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小説のはなし

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小説を読んだ感想や考察、作家についてなどを発信していきます。
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書評-15才の少し背伸びした文章に、胸を打たれる-河崎愛美『あなたへ』

書評-15才の少し背伸びした文章に、胸を打たれる-河崎愛美『あなたへ』

 今回は河崎愛美さんの『あなたへ』という本を読んだので、その感想を書いていきたいと思います。 ネタバレ部分や引用もいくつかありますので、あらかじめご了承ください。

あらすじ

 主人公と、主人公の想い人「あなた」との出会いから別れまでが、主人公が「あなた」へ向けた手紙の形式で語られていきます。

作風

 手紙なので、主人公の主観として敬語で描かれています。セリフや印象的な言葉は前後に行間をとり

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古本大量購入、2021年、冬、計61冊

古本大量購入、2021年、冬、計61冊

楽天の古本

今回は外国文学多め。そして不朽の名作も多め。トルストイ、ジョナサン、トムソーヤー、ロミジュリなど。
既読本もいくつか。

来年の目標__本の読まず嫌いを無くす。難しい純文学にも挑戦してみる!!__

購入本

贈りもの / ダニエル・スティール
人生論 / トルストイ
2分間ミステリ / ドナルド・J・ソボル
警告 / パトリシア・コーンウェル
遺産 下/ シドニィ・シェルダン

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小説が映画化されること。

小説が映画化されること。

今回の話題はタイトル通り。
小説や映画に限らず、アニメが実写化されたり、ドラマになったり…。
ある作品が別の媒体に作り替えられていく。そういう現象が今の作品づくりにはあります。

そしてその多くは、「人に見られやすい媒体」に変えられていきます。
小説や漫画などは通常、メディア広告になることは少なく、能動的なものですが、対して映画の広告やドラマのCMは、受動的に受け取るものです。
だから小説→映画の

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円環小説

こんにちは。森たまみです。

私は小説を読むのが好きなんですが、今回は小説というものの構造についてお話ししていきたいと思います。

小説は当然、はじまりがあって、終わりがあります。
それは物語なら仕方ないと思います。
人間だって、生まれてはじまり、死んで終わる。
そう考える人が多いのではないでしょうか。

しかし、よく聞く話で、この宇宙のはじまりとは未だ解明されていません。
そして、今でも宇宙は存

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小説のはなし5-コンビニ人間-

こんにちはMarchantです。

昨日やっと村田沙耶香さんの『コンビニ人間』が読み終わったので、そのお話をしたいと思います。

これは簡単に言うと、「普通とは何か?」と問答する人の話です。

主人公は生まれたときから、ちょっと普通の人とは違うということを意識しながら、どうすれば普通になれるのかわからずに、恋愛、就職経験ナシで30代後半まで、コンビニでアルバイトをします。

そして自分と似たような

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さっぽろ市民文芸 第37号募集

こんにちは。
Marchantです。

私は現在札幌に住んでいるのですが、この間、図書館へ本を借りに行った時、この「さっぽろ市民文芸第37号 作品募集」のチラシを見つけました。

『さっぽろ市民文芸』があることはなんとなく知っていたのですが、私は札幌にいる本好き集団が、自由気ままに本についてあれこれ述べているのかなーと思っていたんですが、公募の作品集だったんですね。

高校の時はそれこそ高文連があ

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小説のはなし3-瓶詰地獄-

こんにちは。
私は度々近くの大学の読書会に参加しているのですが、それの次の読み物が、夢野久作の『瓶詰地獄』になりました。
青空文庫にあるので是非読んでみてください。7分くらいで読めます。

この作品も夢久も知らなかったので、いい機会に知ることができました。かなり作品数の多い作家みたいですね。

この作品について軽く調べてみましたが、みんなこぞって「矛盾点がある」と言います。
実際、そうなのかはこれ

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小説のはなし2-檸檬-

今回は梶井基次郎の『檸檬』を読んでみました。
この作品は教科書に載るくらいの有名な作品ですね。

でも実際高校生の頃、この檸檬がどうして評価されるのか、そしてこの物語の意図はなんなのかということを考えもせずに、ただ「これは何を指しているのか」という問いに対して、文脈から答えを導き出す、という作業的なことしかやってきませんでした。

そして今回改めて読んで気づいたことがあるので、ここに書き連ねていこ

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ウェブの著作権について

私はnote上で本の感想や考察を書くということで(もういくつか書いてしまっていますが)人の著作物をどう扱えばいいか、著作権の問題に目を向けなければいけないと思いました。

最近はSNSの利用者増加で、著作権侵害の問題が曖昧になってきていますが、
当然「知らない」じゃ済まされません。

それはどんな犯罪だって同じです。
でもSNSの場合はあまりにも多すぎて、スルーされてしまっているのが現状です。

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小説のはなし1-二度死んだ少年の記録-

今回はある短編についてお話ししていきたいと思います。
それが筒井康隆さんの『二度死んだ少年の記録』
これは先日機会があって、読書会をして得た意見を元にしています。

私はこの物語を中学生くらいの頃に読んで、かなりグロテスクな描写に衝撃を受けました。ちなみに、『鍵』という短編集で読みました。
先生、生徒が逃げ回る様子が本当に滑稽でコミカルで、ホラーなのに笑ってしまいます。笑

物語の内容は、家族から

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