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普通の女子大生が世界一周したお話

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20歳の女子大生が大学を休学してバックパック背負ってみた。
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東南アジアと私の青春

東南アジアと私の青春

晴れた快晴の日。
移住した新しい土地。
湖畔沿いを車で走る。

シャッフルした音楽からは懐かしい歌が流れてきた。

「あぁ、この歌。こんな晴れた、あの日にも聴いたな。」

記憶が一気に遡る。

東南アジアのどかな田舎町。
クラクションが鳴る喧騒の街。
湿気で満たされた夜行バス。

匂いも感覚もすぐ横で感じられるくらい
あの独特の景色が瞼の裏に浮かぶ。

バックパッカーとして初めて訪れた海外は
タイ

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Vo.3「君は今も笑ってますか」

Vo.3「君は今も笑ってますか」


チャイおじさんが去った後も
私はビーズアクセ作りに勤しみ
列車に揺られ続けた。


そして何度目かの途中停車。
見知らぬ郊外の駅だった。


出発までの約10分間、
チャイやお菓子、カレーなど様々な物売りが
列車の窓越しに商品を売ってくる。


そして、乗車してくる人々に紛れて
ボロボロの服を身に纏った子供達の姿が目に入る。
「なぜ?」
と思う間もなく
彼らは各座席をまわって物乞い

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Vo.1「ビーズおばちゃんとの出会い」

Vo.1「ビーズおばちゃんとの出会い」

前回は私が運営するSoluna Beadsのコンセプトについてシェアしましたが、
今回は、「ビーズとの出会い」について。
”微笑みの国、タイ”を体感したお話です。

私が愛してやまないビーズと出会ったのは20歳の夏。

夢だった、世界一周バックパッカーの旅に出て2カ月、ミャンマー行のビザを取るため、タイの首都バンコクに滞在中だった。
バンコクでは、有名なカオサンロードというエリアがある。
別名は「

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椅子とラオスの夜

椅子とラオスの夜

免許の更新にきた。
日曜日の試験場は行列。
その横にずらっと並ぶ待合の椅子。

寒色で統一されたその椅子は
1人分に仕切られており、4人分が1ブロックになっている。
最近はあまり見かけなくなったが、
駅やバス停の待合の椅子の定番。

古びた施設内の風景と
整然とならぶその椅子が
ラオスの記憶を呼び起こす。

あれはバックパッカーには定番スポット、
のどかな田舎町、バンビエンのバスターミナル。

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祈りの先に

祈りの先に

祈る=宗教=怖いもの
そんなイメージしかなかった。

旅中、出会う人々に、
「何を信仰してるの?」
と聞かれても
「え、、なにも、、一応仏教?でも熱心じゃないよ」
そんなドモッた受け応えしかできなかった。

旅の初期に訪れた東南アジア。
特に、ミャンマーでは、熱心に祈る人を多く見かけた。
パゴダと呼ばれるお寺は、土足禁止で、
どんな古ぼけた、土だらけのパゴダでも、
必ず、入場口で裸足になる必要があ

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動物園の不思議

動物園の不思議

子供の頃から動物園に行くことは、
レジャーのひとつであり、楽しみなことであった。
おそらく、日本で生まれ育った人にとっては、これは当たり前の感覚だろう。
檻の中にいる肉食動物に何の疑問も持たずに
「大きいねぇ。すごいねぇ。」と感嘆の声をあげて、何事もなかったかのように帰って行く。

学校や幼稚園の遠足で訪れることもあった。
動物の絵を書いたり、感想文を書いたり。
子供たちが生の動物に出会える場とし

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パブのお姉ちゃん

パブのお姉ちゃん

ホーチミンの安宿で仲良くなったSくん。
私たちと同じような、バックパッカー旅人かと思いきや、実は隣国カンボジアにて、歌を歌って生活しているという。

そんなSくんを辿って訪れたプノンペン。
彼と彼のバンド仲間たちが至る所を案内してくれたお陰で、とても充実した滞在期間であった。
その中でも特に印象的だったこと。

出会いは彼らのバンドが演奏しているバー。
「今日演奏するからおいでよ」
と誘われるまま

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東欧の女性

東欧の女性

「あぁ、もうあかん。日本に帰りたい。普通の大学生に戻りたい。」

長い旅に出て4ヶ月の折り返し地点、私は初めて心が折れそうになっていた。

当時約3ヶ月間のアジア旅の後、
刺激的なサファリを抜け、
未知の国ジョージアから移動したトルコで感情が溢れ出た。

厳密に言うとそれは、
トルコからブルガリアへ、
1人陸路で国境を越える夜行バスの中だった。

イスタンブールで友達とワイワイ過ごす中、
薄々その

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私のチョコラテ

私のチョコラテ

ココアを飲むと必ず思い出す味がある。

メキシコの首都、メキシコシティ南部の世界遺産ソチミルコを訪れた日のこと。

ソチミルコはカラフルな船での遊覧が有名なのだけれど、
なんでも、「ホラースポットがあるらしい」と同じ宿で出会った旅人が教えてくれた。
船をチャーターしないと行けない場所だから
人数を募ってそのホラースポット「人形島」へ行きましょう
と。
日本のテレビでも紹介されたことがあるらしく、声

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その夢の先に

その夢の先に

ニューヨーク。
初めてその街に降り立った時
「あぁ、ついに世界の中心に来たんだ」
そんな実感を持った。

クイーンズにある、
一泊ドミトリー30ドルの日本人宿にチェックイン。

数人の日本人と交流し、驚いたのは
彼らの目的地が"ニューヨーク"だったこと。
目的地を決めず世界を放浪している旅人ばかりと出会ってきた私にとって
ニューヨークだけを目的地に来た彼らは、
とても新鮮だった。
バンドマン、

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私の大晦日

私の大晦日

2014年大晦日。
私は時間の止まったような国にいた。

キューバ最南端の町、
サンティアゴデクーバ近郊のビーチ。
数人の観光客と地元の物売り。
寝転がったら壊れてしまいそうなビーチチェア。
遠浅の海に浅黒い砂浜。
波打ち際を豚が歩いている、奇妙なビーチであった。

今日が大晦日だということを
忘れてしまうくらい
ゆったりとした時間が流れていた。

日本は真冬で、多くの人が足早に
どこ

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踊るということ

踊るということ

初めてサルサに出会ったのはチェコだった。

プラハに滞在中にサルサバーへ連れて行ってもらったのが全ての始まり。
リズミカルな音楽と親近感の湧く歌声、
そして何より、踊っている人々が心底楽しそうで、
「サルサって楽しい音楽なんだ」
と漠然とポジティブな印象を持った。

その後旅を続け、メキシコに入った。
「メキシコシティの宿近くの公園でサルサを教えているおじさんがいる」
との情報を聞き
早速

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初めてのチャイ

初めてのチャイ

インドに到着して1日目。
ニューデリー駅から15分の宿にたどり着くまで
騙され、嘘付かれ、喧嘩し、4時間掛かった。

「インドの洗礼」を実感しながら
へとへとになった私たちは
遅めの昼食いや、早めの夕食を求め
日が傾きかけたパパラガンジーを歩いた。

路地の曲がり角に
小さな露店。
グツグツ煮える液体に
コンッコンッとまな板で砕いたスパイスを店主が投げ入れる。
スプーンたっぷりの砂糖
そし

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結婚詐欺

結婚詐欺

【結婚詐欺】

タイ、バンコクの中心地サイアムにある
ショッピングモールでの出来事。

普段使いのショルダーバッグを買い換えたくて
ショッピングモールを訪れた。

前から黒人の若い男が歩いてきて
目が合ったので「Hi」と挨拶。

そのまま通り過ぎようとすると
「もうちょっと一緒に話しませんか」
と言われる。

なんでも黒人だから
タイの人たちに一歩距離を置かれることが多く
目が

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