story アズと子ヤギ〜不自由な右足〜
アズはひとり牧草地にいた
膝に乗せて抱いているのは
母親を亡くしたヤギの子
唯一アズが心許せる友だち
アズは右足が不自由だった
歩き始めたばかりの頃
農作業中の母の元へ行こうとして
農耕用の車輪に踏まれた
小さなアズは家の中で
お昼寝をしているはずだったし
作業場に近づいても
誰の目にも入らず
気づかれなかった
突然の鳴き声で
大人たちは青くなった
急いで町医者に
診てもらったけれど
右足は歪になった
アズのお母さんは
それからずっと
自分を責めている
アズは右足