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医療的ケア児の娘とのくらし

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医療的ケアと共に生きる娘とのはなしをあれこれ書きます。
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記事一覧

あしたからほんきだす

「ねむすぎてはきそう」
起床後だいたい毎日そう思っている、私。

病院で測定する機会があるたびに「えっ」と言われるのだけどどうやら私血圧が異常に低いらしく、関係あるのかないのか知らんけど朝起きるのがとにかく苦痛で「ああよくねたスッキリ!」という目覚めを経験したことがほとんどない。
その上夜中には何度か寝たきりの娘に寝返りをさせたり呼吸器をなんやかんやしたりなどのケアで起きなければならないし最近は猫

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娘が娘として生きる力

娘が娘として生きる力

リハビリの先生が2年ほどおやすみされることになり、その間担当が交代することになった。
「はじめまして」のその日、どんな先生かな、娘はどんな反応するかな、とちょっとドキドキしていたのは私だけだったようで、娘は初回だというのににっこにこで。あらもう仲良くなったん、よかったねぇ。

そうなのだ、このところ、リハビリの担当替えにも動じず、新しい支援者さんにも動じず。クラス替えにも動じず。こんな子やったっけ

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中学部発修学旅行ゆき

中学部発修学旅行ゆき

中学3年生の娘の夏休みが始まり数日が経った頃、学校で修学旅行の説明会があった。

3年前に行き先がディズニーランドから近畿圏内の近場に変更になった。みんな正直なところ少々ガックリ来ていて修学旅行の行き先は3年に一回見直しの機会が持たれると言うことを聞き、娘の学年はちょうどそれにあたるタイミングで中学3年生をむかえるため行き先がどうなるか、3年前には、それに期待やな、もうちょっといいところにならへん

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インクルーシブだのバリアフリーだの飛び越えたところで

インクルーシブだのバリアフリーだの飛び越えたところで

少し前にようやく、全部大人の歯になった娘。

5歳からお世話になっている歯科医院で懐かし話に花が咲いた。
「はじめて来た頃とは車椅子のサイズ感がまるで違うなぁ…来ましたよーって声かけられてふと振り返ったらびっくりする。」
としみじみ話す先生。
そうなんです先生。もう中3になるんですよ、この子。

この歯医者さん、歯科医院によくある感じの狭いスペースにそれぞれ固定式の治療椅子と治療椅子までしか動かす

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いってらっしゃい

いってらっしゃい

先日、14歳中学2年生の娘が初めて私の手を離れて学校へ行った。
なに言ってんだ。そりゃいくだろうよ、歩いて、一人で、友達とでも、学校ぐらい。
当たり前のことじゃないか、そう思う方もいらっしゃることだろうけれど、私にとっては、私たちにとっては特別で、とても大きな一歩になった。

娘は医療的ケアを必要とする重症心身障害児だ。所謂寝たきりと呼ばれる状態で、歩くことも話すこともできないし、自力で座ることも

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おとなに、なる。

おとなに、なる。

「もう最後の乳歯やね」
14歳、娘の最後の乳歯が抜けた。正確には抜いてもらったのだけど。
一般的に小学校高学年ぐらいですべての乳歯が抜けおちるものらしく、娘は少しばかり遅かったようだった。

重い障害を持ち自分で立つことも座ることもできない娘の体は小さく、20kg程しかない。歩かないからか、手足も小さく、骨もとても脆く細く折れやすい。実際なんてことないリハビリの最中に骨折したこともあった。
娘の体

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土砂降りと晴れ女

土砂降りと晴れ女

夕方、激しい雷とともに雨が降り始めた。デイサービスから帰宅した娘が送迎車から降りて家に入った途端に。ギリギリセーフ。

不思議と娘を連れていて大雨でどうにもならなかった経験はあまりない。

私が思うに、娘は晴れ女なんじゃないか。

いや、雨は降るんやけど。今日なんか、土砂降りやったけども。

☔️

車椅子に乗りお供に医療機器も一緒に荷台に乗せている娘の雨の日のおでかけはなかなかに大変だ。

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医療的ケア児の親が働く時越えるべき壁とわたしの未来へのねがい

医療的ケア児の親が働く時越えるべき壁とわたしの未来へのねがい

働けるかもしれない生まれた時からずーっと心配ばっかりさせてくれた娘が、かつてないほどに元気に学校に休まずに通いはじめたのは小学校3年生の時だった。
その年の秋、医療的ケア児の受け入れ可能な放課後等デイサービスが市内に初めてできて、娘も通いはじめた。

養護学校に通う娘は医療的ケアが必要なため看護師配置のないスクールバスには乗れず、毎日朝9時半の登校時と15時過ぎの下校時の車での送迎は私の仕事だ。

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ゴミ袋が重すぎる

ゴミ袋が重すぎる

週に2回の燃えるゴミの日、片手に娘の車椅子、片手にゴミ袋を掴み家を出る。

養護学校に通っている娘は、心身に重い障害を抱え医療的ケアも必要な為スクールバスに乗ることが出来ず、車で送迎している。毎日ドライブ。

登校時、ゴミを先に捨てておけば身軽なのだけど一回で済ませようというのが隠しきれない、大荷物を抱え重い障害の子を乗せたでかい車椅子を片手に、更にもう片手にごみ袋をつかんでいる私の姿ははたから見

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この体と心で生きていく

この体と心で生きていく

「見た目は子供!頭脳は大人!」

娘は中学2年生、小学校卒業当時学校で受けた発達検査の結果は8ヶ月相当。国民的アニメの超有名な台詞のその真逆を地でいく娘は医療的ケアの必要な重症心身障害児だ。赤ちゃんの頃に持病の悪化急変で心肺停止に陥り後遺症で脳に大きなダメージを負い、障害と生きていくことになった。

理不尽にも限度というものがあるだろう?

難しい病気を抱えて生まれてすぐにNICUに入院し外の世界

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娘が障害を負うまでの昔の話と、今と未来の話

娘が障害を負うまでの昔の話と、今と未来の話

ブログを始めた時に10記事に分けて娘が病気を持って生まれてきてから障害をおうまでの昔話とこれから書いていきたい今と未来の話を書いた。

noteにも、娘のことも書いていきたいので、ここに残しておこうと思う。

以下、ブログ「ぼくらはみんな生きていく」より抜粋。(2019年3月の記事)

はじめに昔の話をしようと思う。

めいの出生直後からの病気のこと。

心肺停止のこと。

障害が残ったこと。

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眠っているはずの我が子を覗く時眠っているはずの我が子もまたこちらを覗いているのだ

眠っているはずの我が子を覗く時眠っているはずの我が子もまたこちらを覗いているのだ

娘が常時つけているサチュレーションモニター、これは娘のSpo2つまり血中の酸素濃度と心拍数を示しているのだけど、その心拍数を見ると娘が眠っているかは私には大体部屋を覗かなくてもわかる。

娘が眠る時に必要な呼吸器、これは眠ると止めてしまう娘の呼吸を助けてくれる機械で、肺へ送り込む空気の漏れ出るシューシューという音がするのだけど、この音の具合で娘が眠っているか、私には大体部屋を覗かなくてもわかる。

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うたをうたいピアノを弾き娘の車椅子を押し全力ダッシュする私のはじめましてのご挨拶

うたをうたいピアノを弾き娘の車椅子を押し全力ダッシュする私のはじめましてのご挨拶

タイトルで自己紹介が完結した気がしなくもないですが自己紹介をしようと思います。

noteの皆様はじめまして。林めぐみと申します。

うたうたいピアノ弾き、一児の母で主婦です。夫と娘と猫と暮らしています。家族命の関西人です。

ちょっとそそうが多いくらいで普通の主婦ですが、変わったところといえば娘が医療的ケアの必要な重度心身障害児ということでしょうか。

娘のこと

13歳中学一年生の娘は、生まれ

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ややこしい父親の話

ややこしい父親の話

我が家からそう遠くない場所に住んでいて容易に会うことのできる私の両親とは、距離の近さの割に、最近はなかなか会わない。私は両親のことは好きだし、両親と私の仲は良いと思うのだけど。

近いからいつでも会えるという油断からか、はたまた双方ドライな性格ゆえか。

あと、思い当たる要因が一つある。

私の父が、ややこしい。

私の姉が一人暮らししていた時、姉を心配していたらしく

「おい、金はあるんか、元気

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