ディスク岩本のジャズの穴。

物書きして、喇叭吹いて、黒い円盤を集めてます。

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記事一覧

雨音はジャズの調べ

雨の日が続きますね、こんな憂鬱な雨を素敵に演出するアルバムを今日は紹介したいと思います。 それがSue Raineyの初期の作品Song of Rainey dayです。 正しいスペルはSo…

モダンジャズという表現における数学と文学の要素。

パリでのジャズマンの日常と友情を描いた名作映画「ラウンドミッドナイト」の中でデクスターゴードンが演じるディルターナーがテナーサックスで「As time goes by」を吹い…

It might as well be spring 春の如く

穏やかな木漏れ日が降り注ぐある春の日、僕は同年代の女性ピアニストと結婚式の営業の為のリハーサルをしていた。 この当時は横浜を中心にギグをやりながら、結婚式などの…

ジャズ私小説 Have yourself a Merry little Christmas

2年前のクリスマスイブの夜に一人で都内の雑踏を歩いていた、9月にキッツい失恋をしてそのショックから少しずつ立ち直り始めていた頃だ。 それでもカップルを見ると切ない…

ジャズ私小説 Old folks

歌舞伎町の思い出横丁にある飲み屋に通っていた時期がある。 その飲み屋にチャーメンをたまに差し入れしていた。 チャーメンとは川崎南部のソウルフードのひとつで中太の…

You Tubeチャンネル更新

ジャズオタクの聖地、ディスクユニオンJazzTokyoでレコードをdigしてきました。 お時間あったら、ご覧になってください。

You Tube始めました。

モダンジャズ絡みの動画をあげていきますので、ご興味ある方は高評価とチャンネル登録をよろしくお願いします。

映画「ブルーに生まれついて」

遅ればせながらアマゾンプライムでチェットベイカーの生涯を描いた映画「ブルーに生まれついて」を酒を飲みながら拝見した。 チェットベイカーといえばカルバンクラインの…

The Melody at night with you

朝起きていつものようにタブレットを開くと衝撃的なニュースが飛び込んできた。                                    長い沈黙を破っ…

ジャズ私小説「Love for sale」

ある酷く寒い冬の日に、鶯谷でちょっとした用事を終えて萩の湯という素晴らしい銭湯で冷えた身体を温めた後に併設してある食堂で生ビールを立て続けに二杯飲み干した。 ま…

オスカーピーターソンとナットキングコールの約束

オスカーピーターソンとナットキングコールは大親友だった事で知られています。 そしてこの二人には大きな共通点があります。 それは二人とも素晴らしいピアニストでそして…

ジャズ私小説「There will be another you」

もう随分前の事だが、ある風が強い雨の夜、関内駅前の立ち飲み屋で一人で一杯やっていた。 その日もいつもの様に唇がガタガタになるまで練習をした。 仲間が呆れかえるまで…

ジャズ私小説 Deep in a dream

川崎の路地裏にある小さな居酒屋に23歳から39歳まで通っていた。 カウンターとテーブルが1つの10人も入れば満席になる小さな居酒屋。 店主が愛するモダンジャズが心地よく…

Early Chet baker

個人的にはチェットは晩年の枯れた魅力がある時期の方が好きなのですが、モダンジャズ初心者の方、または近年の伝記映画などを見てチェットに興味を持たれた方のために、初…

Stanley Turrentine Sugar

ジャズファンの間で足舐めと呼ばれることで知られるスタンリータレンタインのCTIレーベルにおけるヒット作「Sugar 」 メンバーはスタン…

雪谷大塚 ジャズ喫茶 Slow boat に再訪

瀟洒な住宅街にひっそりと佇む大人の隠れ家、それが雪谷大塚にあるジャズ喫茶Slow boatです。 こちらにコロナ自粛明けに初めて遊びに行きました。 清潔で小洒落た内装に…

雨音はジャズの調べ

雨音はジャズの調べ

雨の日が続きますね、こんな憂鬱な雨を素敵に演出するアルバムを今日は紹介したいと思います。

それがSue Raineyの初期の作品Song of Rainey dayです。

正しいスペルはSong of Rainy Dayですがスーレイニーの名前にかけてRaneyとなってます。

そうです彼女の名前にかけて作られた企画盤と言っても良いでしょう、日本では「雨の日のジャズ」の秀逸な邦題で知られていま

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モダンジャズという表現における数学と文学の要素。

モダンジャズという表現における数学と文学の要素。

パリでのジャズマンの日常と友情を描いた名作映画「ラウンドミッドナイト」の中でデクスターゴードンが演じるディルターナーがテナーサックスで「As time goes by」を吹いていると「歌詞を忘れてしまった」と吹くのを途中で止めてしまうシーンがある。

僕なりの解釈だがジャズは音楽理論より心の情景を重要視するべきだと示唆したモダンジャズにおける文学の要素を端的に表現した印象的で美しいシーンだ。

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It might as well be spring   春の如く

It might as well be spring 春の如く

穏やかな木漏れ日が降り注ぐある春の日、僕は同年代の女性ピアニストと結婚式の営業の為のリハーサルをしていた。

この当時は横浜を中心にギグをやりながら、結婚式などの営業的な仕事もこなし。                                  フラフラになるまで練習した日々の成果が開き始め充実した毎日を送っていた、僕は20代後半の青年だった。                      

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ジャズ私小説 Have yourself a Merry little Christmas

ジャズ私小説 Have yourself a Merry little Christmas

2年前のクリスマスイブの夜に一人で都内の雑踏を歩いていた、9月にキッツい失恋をしてそのショックから少しずつ立ち直り始めていた頃だ。
それでもカップルを見ると切ない気持ちになる、早く帰って家で酒を飲もうと考えていた。
すると道端にしゃがみ込んだ老婆が僕の視界に入った、そしてその傍の女性が心配そうに老婆に声をかけている。
正直に早く帰って酒を飲みたい、でもこれは放っておけないと思い声をかけると老婆はコ

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ジャズ私小説 Old folks

ジャズ私小説 Old folks

歌舞伎町の思い出横丁にある飲み屋に通っていた時期がある。
その飲み屋にチャーメンをたまに差し入れしていた。

チャーメンとは川崎南部のソウルフードのひとつで中太の平打ち麺を塩味ベースに化学調味料でパンチを効かせた野菜が半分ぐらいを占める焼きそばと野菜炒めの中間に位置するようなまあジャンクフードです。

このチャーメンには、ちょっとした思い出がある。

僕は小学校低学年の時に算盤塾に通っていた、当時

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You Tubeチャンネル更新

You Tubeチャンネル更新

ジャズオタクの聖地、ディスクユニオンJazzTokyoでレコードをdigしてきました。
お時間あったら、ご覧になってください。

You Tube始めました。

モダンジャズ絡みの動画をあげていきますので、ご興味ある方は高評価とチャンネル登録をよろしくお願いします。

映画「ブルーに生まれついて」

映画「ブルーに生まれついて」

遅ればせながらアマゾンプライムでチェットベイカーの生涯を描いた映画「ブルーに生まれついて」を酒を飲みながら拝見した。

チェットベイカーといえばカルバンクラインの下着の広告で知られるブルースウィーバーが監督をした傑作ドキュメンタリー「Let’s get lost」が素晴らしい内容でしたが残念ながら映画「ブルーに生まれついて」に関しては、あまりにも史実からかけ離れた脚色が多いのと、イーサン・ホーク扮

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The Melody at night with you

The Melody at night with you

朝起きていつものようにタブレットを開くと衝撃的なニュースが飛び込んできた。
                                  

長い沈黙を破ったキースジャレットのニューヨークタイムズのインタビュー記事である、世界的なジャズピアニストであるキースジャレットは2度の脳卒中の後遺症に伴う左半身の麻痺のせいで演奏活動を再開できる可能性が限りなくゼロに近いという、どうしても信じられない信

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ジャズ私小説「Love for sale」

ジャズ私小説「Love for sale」

ある酷く寒い冬の日に、鶯谷でちょっとした用事を終えて萩の湯という素晴らしい銭湯で冷えた身体を温めた後に併設してある食堂で生ビールを立て続けに二杯飲み干した。
まっすぐ川崎に帰ればよいのに僕の好奇心が顔を出してしまいカップ酒片手に鶯谷のホテル街をふらついていた、残念な事に日曜日なので開いている店も少なく選択肢は限られているようだ、できれば個人経営の安い立ち飲み屋で刺身を肴に熱燗でも呑んで帰りたいとこ

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オスカーピーターソンとナットキングコールの約束

オスカーピーターソンとナットキングコールの約束

オスカーピーターソンとナットキングコールは大親友だった事で知られています。
そしてこの二人には大きな共通点があります。
それは二人とも素晴らしいピアニストでそして素晴らしいヴォーカリストで弾き語りを得意にするという事。

実際に若い時のピーターソンはピアニスト兼ヴォーカリストとして活動していました。

兄弟のような親友だった二人はその演奏のスタイルもよく似ていた。

甘い声質もよく似ているし、よく

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ジャズ私小説「There will be another you」

ジャズ私小説「There will be another you」

もう随分前の事だが、ある風が強い雨の夜、関内駅前の立ち飲み屋で一人で一杯やっていた。
その日もいつもの様に唇がガタガタになるまで練習をした。
仲間が呆れかえるまで練習をしていたあの頃。
夢はあるけど金がない、でも酒は飲みたいし腹も減る二十代の若者だった僕は足元に愛器のケースを置いて、スマホも無い時代だったから文庫本を読みながら煮詰まった塩っぱいモツ煮を肴に安い日本酒をチビチビやっていた。
するとカ

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ジャズ私小説 Deep in a dream

ジャズ私小説 Deep in a dream

川崎の路地裏にある小さな居酒屋に23歳から39歳まで通っていた。
カウンターとテーブルが1つの10人も入れば満席になる小さな居酒屋。
店主が愛するモダンジャズが心地よく流れ、安価で美味しく飲食できる、お店も清潔だ。
初めての馴染みの店、高齢の店主とも親しくなり色んな意味で安心して酒が飲めた。

馴染みの居酒屋があるだけで、なんだかとても大人になったような気がした。

気づいたら同級生の仲間達も常連

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Early Chet baker

Early Chet baker

個人的にはチェットは晩年の枯れた魅力がある時期の方が好きなのですが、モダンジャズ初心者の方、または近年の伝記映画などを見てチェットに興味を持たれた方のために、初期のチェットの素晴らしい演奏の中から個人的にセレクトした物です。                                 

もちろんジャズに詳しい方でも楽しめる内容になっております、ジャズのジェームスディーンと呼ばれた若かりし日の

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Stanley Turrentine Sugar

Stanley Turrentine Sugar

ジャズファンの間で足舐めと呼ばれることで知られるスタンリータレンタインのCTIレーベルにおけるヒット作「Sugar 」

メンバーはスタンリー・タレンタイン(ts)、フレディ・ハバード(tp)、ジョージ・ベンソン(g)、ロニー・リストン・スミス(el-p)、ブッチ・コーネル(org)、ロン・カーター(b)、ビリー・ケイ(ds)、リチ

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雪谷大塚 ジャズ喫茶 Slow boat に再訪

雪谷大塚 ジャズ喫茶 Slow boat に再訪

瀟洒な住宅街にひっそりと佇む大人の隠れ家、それが雪谷大塚にあるジャズ喫茶Slow boatです。

こちらにコロナ自粛明けに初めて遊びに行きました。

清潔で小洒落た内装にハンドドリップの美味しい珈琲、控えめな音量ながら素晴らしい音を聴かせてくれる、名工ケンドリックサウンドによってカスタムされたオーディオ。

そして丁寧に管理された膨大な数の音源たち、それらは店主のモダンジャズに対する深い愛を感じ

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