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2023年1月の記事一覧

poem 時に言葉は

poem 時に言葉は

時に言葉は
強すぎるから

木漏れ日や
雨垂れの音だけで
良い

時に言葉は
強すぎるから

野辺の花や
葉擦れの音だけで
良い

そっと心を寄せるもの

静かに流れる
無心の時と

ただ有るという
佇まい

poem 微弱

poem 微弱

微弱な電波が
僕を捉える

何故こんなにも
悲しいのか

悲痛な音は
行場を求めて
泣いている

見つからないよ

僕は思う

そんな風に
泣いてたら

見つからないよ
いつまで経っても

もう合わせない
疲れたんだ僕自身

そして僕は振り切った

僕の聴きたい音じゃない
もう止めたんだ

見つけてみなよ
君の音
本当の音を探してご覧よ

そして僕は振り切った
微弱な音を振り切った

poem 人間

poem 人間

人間とはなんだ
人間とはなんだ

そうまでして
立ち上がるのは

守ることでもない
攻めることでもない

ただ
ひとであろうと

人間であろうと
することである

poem 筆遣

poem 筆遣

私は手紙を書ひてゐる
少しおどけた筆遣

届くか知れぬ花の色

君の笑ひし顔思ふ

poem 恋文

poem 恋文

君の岩石みたいな
荒々しさが好きだ

そのまま僕に
ぶつかってこい

互いに揉まれて
いづれ海へ達しよう

poem たんじょうび

poem たんじょうび

きみは ちいさな てをみせて
ゆびを よんほん たててみる

じぶんの ゆびを たしかめながら
にこにこ わらって ボクをみる

そう きみは きょう
よっつに なった

そう きみは きょう
よっつに なった

poem 透かしの向こう

poem 透かしの向こう

どんなに
取り繕ったって

どんなに
隠して
見えなくしたって

人柄が
透けている

霞に浮かぶ
稜線みたいに

君の密かな
人柄が

透かしの向こうに
見えている

poem 淡い世界

poem 淡い世界

淡い世界で
生きている

白黒はっきり
つけようなんて

淡い世界で
生きている

境界線は
ぼやけたままで

淡い世界で
生きている

少し滲んだ
縁取りが

それでいいよと
囁いた

poem 翼

poem 翼

白亜のバルコニーで
少年は世界を眺める

自由になりたい…

白亜のバルコニーで
少年は世界を眺める

もっと遠くへ…

白亜のバルコニーで
少年は世界を眺める

その背中に翼さを持つ者さえ
羽ばたき方を知らぬのだ

poem 夢の中

poem 夢の中

君に触れる
ボクは
夢の中で

君に触れる
ボクは
夢の中で

淡く白い
柔らかな光

君に触れる
ボクは
夢の中で

poem 無暦

poem 無暦

野にあって
我ひとり
暦無く

雲は流れ
雨が降る

野にあって
我ひとり
暦無く

風が吹き
光差す

poem 故郷

poem 故郷

耳慣れた
故郷のことば

故郷を離れ住んだ街
空は青く
緑は濃く輝いていた

故郷の空
儚いほど淡く
光は柔らかに葉を透かす

故郷のことば

空と光の
生んだことば

土の匂い
風の音
降る雨の雫

poem 金木犀

poem 金木犀

まだ ございん
( また おいで )
見送る祖父母の
佇む姿
庭に香る
金木犀
時経る程に
偲ばれる

poem 晩方

poem 晩方

あがりっこ つけっぺが
( 灯りを つけようか )
日足の早い
晩方に
( 夕暮れの時に )
母と並んで
立つ流し
( 立つ台所 )