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人生

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記事一覧

2024年4月9日 / 勉強と人生

必要に迫られて、何十年も前の論文を読むことがある。その内容を分かることもあれば、分からないこともある。いずれにせよ思うのだ。ああ、他の人が何十年も前に到達したところを、私はようやく今になってたどりついたのだ。しかも不十分な形で。

そしてもちろん、この何十年もの間に、世界はますます進んでいる。私と最先端の間は、ますます広がるばかりである。

しかし、もしすべての人が常にその状態だとすると、世界が進

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2022年10月5日 / 遠回りの人生

この年になると、いろんなことを焦る。映画でもよくテーマとされる、中年の危機というやつの一種だろう。もっとうまくやれたのに(すべきだったのに)、時間を無駄にしてしまった、遠回りをしてしまった、もう取り返しがつかない、といった焦燥感に責めさいなまれるのである。

こんなとき、寺田寅彦の文章を思い出す。これは以前も書いたが(たとえば以前書いたエントリ)、何度でも再掲したい:

我ながら、「頭の悪い人」で

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2022年9月2日 / Be present

ソフトバンクグループの投資が振るわないということは、盛んに報じられている。たとえば以下の記事↓

それで、CNN の記事のことを思い出した。以下の記事にある WeWork という会社は、ソフトバンクの投資が失敗した例としてよく挙げられる。

WeWork の前 CEO Adam Neumann 氏は、毀誉褒貶の大きい人物のようだ。

しかし私の記憶に残ったのは、この CNN の記事にある、Neum

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2022年8月18日 / 長く続けるということ

またブログ移転の記事かよーと思われるかもしれませんが、ご容赦ください。もうそろそろブログを完全に移行しようと思っているので、この手の記事を書くことはあとちょっとでしょう。多分。

それでしつこくブログ移転の話なんですが、その作業をしているときに驚いたのは、結構な割合でリンク切れになっているということなんですね。ブログをやめた人は本当に多いし、面白かった各種サービスはほとんど終わっている。死屍累々。

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2020年12月7日 / 有馬朗人先生死去

有馬朗人先生が亡くなった。

有馬先生の Wikipedia のページ:

上記 NHK のニュースでも触れられているが、有馬先生の以下の言葉が印象に残っている:

「物理学者としてノーベル賞を受賞してこそ認められるが、研究以外のいろいろなことをやり学問を究められなかった」

この言葉は、私の記憶では、日経朝刊内コラム「私の苦笑い」が初出ではなかったような気がする? 多分、いろいろなところで話され

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2020年6月1日 / 花火

花火のニュースを見て、井上靖の詩を思い出した:

若いころはどうにかして黄色の菊の大輪(たいりん)を夜空に打揚げんものと、寝食を忘れたものです。漆黒の闇の中に一瞬ぱあっと明るく開いて消える黄菊の幻影を、いくど夢に見て床の上に跳び起きたことでしょう。しかし、結局、花火で黄いろい色は出せませんでしたよ。
―― 老花火師は火薬で荒れた手を膝の上において、痣(あざ)のある顔をうつむけて、こう言葉少く語った

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2020年5月29日 / 報われないことに一生を賭ける

以下の記事に感動した:

「ほとんどのがんの基礎研究者は、新薬を一生で一つも作れない」と記事にあるが、実際にそうなのだろう。漫画「フラジャイル」の67話にも、「新薬は一生にひとつ作れば天才と言われる世界」とあった。

それでも、研究者は、新薬を一生で一つも作れないだろうと分かっていても、こつこつと研究を続けていく。それを聞くと、私は震えるほどに感動するし、本当に頭が下がるような思いがする。私自身も

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2020年5月9日 / 昭和という時代

こういう togetter 記事があった。そのコメント欄と、はてなブックマークのコメントが興味深かった:

いろいろなユーザのコメントを読んで驚いたのは、親戚や近所でこういう居候がいたという報告が、意外に多かったということだ。

私は昭和の生まれだが(もう令和の前の前の年号ですよ…)、こういう居候を見た記憶がない。すでに居候という言葉自体、死語に感じられるといったら言い過ぎか。

しかしそれも、年

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2018年7月28日 / 子供もいつかは大人になる

いい加減しつこいけど、この話:

もうこの話題から離れようと思ったのだけど、まだいろいろと溢れる思いがある。まとめてブログにした方がいいかも。

とりあえず、もうちょっとだけ。

書きたいことはいろいろあるけど、大きいのは、当時10代だった私も、最早おっさんだよなあという感慨かな。当時の私からは想像もできんだろうな。

そう思いを巡らしてくると、西田幾多郎の有名な話を思い出す:

回顧すれば、

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2017年6月6日 / 運

5日は欠番.twitter でうだうだ書いてたら,note 書く気がなくなった.いつものことだけど.

どうも,twitter と note の切り分けが出来てない.でも最近は,note があれば twitter やらなくてもいいかなと思うことが多い.まあ twitter やめる気もないけどね….

若いもんの相談にのる.それで思うに,何というか,私が一番苦しい時期だったのは 20代のときで,たぶ

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2016年12月30日 / 年賀状を書く,愛ということ

学生のころは,年賀状などという固陋な因習は打破すべしとか叫んで(叫んでないけど),年賀状を馬鹿にしていた.しかし,社会人になってしばらくして,考えを改めた.

以前も note に書いたように,人間関係は努めてメンテナンスしないと,ほんとに疎遠になってしまう.年賀状を書くのはその大事な手段の一つなのである.

などと偉そうなことを書いたが,恩師への年賀状を書いたところで力尽きた.私には,恩師という

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2016年11月16日

フィルタリングよけに,メールを送るごとにドメインを変えてくる日本のクソ某企業はほんと滅びろと思うよ,鬱陶しい.分かる人は分かると思うけど,「ホームページ」作成と,海外出張手配の営業.この二社が特にひどい.彼らに対しては絶対に仕事を依頼しない.

今日は,Windows 10 の設定ではまった.Windows 10 だと得てして自分のフォルダとかIDに日本語が入るので,私の過去の設定をそのまま使うと

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2016年8月23日

とうとう明日の準備は間に合わず.明日の午前中に頑張るか.他の仕事も溜まっているのに,どんどんスケジュールが遅れてくるなあ.

ここ数日は,仕事まだですかーとせっつかれることが多くてストレスが溜まる.まあ私のほうが相手に多大なストレスを与えてるんだろうけどさ.

暑いせいか,クーラーの効いた部屋でもやる気が起きない.しかし頑張ろう.私には夢があるし,私の仕事を見てくれる人もいる.

真砂(まさご)な

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2016年8月11日

論文査読が本当に嫌.それなりのレベルの学会とか国際会議ならまだいいんだけど,それ以外のところに提出される論文は大抵がクソといってよい.査読はフィルタであって,専門家の査読を受けてない論文は,本当にレベルが低いんですよ.

それで,そのつまらない論文を読まされるだけならまだしも,査読報告を書かないといけない.これが本当にストレスがたまり,貴重な時間がごりごり削られる.しかも報酬はなし.苦痛でしかない

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