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妄想のカケラたち

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書く習慣アプリのお題 シロクマ文芸部のお題 ....などから妄想したもの
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#短編小説

【短編】マイムマイムが募らせる私のブルー (シロクマ文芸部)

【短編】マイムマイムが募らせる私のブルー (シロクマ文芸部)

文化祭が終わりグラウンドでは恒例の後夜祭が始まった。

後夜祭ではフォークダンスを生徒全員で踊ることになっているのだけど、私は誰かに言われて機械のように踊るフォークダンス(特にオクラホマミキサー)が楽しいと思えなくて嫌いだった。

でも、後夜祭はひと通り踊るとあとは自由解散なのがいい。

大半の生徒はそのままグラウンドに残り時間ギリギリまでそれぞれ文化祭の余韻を楽しんだり、恋の花の種まきをする子も

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【短編】幸せな彼女が愛するヒマワリ畑の秘密(シロクマ文芸部)

【短編】幸せな彼女が愛するヒマワリ畑の秘密(シロクマ文芸部)

ヒマワリへ朝一番に水をやり
手入れをするのが、この夏の彼女の大切な日課です。

都会から少し離れているけれどそんなに不便ではない、緑の多い住宅地で彼女は暮らしています。
子供には恵まれませんでしたが、夫と2人で穏やかな幸せを紡いでいるようです。

この家の庭には、彼女が15年かけて育てたささやかなイングリッシュガーデンがあり、一見ランダムに見えるけれど、考えて植えられている夏の宿根草たちが咲き繁り

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【SS】フユコの歩く理由はフユコにもわからない(シロクマ文芸部)

【SS】フユコの歩く理由はフユコにもわからない(シロクマ文芸部)

ただ歩く、
ただただ、ひたすらに、歩いています。

歩く理由はあったような気がするけれど、忘れてしまいました。

思い出そうと考えるのもなんだかちょっとねぇ...

ただ、立ち止まってはいけないような気だけはして、夕日に急かされながら、ただただ歩いています。

「フユコおばあちゃん!
 どこ行くの?
 みんな探してるよ!」
息を切らせて走ってきたセーラー服のかわいいお嬢さんから声をかけられました。

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妄想のカケラ【好き嫌いの描き方】

妄想のカケラ【好き嫌いの描き方】

#94 好き嫌いの描き方

好き嫌いをはっきりとしたコントラストで描いていたら、いつの間にかひとりぼっちになっていました。

どうやらこの世界の多くの人は好き嫌いをふんわりとしたグラデーションで描いているらしいのです。

しかもそのグラデーションのふんわり感は人それぞれで、もしかしたら、そういうのを個々の価値観と言っているのかもしれません

そして、そういうのを
「お互い認め合いましょうね」
とい

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#シロクマ文芸部【文通:薫風の候】

#シロクマ文芸部【文通:薫風の候】

透明な手紙の香り。
...…がする。

透明なので目に見えないが手紙は確かにこの手にある

手探りで封をあけ
(おそらく)便箋を
これまた手探りでひろげると
香りが一段とはっきりとした。

今回は新緑の風を思わせるような香りだ。

そろそろそんな季節なのですね
手紙に応えるように私はつぶやいた。

この手紙は届くと数日で存在がなくなり
暦の上で季節が変わると
次の手紙がどこからか舞い込む

そんな

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妄想のカケラ【この世界に一つだけの】

妄想のカケラ【この世界に一つだけの】

#70 この世界に一つだけの

「賭けに勝ったお前には約束通り
この部屋の中から一つだけ、
選んで持ち去るのを許可しよう」

大魔王は威厳のある
でも少し口惜しそうな表情で言った。

「光栄に存じます。」
私はうやうやしく頭を垂れてしたたかに礼をした。

賭けには勝てたものの
ここで大魔王のプライドを傷つけるのは命取りだ。

大魔王の宝部屋

ここには古今東西
人間の世界・魔界も含めた
世界のあら

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妄想のカケラ 【半分ずつの法則】(シロクマ文芸部)

妄想のカケラ 【半分ずつの法則】(シロクマ文芸部)

(#シロクマ文芸部
「赤青鉛筆で日記を書く。」から始まる小説)

【半分ずつの法則】

私は赤青鉛筆で日記を書いている。

日記と言ってもその日の出来事を箇条書きにしたためたもので
残念だったり失敗だった事は赤色
良かった事・心が温かくなった事は青色
これが私の日記のマイルール

・今朝は寝坊した 赤
・でも電車の遅延で遅刻にならなかったラッキー 青
・急な作業が増えて昼休みを削った 赤
・いいお

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妄想のカケラ「生まれた街へ」

妄想のカケラ「生まれた街へ」

「生まれた街へ」

小さな街に嫌気が差して、都会の街へ出た

都会の街はキラキラしていてとても刺激的だった
特に夜景やイルミネーションは小さな街では味わえない格別の美しさだった

私は都会の街でひとり
懸命に働き続けた。

それから十年...。

都会の街は今も変わらず煌めき続けているのに
私には色褪せて見えるようになった

私はいつの間にか
心を病んでしまっていたのだ_____

何かに負けたよ

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妄想のカケラ 「鳥のように空を飛びたい者の夢」

妄想のカケラ 「鳥のように空を飛びたい者の夢」

「鳥のように空を飛びたい者の夢」

鳥の翼のような発明機械をつけて、山の上から滑空する。

住み慣れた街がミニチュアの箱庭のように見える。

ついに私は鳥になった

ところが、
イタズラな風が翼を狙うように吹き
あっという間に翼が折れてしまった。

私は落ちる始める

落ちる
落ちる
落ちる

もうだめだ_____

.......

目が覚めた

机の上で考え事をしているうちに
いつの間にか眠っ

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妄想のカケラ「君に会いたくて②」

妄想のカケラ「君に会いたくて②」

お題 「君に会いたくて」

逝ってしまった君に
どうしてもまた会いたくて
人ではない者の力を借りることにした。

対価は僕の心______

特別に呼び戻された君は
以前と変わらず僕を愛している
けれど、僕の心にはぽっかりと穴が空いてしまい君の愛には応えられなくなっていた。

でも、もう、何も辛くない
僕は心をなくしてしまったのだから....

書く習慣アプリのお題から#ショートショート

妄想のカケラ「閉ざされた日記」

妄想のカケラ「閉ざされた日記」

お題 「閉ざされた日記」

記憶のない「私」の日課は
「私」が書いたという数十冊の日記を読むこと。

大切な人に出会い
愛しむ日々が綴られていて
その大切な人の顔はまだ思い出せないけれど
「私」にも日記の私と同じように優しい時間が育まれていった。

でも、困ったことに
最後の1冊だけ鍵がかかっていて読むことが出来ない。
......

鍵のありかを思い出せずにいたけれど
ある日、シーツ交換の時に

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