ことばはこころ。豊かに生きる。
muku の森の物語
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ちがっていいということ。ちがっていいことをえらべること。なっとくしていること。
森の中に ある一匹のうさぎがいました 大変なこわがりで いつも静かな月夜の晩だけ こっそりと巣から出て 森の中を歩くのでした 今夜も… 日が沈んで 東の空に月が 昇り始めた頃 うさぎはそっと 外へ出ました 月の光は 白くやさしく森を照らし 樹々の影を作りました 日中は風に揺れて そよそよと音を鳴らして 揺れていた草木も まるで寝静まったように 静かでした 静寂の中に浮かび上がった 森の景色を見つめていると うさぎは自分の中から もう一匹の別な自分が 話しているの
今私の世界は、実に少しずつ、そして、とても静かに、裏と表が、或いは、有ると無いが、まるで反転するように混ざり合いながら、新たなもの、若しくは、ずっと前から知っていたことを確かめるように、変化している。
なんでもひとりでちゃんとできるようにならないといけないと思っていたけれど、それだとみえなくなることの方が多いのかもしれない。負けていこうどんどん。だれよりも負けていく。そうして自分がどんどん小さくなればなるほど世界の大きさや広さがわかってくる。な〜んだ。やっと自然に息が吸えたよ。
風と戯れる 悲しい時も 嬉しい時も 私は私のままで 雨と戯れる 悔しい時も 虚しい時も 私は私のままで 光と戯れる 寂しい時も 楽しい時も 私は私のままで 隠さずに 感じたい 見つけたいのは 私の心 飾ることない 私の心
言葉のあとさき ゆらりゆらりと 訪ね来たのは 言葉のあとさき 古都の街並み 古に 訪ね来たのは 言葉のあとさき 月影 森林 海底に 訪ね来たのは 言葉のあとさき 私の心の 空想散歩
アズは時々 牧草地に行って 子ヤギが群れの仲間と 過ごす様子を見ていた 子ヤギはアズに気がつくと そばへ寄ってくることもあれば 草を食んだままのことや 仲間のそばで佇んだまま アズを見つめるだけのこともあった アズはお父さんの言葉を 聞いてから 子ヤギが幸せなら それで良いと思うように なった 私たちは私たちの 楽しかった思い出が あるものね それはこの先も 変わらない 子ヤギはアズの そんな気持ちが 分かるのか 何をするともなく アズの隣で日向ぼっこ すること
牧草地でヤギたちは 思い思いに草を食んでいた 子ヤギは生まれたばかりの頃より だいぶ丈夫になった アズは母ヤギの代わりに ミルクを飲ませたり 子ヤギの世話をした 子ヤギの世話は お父さんも手伝ってくれた アズは子ヤギが自分だけの ものであって欲しいと 思うようになった 小さな体 小さな足 うずくまると アズの膝の中に すっぽりとおさまった 子ヤギもアズに なついているようだった アズは 子ヤギのために 自分がいるんだと 思った けれど子ヤギは 少しずつ 群
アズはひとり牧草地にいた 膝に乗せて抱いているのは 母親を亡くしたヤギの子 唯一アズが心許せる友だち アズは右足が不自由だった 歩き始めたばかりの頃 農作業中の母の元へ行こうとして 農耕用の車輪に踏まれた 小さなアズは家の中で お昼寝をしているはずだった 作業場にいる誰もが そこにアズが来るなんて 思わずにいた 突然の鳴き声で 大人たちは青くなった 急いで町医者に 診てもらったけれど 右足は歪になった アズのお母さんは それからずっと 自分を責めている アズは右
休もう、休もう。あれからずいぶんがんばってきたよ。休もう、休もう。外は新緑。心地よい。私の体に滋養を送ろう。私の心に英気を送ろう。桑の実は青く枝先に揺れる。ツバメが今年も水を張った田んぼの上を飛んでいく。畑に座って空を見上げる。焦ったからって芽は出ない。今は力を貯める時。
どうもがいてもどうにもならない時、じっと耐えるしかない時、自分が惨めに感じる時。そんな時こそ、自分を労わって、お世話になっている人に感謝する時。心も体もちゃんと休養する時。立ち止まって振り返るのは、また今度、歩き出す時のための大切な時間。その時にしか、見つけられないこともある。
今はただ想うだけで良い。想いは種だから、私という畑に、今は蒔くだけで良い。その種が、私の畑に合うのか、よく育つのか、見守りながら、観察しながら、必要なら少し手を加えて。それで良い。もしもその種が、芽を出し花を咲かせようとするのなら、きっと実を結び、恵みとなって世に行き渡る。
おはよう 目が覚めると おばあちゃんは 窓の向こうの おひさまに 挨拶をした カーテンをあけると おばあちゃんは ゆっくりベットから おりて着替えをした 読みかけの本も 編みかけのストールも ベットの脇のランプの横で 昨日のままに重なっている 変わらないって 良いことね だってこんなに 安心するもの 春になって ずいぶんと外が 明るくなった ひばりの声がする おばあちゃんは レースのカーテンを ふわりとまとめると 窓を少し開けた 木蓮が朝日を受けて 静かに佇
ちいさくちいさく。わたしのせかい。
なんでもなぁい。もの。