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森野 しゑに
2024年3月24日 07:04
霧雨にしっとりと濡れながら白く煙る景色の中に佇んでいると夢の中に迷いこんでしまったようなぼんやりとした心持ちになってくる港の方では何度も霧笛が鳴っているその音に誘われるかのように靄に包まれ歩いてゆくとこのままどこか知らない世界へ吸い込まれてしまうような気がするこんな霧の朝に自分と同じ姿をしたもう一人の自分ドッペルゲンガーに会ってしまうのかもしれない
2023年11月30日 19:22
11月は、こちらの国の言葉では ”死者の月” と書く。第一週目の土曜日は「万世節」で、死者を弔う日であり、ハロウィンの習慣はないが、「万世節」は大切な日とされていて、故人を偲び、墓参りをしたりもする。だから11月は、彼方人の月だ。彼方人とはあの世の者、別世界の人他国から来た者のことも指すらしくこれは自分のことでもあるな…と思う。私はこの国では永遠に異邦人だ。彼方人は"あ
2023年2月13日 21:50
朝、海沿いを歩いていると、凍っていた海が溶け出しており、海風に吹き付けられた無数の氷が岸辺に打ち上げられている風景を目にした。薄いガラスの層が幾重にも積み重ねられているようで、一枚ずつ手に取り眺めたくなるような光景だった。透明な氷のプレートが朝陽にきらきら輝いて美しい。まるで自然が作り上げた現代アートのようだ。とりあえずスマホで撮影して、翌日は一眼レフ持参で同じ場所に駆けつけたものの、
2023年1月7日 08:02
冬の初め頃から、近所の島で見かけるようになった白鳥のつがいと子供がいる。マイナス10度以下の気温になり本格的な寒さがやって来ても、白鳥ファミリーはまだ留まっている。普段白鳥は春先になると南からこの国へやってくるため、春を運んでくる鳥だ。そして冬の訪れと共に再び南へと飛び立つので、こんな季節までこの地に残っていることは珍しい。朝、島へ散歩に行くと、凍りかけた海上にまだ白鳥ファミリーがいた。