尖らせて、「チュウ」とか「トゥ」とかさぁ。何回やってるのって話。まぁ、それはこの原稿を読んでいるみんなも、おんなじなわけで・・・。
そろそろクセになってくる頃。
Ⓒ2021 Namio Kotori
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