#ファンタジー
夜を待つ理由【妄想のカケラ】
夜を待つ理由
雨が降りそうだけど夜が来るのを待っている
ほら、ずっと向こうにネオンの灯りが見えてきたよ
君の行った遠い街の明るい灯り
降り出した雨にけぶりながらも輝いている
おやすみを言うタイミングを逃しそうなくらい
明るく輝いている
君はどうしているのだろう?…
気になるけれど、
灯りに背を向けてこうもり傘をさす
確かめに行く勇気はないから暗い
僕の街へ戻ってこうもりになろうと思う__
月へ昇るエレベーターのペンギン【ショートショート】
月へ昇るエレベーターのペンギン
君に会いたくて、月エレベーターのチケット売り場前。
ICOCAは使えないけど、Suicaならオッケーって言われたよ。君がトーキョーにいた頃、一応、作っておいてよかった...。
ホッとしながら出発ロビーの椅子に腰掛けて空を見上げる。
今夜は月に木星が寄り添っているよ
君の見る宇宙はどんな様子なんだろう?
初めての月と久しぶりの君を想い、大人気なく高ぶる気持ち
踊る彼女【ショートショート】
踊る彼女
カラカラと乾いた風に舞う木の葉
赤い靴を履いたパジャマ姿の彼女も優雅に無心に舞っている。
TikTokに載せたらBuZZるかも?
悲嘆に暮れすぎてとうとう打算が生まれ始めたよ(苦笑
彼女の呪いを解くのを諦めた訳じゃないけれど、こうやって見守り続けるのもアリなんじゃないかなって思うんだ。
お題「木枯らし」
書く習慣アプリのお題「木枯らし」から #ショートショート
りんごのつぶやき(シロクマ文芸部)【ショートショート】
今回はこちらのスピンオフ作品になります↓
りんご箱から鈍色の空を見上げて僕はみゃぁ~と鳴き、まだ柔らかい爪でカリカリと箱底をひっかきました。
箱が深くて小さな僕は外に出られないのです。
何度かこちらを覗く人の顔がちらりと見えたけど僕と目が合うと困った顔をして去っていきました。
ぽつりぽつりと冷たいものが顔を濡らし始めたころ、ある人が僕を拾いあげました。
「寒かったね、大丈夫かい」
彼はし