族長の秋(著:ガルシア・マルケス)【独裁者は読書紹介で自分のことを紹介させた。その中では彼は若く美しく、そして現実とのあまりの落差に大衆は独裁者の実物を見ても敬意を払わなくなったという】
ガルシアマルケスと言えば「百年の孤独」
おとなしくそれを読んどけば良かったって?
いやだって、隣にもっとマイナーな作品があったんですよ。
そうしたら、マイナーな方に関心を持つじゃないですか?
え? そんなことない?
そんなばかな。
そんなことはさておき、いつか図書館で借りてきて読んだ本を紹介させてください。
これは中南米のしょーもない独裁国家、そこの独裁者の物語です。
モデルがいるそうなのですが、日本人にわかりやすく言うと、アフリカの独裁者みたいな感じです。
ウガンダのアミン大統領とかザイールのモブツ大統領とか。
最貧国なのに国を発展させる気概すらない独裁者が、ただ単に一身に権力と富を集中させてひとり贅沢で腐敗した暮らしをしている。
政敵はひたすら始末。暗殺、処刑、追放。そして女を集めまくると。
そういう物語が永遠と続く話です。
とにかく何でもできるんだけど、何もできない人物。
不能性を集めた物語として書かれています。
本当に好きになった女性もいるんですが、当然ながら権力の力で連れてきたので、愛しても愛されることはありません。
一事が万事、この調子なので、どれだけ栄耀栄華を尽くしても常に何か満たされない、本物ではないエピゴーネンばかり集まってしまうという、そんなエピソードで満たされています。
ついには愛する女性には不可解で神話的な形で逃げられてしまい、別にいる妻子は殺されてしまいます。
エピソードは、独裁者を巡る側近たちの話、どうにかしようと外部から訪れたNPO団体の職員の話(たしかそんな話があったような気がするが間違っていたら申し訳ない)そして大統領自身が語る話。そうやって語られるエピソードを累積していき、ついには一冊分の厚さになっていきます。
不能性や、決して実らない果実、何も生まれようとして生まれてこれない、ついには海まで外国資本に売り払ってしまい、砂浜が砂漠になってしまうエピソードまで出てきます。
とにかく出来ないのです。
結果は何も残りません。
大統領本人が何か希望や抱負を持っていたとして、単に富と権力をむさぼるだけではなかったとしても、やはり後に何も残せない。
というか大統領もまさかこんな自分になるとは思ってなかったのかもしれない。
しかし彼は不能なので、かつての思い描いた理想と現在の自分が食い違っていても、それに気づかないというか、気づいていても変えられないのです。
気づく力さえ奪われている。
それでも権力を維持する力だけはもっている。
なんならこの大統領も何年くらい生きてたのかもよくわからず、とにかくひたすら独裁している。変わってほしいけど何も変わらない。
(という作品紹介をどこかで読んだような気がするんです)
ソウイウハナシダッタンダー。
良くある光景ですよね。
それで文学作品なので、こういう話がまとまりなくずっと続きます。
これはこれで嬉しいです。
特にアフリカの貧しい独裁国家に興味があったので(興味の対象がやたらとある)こういう文学は楽しかったです。
独裁者マニアにはオススメやで。
他の人が同じ本を紹介しているのも紹介しておきます。
うん。でもおとなしく「百年の孤独」を読んどけばよかったかもしれない。
なんとなく、読んでる人が少ない気がする。
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