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体幹・コアトレーニング

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体幹・コアトレーニングについて生理学的、解剖学的に記事にしています。
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#トレーニング

機能的動作と自重トレーニングの利点(ほとんどの自重エクササイズは、多関節を用いて固定した身体部位から負荷を遠ざけたり近づけたりするクローズドチェーンエクササイズになり、クローズドチェーンの動作のほうがより機能的であり、一度に複数の筋群を強化できる)

機能的動作と自重トレーニングの利点(ほとんどの自重エクササイズは、多関節を用いて固定した身体部位から負荷を遠ざけたり近づけたりするクローズドチェーンエクササイズになり、クローズドチェーンの動作のほうがより機能的であり、一度に複数の筋群を強化できる)

ウェイトトレーニングと自重トレーニングフリーウェイトやマシンなどの伝統的なトレーニング方法は、筋力向上に確実な効果をもたらしますが、バイセップスカールなどのポピュラーなエクササイズは単関節のみが関与するオープンチェーンエクササイズであり、自由に動く四肢を用いて負荷を身体から遠ざけたり近づけたりしながら、関与する関節に伝えられる力を増大させる類のものになります。

筋力トレーニング用のマシンに関して

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遅発性筋肉痛:DOMS(ヒスタミン、ブラジキニン、プロスタグランジンなどの化学物質が痛みのシグナルを筋から中枢神経系へと伝達するタイプⅢとタイプⅣの求心性神経に作用することにより不快感が生じる)

遅発性筋肉痛:DOMS(ヒスタミン、ブラジキニン、プロスタグランジンなどの化学物質が痛みのシグナルを筋から中枢神経系へと伝達するタイプⅢとタイプⅣの求心性神経に作用することにより不快感が生じる)

遅発性筋肉痛(DOMS:DELAYED ONSET MUSCLE SORENESS) 遅発性筋肉痛(DOMS)は運動の一般的な副作用で、激しい運動を行った際に特にみられ、最新の理論によると、DOMSは不慣れな、通常とは異なる運動により生じる筋の損傷に関連があることが示唆されています。

DOMSは、結合組織要素の微細損傷によって起こる炎症であるとされ、微細損傷は侵害受容器の感度を高め、それに

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姿勢安定性の不足と傷害リスク(ダイナミックバランスとしても知られる姿勢の安定性は、動的な課題を行っている間の重心の安定性をコントロールする、感覚情報と神経筋コントロールの統合に依存している)

姿勢安定性の不足と傷害リスク(ダイナミックバランスとしても知られる姿勢の安定性は、動的な課題を行っている間の重心の安定性をコントロールする、感覚情報と神経筋コントロールの統合に依存している)

姿勢安定性とは
ダイナミックバランスとしても知られる姿勢の安定性は、動的な課題を行っている間の重心の安定性をコントロールする、感覚情報と神経筋コントロールの統合に依存します。

現在のところ、バランスと下肢の傷害リスクとの関係は特に傷害歴のある人では、姿勢安定性の不足と傷害の発生頻度との間に有意な相関関係を見出しています。

姿勢安定性を評価するために使われる方法は、様々であり、先行研究と比べて対

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女子選手における非接触型ACL断裂の発生の可能性を最小限にとどめるには(プライオメトリックトレーニングは、ハムストリングスと大腿四頭筋の筋力比を改善、減速時のハムストリングスの反応筋力を向上、着地にかかる力を低減、外反および内反トルクを減少させる)

女子選手における非接触型ACL断裂の発生の可能性を最小限にとどめるには(プライオメトリックトレーニングは、ハムストリングスと大腿四頭筋の筋力比を改善、減速時のハムストリングスの反応筋力を向上、着地にかかる力を低減、外反および内反トルクを減少させる)

前十字靭帯損傷を最小限にとどめるには 解剖学上、神経筋上、あるいはホルモン上の差異のみによって、女子のACL(前十字靭帯)断裂発生率の高さを説明できるわけではなく、Hakkinenらは、準備期に行われるトレーニングの総量やタイプにおける違いも、男子と女子の間に認められる下肢筋力とパワーの差異をもたらす可能性があると主張しています。

実際、このような差異が、女子におけるACL断裂の主たるメカ

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柔軟性と可動性の比較(可動性とは本来「全身的な概念」であることから、個々の具体的な目標をもつ柔軟性トレーニングだけではなく、可動域全体を使って行うS&Cなど、他のトレーニングに依存している)

柔軟性と可動性の比較(可動性とは本来「全身的な概念」であることから、個々の具体的な目標をもつ柔軟性トレーニングだけではなく、可動域全体を使って行うS&Cなど、他のトレーニングに依存している)

一般的な可動性の測定一般的には、可動性は比較的容易に測定できますが、実際の制限や障害の原因を把握するためには追加的なスクリーニングが必要になります。

第一第一に、「ある可動性トレーニングがすべてのアスリートに有効であるとは限らない。」ということです。

若年アスリートの個人差は幅が広く、各自の特徴が異なるため、アスリートに特異的ではないプログラムは非実践的であり、ほぼ効果がありません。

したが

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脊椎の屈曲は椎間板損傷をもたらすか?(エクササイズによって椎間板損傷が起こるのは、疲労が適応によるリモデリングの速さを上回った場合であり、その際の圧縮負荷が約2,000Nである)

脊椎の屈曲は椎間板損傷をもたらすか?(エクササイズによって椎間板損傷が起こるのは、疲労が適応によるリモデリングの速さを上回った場合であり、その際の圧縮負荷が約2,000Nである)

腰椎の屈曲のバイオメカニクス 脊椎のバイオメカニクスとその椎間板の病理への影響を説明するために、動物や人のin vivo(生体内)試験やin vitro(生体外・ガラス器内)試験、さらにコンピューターを利用したシミュレーションモデルなど様々な研究が行われてきました。

特にin vitro研究では、反復的な腰椎の屈曲が、椎間板ヘルニアの形成(繊維輪膜の境界の外へ椎間板の一部が突出する)と脱出

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固有感覚と爆発力(アイソメトリック:等尺性における安定性の優れた基礎が構築されていると、動作の必要性が生じた場合に、固有感覚、すなわち動作を伴う関節安定化の作用によって、より素早く効率的な反応が調整される)

固有感覚と爆発力(アイソメトリック:等尺性における安定性の優れた基礎が構築されていると、動作の必要性が生じた場合に、固有感覚、すなわち動作を伴う関節安定化の作用によって、より素早く効率的な反応が調整される)

固有感覚の向上とはアイソメトリック(等尺性)な安定性の優れた基礎が構築されていると、動作の必要性が生じた場合に、固有感覚、すなわち動作を伴う関節安定化の作用によって、より素早く効率的な反応が調整されます。

固有感覚を向上させることで、関節とその支持機構の過小活用または代償活用を防止できます。

バイオメカニクス的な効率は、障害予防に役立つだけではなく、筋力向上、パワー発揮、およびスピード向上を最

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脊椎系の機能とコア(体幹)トレーニング(上肢および下肢動作中、上肢および下肢の筋が活動する前に、「腹横筋」が先行して活動する)

脊椎系の機能とコア(体幹)トレーニング(上肢および下肢動作中、上肢および下肢の筋が活動する前に、「腹横筋」が先行して活動する)

コアトレーニングの目的とは
理論的には、コアトレーニングはパフォーマンスを向上させ、障害を予防し、腰椎の損傷を治癒するために行われます。

McGillによると、「よく鍛錬されたCoreは至適パフォーマンスと障害予防に欠かせない」と言われています。

構造と機能
コアの漸進的トレーニングプログラムを提案する研究数は数多く、そしてそれらの提案は、1992年に発表されたPanjabiの2本の論文と19

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