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「あいだ」にひそむ欲望を見つける。
そこに何かがあるとは思わなかった
仲間内で「7と1/2階」と呼んでいるワインバーがある。正式な名前は「リーの厨房」。JR目黒駅から権之助坂を下って、さらにその脇道にある階段を下ったところにある屋根裏部屋のようなお店だ。もちろんお酒も料理も美味しい。汐留の会社に勤めていた時代、目黒方面に住む同僚たちと会社帰りに立ち寄るお気に入りの店の一つだった。階段を下って下って入店したら、こんどは店内の階段を上
ゲームをあそび始める瞬間はいつか?
あそぶ前にかならず選んでいる
文春文庫から出ている『罪と罰を読まない』という対談本がある。難解なことで有名なドストエフスキーの表題作を、本好きの作家4人が意地でも読まずに語り合うコンセプトが面白い。ここから教わるのは、本は読まなくても楽しむことができるってこと。書店で平積みされている表紙を見て、裏表紙のあらすじを読んで、評判を確かめて。僕らは読む前から想像を膨らませることができる。
それと同じ
居なくなってもうっすらと居る。
ここ数年の音楽ニュースで最も衝撃的だったのは、水曜日のカンパネラの「襲名」である。ニュースサイトのヘッドラインを目にした瞬間湧き上がったのは、「そうか、やめるのか」ではなく、「そうか、襲名していいんだ!」という感情だった。その手があったか、とエアポケットをつかれたような感覚。さすがのコムアイさん、引き際までクリエイティブである。
伝統芸能の世界ではメジャーな「襲名」だが、J-POP業界でこのシス