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妄想のカケラたち

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書く習慣アプリのお題 シロクマ文芸部のお題 ....などから妄想したもの
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#私の作品紹介

失恋【妄想のカケラ】

失恋【妄想のカケラ】

失くしてしまうのが怖くて
ぎゅっと握りしめていたら
知らないうちに壊れていた_

お題:失恋

書く習慣アプリのお題「失恋」から #詩

五月病【妄想のカケラ】

五月病【妄想のカケラ】

「昨日に引き続き今朝も気持ちの良い天気です
 今日も一日晴れるでしょう〜」
朝の天気予報がにこやかに伝えている

爽快な青空にふわふわっと浮き足立ちそうな気持ちを鎮めて、ただ、ただ、今日も「使命」に邁進する

でも、この頃、
何もかも放り出して、この風にふわっと身をまかせてみてはどうだろう?
…なんて、
時々、魔がさすのだけど
きっとそれは、
ほのかに夏が薫るこの風のせい_

お題:風に身をまかせ

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ヨリミチ、万歳!🙌【妄想のカケラ】

ヨリミチ、万歳!🙌【妄想のカケラ】

春がきただけでなんだかソワソワする
でも、うっかり小石になんぞ躓くなよと自分を少しだけ戒める、私は大人だ
でも、やっぱりソワソワっと気が外れて
ヨリミチをしてふと我に返った瞬間の背筋は
それはそれはともて冷たいものだけれど
それはそれでいいじゃんと上手い具合に合いの手が心に響き
そうだよね〜とまたヨリミチは続く
都合のいい大人デス_

お題:それでいい

書く習慣アプリのお題「それでいい」から #

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650円で買った幸せ【妄想のカケラ】

650円で買った幸せ【妄想のカケラ】

春の陽射しの温もりが眠気を誘う釣り堀は時間650円
釣った金魚は三匹まで持ち帰りできる約束だけど
小さな命の世話する器量がないから
釣れなくていいし
うっかり釣れても返せばいいい

そんな無責任な態度をとっても構わないのだという安心を、
垂らした糸の先でぷかぷかとあてもなく水面を漂う浮きを
ぼんやりとただ眺めるだけの幸せを、
私は650円で買ったのだ

風が吹き池のほとりの桜がはらはらと舞っている

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「お得」が私を駆り立てる【妄想のカケラ】

「お得」が私を駆り立てる【妄想のカケラ】

見つめすぎたスマホがフリーズ

今日で「お気に入り」に入っている商品のセールがおしまいですよとか
今月末までに申し込むと30%引になりますよとか

そんな、知らなければ過ぎ去ってしまったであろうなもの
でも、知ってしまうと、何かを失いそうで
どうにかしなくてはと
衝動に駆られながらスマホの画面の「お得」を追いかけ
ずいぶん「時」を消耗していた

ふと我にかえると「まだやってんの?」と呆れた愛猫がこ

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キリトリ世界のないものねだり屋【妄想のカケラ】

キリトリ世界のないものねだり屋【妄想のカケラ】

【キリトリ世界のないものねだり屋】

この小さなスマホ画面の中身を筆頭に
世界は「うらやましい」でいっぱいだ
そんなものに目を背けるようにうつむいて歩くと
花屋の軒先に芽吹いたヒヤシンスと桜の苗木
足元の小さな春を見つけたよ
今この瞬間の私だけの小さな春を
スマホ画面にそっと切り撮ると
少しだけ「うらやましい」が和らいだ気がしたよ

お題:ないものねだり

書く習慣アプリのお題「ないものねだり」か

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満月ベランダの美しいケモノ【妄想のカケラ】ショートショート

満月ベランダの美しいケモノ【妄想のカケラ】ショートショート

【満月ベランダの美しいケモノ】

いい夜ですね。
アパートのベランダ
仕切り板の向こうから声がした

こんな夜更けに誰だろう?

眠れない夜のベランダから少し身を乗り出して隣を覗くと、ふさふさとした銀色の毛の、狼の人、でも人懐っこそうな、そんな獣人がタバコをふかしている

どうやら隣の部屋の住人のようだ

よく手入れしているのだろうか?
満月に照らされた部分が特に白く輝いて美しくて惚れ惚れする

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星へ、お花見。(ショートショート)

星へ、お花見。(ショートショート)

星へ、お花見。

銀河鉄道に乗って火星まで
早咲きの桜を見にゆく

最近ICOCAが使えるようになったって聞いたから使おうとしたら
チケット売り場のおっちゃんが

あん?
ICOCAなの?

…って
めっちゃめんどくさそうに眉間にシワ寄せ寄せでにらむからさっ

はぁっ?
なんかあかんことあんの?
◼️%&$%◎△()0=!!!

…って
ヘンテコになるから普段はほとんど使わない関西弁で
窓口に貼っ

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夜を待つ理由【妄想のカケラ】

夜を待つ理由【妄想のカケラ】

夜を待つ理由

雨が降りそうだけど夜が来るのを待っている
ほら、ずっと向こうにネオンの灯りが見えてきたよ
君の行った遠い街の明るい灯り
降り出した雨にけぶりながらも輝いている
おやすみを言うタイミングを逃しそうなくらい
明るく輝いている

君はどうしているのだろう?…

気になるけれど、
灯りに背を向けてこうもり傘をさす
確かめに行く勇気はないから暗い
僕の街へ戻ってこうもりになろうと思う__

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ひとしきり追いかけたら…【詩】

ひとしきり追いかけたら…【詩】

ひとしきり追いかけたら…

何でもないを装って
手のひらの中で流れてゆく
どうでもいい動画を
ただただ追いかけている

ホントはすごく傷ついているのに
認めたくなくて
ただただ追いかけている

追いかけても追いかけても
何も良くはならないけれど
ひとしきり追いかけたら
傷口に絆創膏を貼るくらいのことは
しようと思っている_

お題:現実逃避

書く習慣アプリのお題「現実逃避」から #詩

I Love…冬日和

I Love…冬日和

【I Love…冬日和】

I Love…

ストーブ猫の寝息が聞こえる午後
じっくり淹れた珈琲は深煎り
お供のクッキーはカントリー風
チョコチップ多め

蕾のスノードロップが頷く窓辺で
小さな足音を立てたのは、
きっと、春。

お題「I Love…」

書く習慣アプリのお題「I LOVE…」から #詩

同じお題で書いた以前の作品も合わせてどうぞ!↓

ミッドナイト・ゼリー【ショートショート】

ミッドナイト・ゼリー【ショートショート】

ミッドナイト・ゼリー

形にならずに散らばった言葉を型に入れ、ゼリー液を流して冷蔵庫へ。

夜がいっそう深くなったころ、再び冷蔵庫のドアを開けると、眩く白い光を浴びせられてしまった。

これで今夜も私に「夜」は来ないだろうと確信しながら冷蔵庫から出した型から慎重に中身を外し、皿の上に無事に着地させると、ぷるんっ♪と波打つ深夜のゼリー。

この間、月面に着陸した探査機にもこんな緊張があったのだろうと

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追伸・海の底のひとりぼっちより【詩】

追伸・海の底のひとりぼっちより【詩】

追伸・海の底のひとりぼっちより

誰かの捨てたアンテナがゆっくりと落ちて来て
掴んだ私は海底ラジオ

流れる唄は懐かしの昭和歌謡から心に沁みる系

グロテスクな気味の悪い姿をした
深い海の生き物たちが集まり始め
もの静かに耳を傾ける

全てが思慮深く、穏やかな海の底

そうして私は、
いつの間にかひとりぼっちではなくなっていたよ。

今回はこちらの続編です↓

書く習慣アプリのお題「海の底」から

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