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童心に帰って星空を眺める


科学館にいくなんて、もう何年振りだろう。
最後に行ったのは、まだ子供の時だった気がする。

そんな科学館に何をしにいくのかといえば、星を見にいくのだ。

プラネタリウム。
あぁ、あの星座早見表をみながらあれが山羊座だ、蟹座だとはしゃいでいた頃が懐かしい。

今回見に来た「星の数ほど」と題された上映作品は、なんでもここ最近あった天体ショーを振り返りながら、日々の疲れを癒していくというのがコンセプトらしい。
おすすめの欄に、仕事で疲れたあなたにとあって、即座に足を運ぶことを決定した。

科学館に着く。
夢見る少年少女はもう家に帰っている頃だろうか。
シアターの前には、もう大人しかいなかった。

中に入ってしばらくすると、ようやく目の前に夜空が広がった。
駒田さんの優しくも落ち着くナレーションで物語は始まっていった。

目の前にあの日見た皆既日食や、獅子座流星群が再び現れ、無邪気にはしゃいでワクワク心躍らせた頃の私がこっそり戻って来た。

そうだ。
私もあの時、家族であの星を見たんだ。 
テレビで何十年に一度のビッグチャンスという言葉を聞きつけ、目を輝かせ、周りを巻き込み祭りごとのように興奮した。
何にも追われることはなく、ただ純粋に目の前の美しい現象に心奪われた日が、確かにあった。

でも、そんな事とうの昔に忘れていた。
星空だって、もう見上げることなんかなかった。
夜になれば、「あ、こんな時間か」なんてそそくさと仕事を終わらせることしか頭にはなくて、ニュースで流れる天体ショーの予告だって、ただの日常の中の雑音と化していた。

虚しくも、こうやって人は大人になってしまう。

そんなことを思ってると、こんな声が聞こえた。


夜空に輝くオリオン座を、いとも簡単に見つけられるようになったのはいつだろう?
「星の数ほど」より引用

誰に教えられたわけでもないのに、いつのまにか見つけることが出来るようになったオリオン座。

冬になれば夜空に浮かび、私はそんなオリオン座を、今でも無意識のうちにすぐに見つけ出す。

子供の頃に夜空に見ていたオリオン座も、今私が見ているオリオン座も変わらずそこにある。
満点の星空は私がずっとずっと成長しても、変わらず静かに見守ってくれている。

もしまた今の生活に疲れた時は、夜空を見上げてみよう。

きっと、静かに輝くオリオン座が、少しだけだけ時を止めてくれるはずだから。

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