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逃避行

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グロテスクな現実世界からしばしのお暇。
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星の香りを味わって

星の香りを味わって

山を登る。
登って登って急カーブをグルンと回って、さらに登る。
車が揺れるたび、ズキンと波打つ血液たち。

空気がどんどん澄んでいって、車から降りた頃にはもう私がいつも吸ってる空気とはだいぶ違っていた。
なんだかまろやかで甘い感じ。
ケーキ屋さんに並んでいてもおかしくないくらい。
¥280 八女のくうき
みたいな。
目の窪みに溜まった黒い鉛が、少し軽くなるような。

そう、私は八女の星野村に来てい

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美しい彼らの応援に行く

美しい彼らの応援に行く

映画館で映画を観る時に、映画が始まる前に「上映中は静かに」とテロップがでる。

そりゃそうだ。
せっかく映画の世界に没入してるのに、ぺちゃくちゃと横でしゃべられたら気が散って仕方がない。
2000円近く払って、内容が理解できないとまでは言わないまでも、100パーセント楽しむことができなかったとなれば、それはせっかくの映画体験が台無しである。

だから私も映画を観る時は、極力静かに観ている。

ただ

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ピンクの試練

ピンクの試練

5月20日から5月21日はPayPayドームにて、“ピンクフルデー“が開催されている。

文字通り、この日はPayPayドーム内のありとあらゆるものがピンク色に染まる。
食べ物、飲み物は当たり前で、選手が着るユニフォームもダイアモンドのベースも、ひいてはコカコーラシートのヘルメットまで、全てがピンク色だった。

それでそんなピンクフルデーでは、そのピンクに染め上がったピンクユニが来場者全員にプレゼ

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軽トラ爆走するなり〜

軽トラ爆走するなり〜

その日、高速道路を爆走する一台の軽トラがあった。

中には若い女性が2人。

福岡ソフトバンクホークスのユニフォームをきた2人の女性が、ノリノリではしゃいでいる。

軽トラで。

妹が走らせる軽トラは80キロで一生懸命爆走してるわけだけど、その横を軽自動車やら、普通車やらが猛スピードで追い越していく。

追い越していく車の中から、驚きの表情が容赦なく投げかけられる。

高速道路を走る軽トラなんて、

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下手くそにも程がある

下手くそにも程がある

久しぶりに母と妹と3人で一緒に休日を過ごした。
もうあれから4日も経つ。
朝早起きして、その反動で妙に高いテンションを引っ提げて、8:00からの映画を見た。

2時間後、映画の感想をどうだ、ああだと話しながら、何となく体を動かそうとボーリング場へ向かう。

ボーリングなんて久々だ。
だから3人とも、実力なんてほぼ一緒。
母がガーターを出せば、私もガーターを出すし、私がスペアを出せば、妹もとるし。

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春が口の中に舞い込んで

春が口の中に舞い込んで

春の陽気に誘われて、母と一緒に自転車で走る。

まずは、食料の確保。
スーパーでお弁当と、飲み物を購入。

さあ、目的地まで走る、走る。

途中、コインランドリーから洗剤の匂いがフワッと鼻腔に触れる。
洗い立ての純粋な匂いは、お日様の匂い。

暖かい日差しに背中を押され、また走る。

やっと着いたのは、流川。
もうところどころ葉桜になっていたけど、まだまだほんのりピンクの桜の花が、穏やかに迎えてく

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サウナの世界の小人

サウナの世界の小人

約1年ぶりくらいのサウナラボ。
今日は妹と一緒。
サウナの住人の制服に着替えて、サウナの世界の小人になる。

80℃の室内、最初の5分は我慢。

徐々に身体中からサラサラの汗が流れ、毛穴から老廃物がするする出てくれば、だんだん心地も良くなる。

こんなに汗だくになると、高校生の時真夏のグラウンドでマーチングの練習をしたのを思い出す。

誰よりも下手くそで、誰よりも練習が嫌いだった。
皆んなに追い越

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優雅なアフタヌーンティー〜カービーを連れて〜

優雅なアフタヌーンティー〜カービーを連れて〜

カービー好きの先生の勧めで、カービーカフェに行ってみた。

「予約しないと入れないですよ」
なんて言われて、1ヶ月前から予約。
期待はたっぷり。

入り口からカービーが可愛く迎えてくれる。
まんまるなフォルムと、キュルンキュルンのお目目がとってもキュート。

中に入ると、至る所にカービーとその仲間たちがキャッキャとはしゃいでいて、それだけで楽しい気持ち。

店員さんの説明を聞きながら、メニューを見

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蝋燭の火に照らされる

蝋燭の火に照らされる

妹が丁度「ロウソクが買いたい」と言っていたので、叙情詩に向かう。

このお店、夕方から深夜にだけ開店している……カフェ?……蝋燭屋さん?

お店のジャンルが未だに分からない。

コーヒーと音楽と灯りを哲学する店

というのが公式の紹介文。
“夜の隣人“というコンセプトの不思議なお店。

そういえば、この間読んだ“流浪の月“に出てくる佐伯文が経営していたカフェも、夜にだけ開いてコーヒーを出してくれる

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荒れた肌に微笑むのは

荒れた肌に微笑むのは

この間行ったマルシェにまたまたお邪魔した。
もちろん妹も一緒に。
今日はお目当てのものがあるらしい。
なんでも化学薬品を使ってない自然派の洗剤が来るという。

30分くらい軽トラに揺られてついた会場では、ゴスペル隊がちょうど歌を歌っていた。
今日もたくさんのお店が出店していて、新鮮な野菜やら果物が並んでいた。
食べても罪悪感もないガトーショコラが売っていたから、それはすぐに購入した。

少し奥に行

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童心に帰って星空を眺める

童心に帰って星空を眺める

科学館にいくなんて、もう何年振りだろう。
最後に行ったのは、まだ子供の時だった気がする。

そんな科学館に何をしにいくのかといえば、星を見にいくのだ。

プラネタリウム。
あぁ、あの星座早見表をみながらあれが山羊座だ、蟹座だとはしゃいでいた頃が懐かしい。

今回見に来た「星の数ほど」と題された上映作品は、なんでもここ最近あった天体ショーを振り返りながら、日々の疲れを癒していくというのがコンセプトら

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零れかけた秋を求めて

零れかけた秋を求めて

気づいたら、もう冬が目の前に来ていて
秋を見失いかけていた。

だから、急がなきゃ。
手から秋が零れる前に。

急がなきゃ。
もう二度と会えなくなる前に。

そう思って来たのが楽水園。
趣のある日本庭園の中には、まだ綺麗な姿の秋が残っていて、厳かに私を出迎えてくれた。

そよそよと風が吹く。

遅いよ。
良いじゃない、間に合ったんだから。

都会の中の、静かな自然の中で
私は思いっきり深呼吸をする

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心を満たすのは、いつだって買い物

心を満たすのは、いつだって買い物

天神地下街で見つけたお洒落なお店。
植物と食物。
自然派のお店で「野山畑からのいただきもので仕立てるスワッグやリース、自家製焼き菓子のお店」なんだそう。
福岡の中心地に、ポツンと角にできた新しいこのお店は、どこか故郷の良き空気を思い出すようなそんな長閑で、懐かしい雰囲気があった。

まぁ、私普段ど田舎に住んでるんですけど。
田舎を出たい出たいと思って、いざ都会に出たってのに、同郷の香りがした途端ど

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初めてのマルシェ

初めてのマルシェ

妹からマルシェに行こうと誘われ、
私としては朝早起きしてアグサマルシェに姉妹で向かった。
着いてみると新鮮や野菜や果物はもちろん、スープやカレーも売ってあった。
どれもオーガニックを売りにしているらしい。
中でも妹に是非とおすすめされたオーガニックピザ。
生地はもちろん具材も全てオーガニックなんだと。
ハーフアンドハーフが出来たので、しらすのピザと4種のチーズのピザを頼んだ。
焼き上がるまで、マル

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