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脚本58「検体検査。」

これは9年くらい前に、初めて脚本を書かなければいけないことになって作ったやつだから、今読み返したらとってもダメでした。
精神的にもダメでした。
たしか女の子役も人がいなくて男がやったんじゃなかったかな。
でも、出しときます。けど読まないで。つまらないよ。
1万文字もあるけど分割してないんだよ。

〇登場人物
・赦恩兎兎(しゃおんらびと)
・棘薔薇乃紅華(いばらのべにか)
・織敷礼(おじぎれい)
・ボニー【本名不明】
・クライド【本名不明】
・織姫絡(おりひめからみ)
○配役しない人物
・ニュースキャスター
・声
・紅(こう)~僕~
・荻野総徳(おぎのそうとく)
・神様
・お嬢様
・悪魔


◆絡。板付き。
★明転。

絡  人が死んだらどうなるか。そんなの死んだ人にしかわからないし、死んだら誰にも教えられないよね。じゃあ、人が死んだらそれまでの記憶はあるのかな? 人って記憶が無くなると性格も少し変わるんだ。だけど強い思いだけは、どこかに残っているらしい。

★暗転。
◆絡移動。
★明転。

絡  僕は今暇なんだ。だから、ある実験をするためにこの列車を作り出した。でも、実験を行うためにはモルモットが必要でね。誰を使うか考えて、声をかけたんだ。そろそろ、その結果がこの列車に集まってくるよ。じゃあ、
絡  「観察を始めようか。」

★暗転。
◆絡移動。
★明転。
――――――――――――――プシャア。―――――――――――――――――――――
◆兎兎。崇拝しながら乗車。

兎兎  あぁ、神よ! 何故あなたの元へ行くのに、このような鉄の塊に乗らねばならぬのです! そうか。これは試練! 試練なのですね! 私が神にふさわしいかどうかをあなたは試しておられるっ! 
絡  あはは。これは珍しい! 神父さんじゃあないですか。
兎兎  そこの君。私は神父ではない。いずれ神となる存在である。
絡  ほう。ん~。こういう人かぁ。
兎兎  あの方の元へ行き、私は神となる。
絡  天国?

◆礼。優雅に乗車。

礼  ああ・・・。女性という存在はなんと美しいのでしょう!
兎兎  じょ! ・・・禁欲! 主よ。これから私の頭をよぎるモノをお許しください。
礼  可憐なお嬢様に数々のメイド様! おっと、メイド達!
兎兎  へへへ。
礼  ですが、ですが、わたくしがお仕えする屋敷には、旦那様とその執事のみっ! 女性など、一人もおりませんっ!
絡  あなたは執事でもなさっていたのですか。
礼   Yes! I’m sheep!
絡  それはbutler・・・。あ。馬鹿なのかな? 「執事」と「羊」は違いますからね。
礼   え? 執事と執事?
絡  「し・つ・じ」と「ひ・つ・じ」

◆紅華。女らしく乗車。新聞紙を胸につめる?

紅華  あら、男しかいないのね。うふふ。
礼   おぉ。女性・・っ! お嬢様以外で初めて生で見た・・・美しい。
兎兎  初めて!? 神の御前(みまえ)で嘘はいけません。
絡  生で。とも言ってましたねぇ。
兎兎  あ。そういうことでしたか。
絡  ふふ。この異端者はどういうことだと思ったのでしょうか。
紅華  美しいだなんて。うれしいわ。もっと言ってくださらない?
礼   お嬢様以外に美しい女性がいたとは。あの、お願いがあるのですが・・。
紅華  なぁに? 嬉しくなっちゃったから何でも聞いてあげるわ。
礼   お、「お嬢様」と呼ばせていただけませんか・・っ。
紅華  え・・? うふふ。是非お願いしたいわ。
礼   あ、ありがとうございますっ! わたくしにとって美しい女性は皆さんお嬢様ですので。
紅華  まぁ。ありがとう。えと・・。
礼   申し送れました。わたくし「礼」と申します。
紅華  ありがとう。礼君。
礼   お嬢様、こちらへどうぞ・・・。

絡  そんなに「綺麗だ」と言われるのがうれしいのかねぇ。

◆ボニー&クライド。二人で手を繋ぎながら会話。フードは被らない。

クライド  ここまで来れば、安心か。
ボニー  撒いたの?
クライド  ああ、そのようだ。
ボニー  さっすがクライドぉ~!
クライド  気をつけろ。まだ、油断はするなよ。
ボニー  うん! だいじょぉ~ぶっ! ちゃぁんと警戒してるからねっ。(大げさに周りを警戒してほしいかな)
クライド  ははは。ボニー。それじゃあ、余計に目立っちまうぜ。
ボニー  え? そうなの? ごめんね~?
クライド  気にするな。たとえ見つかっても、お前だけは無傷で逃がしてやる。
ボニー  だめっ! ちゃんとクライドも無傷じゃなきゃイヤっ!
クライド  ボニー・・・。わかった! じゃあ二人の華麗な逃亡劇をお見舞いしてやろうぜっ!
ボニー  きゃ。クライドかっこいー!

◆ボニー&クライド。二人で手を繋ぎながら乗車。フードを被る。

ボニー  なんでフード被るの?
クライド  被ったほうがかっこいいから。
ボニー  お~! ザ・逃亡者。って感じだね!
クライド  だろ。
ボニー  ね~。クライドさっきからテンションひく~い。
クライド  周りに人がいるからな・・。
ボニー  恥ずかしがり屋さんなんだね。
クライド  なっ。おまえっ。
ボニー  えっへへ~。
クライド  おいっ、手を離すなよ。
ボニー  わかってるよぉ~う。絶対放さなぁ~い。えへへ。
礼   美しい!(手をとる) あなたのお名前はボニーさんと仰るのですか? 失礼、わたくしレペッ!(クライドに殴られる)
クライド  ボニーに気安く触れるんじゃねぇ。レペペ。
礼   し、仕事のミスでしか殴られたことがないのに・・・っ! 礼です。
ボニー  まぁ、クライドったら。ありがと~う。うれしいっ。でも殴ることはないわよぉ。ごめんね? 知らないおじさ~ん。
礼   お、おじっ。おじさん?
クライド  くっ。ボニーが言うなら・・・。
礼   わ、わたくしは、わたくしは・・・、
ボニー  ん?
礼   「お兄ちゃん」と呼ばれたいっ!
ボニー  おにぃ、
クライド  言うなっ!
礼  お兄ちゃん・・・お兄ちゃん・・・(ぶつぶつと)
紅華  女の人なら誰にでも綺麗だとか言うのね? お兄ちゃん? うふふ。
礼   お、おにっ!おにに! コホン。・・綺麗なのはお嬢様だけです。
クライド  んだとぉ!?
ボニー  クライドぉ。急に動いたら手が・・・痛いよぉ。
クライド  す、すまんボニー。大丈夫か。
礼   その、よろしければあなたのお名前を教えていただけないでしょうか。
紅華  うふふ。私の名前? お・し・え・な・い。
礼  (ガクゥ)
紅華  うふふ。嘘よ嘘。ベニカよ。紅い華と書いて紅華。真っ赤な薔薇みたいで綺麗でしょう?
礼  そうですね。よくお似合いです。
紅華  うれしいわ。でも、綺麗な華には?
礼  ホネがある!
絡  トゲだバカ。

絡  あの二人、いつまで手を握り合ってんだ。
兎兎  「愛」ですかな。んん。ん。丁度ここに神である私がいることですし、これから、
絡  ごほん。あ~。そちらの皆さん。今ここにいる5人。僕を含めて6人ですか。ようこそ僕の列車へ。
礼  僕の?(自分に指差す)
絡  ぼ・く・の。君ムカつくねぇ。
礼  でも今僕のって、
絡  (笑いながら)ウザい。死にたいの?
絡  ほら兎兎君もそっちに行って。
兎兎  え、何故、私の名前をご存知で・・。
絡  いいから行け。僕に話を続けさせてくれないかなぁ。あはは。
兎兎  なにかイラついて・・、
絡  あ?
絡  ふぅ~。ごめんね、でもほんと嬉しいよ。兎兎君。こ、紅華さん。ボニーちゃん。クライド君。そして礼ちゃん。
礼   なにその呼び方・・・。
絡  とても楽しいものを見せてもらったからね。
紅華  見せてもらったってどういうことかしら?
絡  あ。そうだ。申し遅れました。僕は「絡」と申します。
紅華  先ほどからこちらの問いにはスルーですのね・・。
絡  あぁ、でもね。名前なんて忘れてくれて結構だよ。それで、
絡  「君たち。なんで僕の列車に乗ってるの?」

◆絡以外ハケ。

絡  彼らが僕の列車に乗る訳。見てみようよ。僕なら彼らの過去を見せられるからさ。なんでかなんて聞かないでよ? そういう力があるとしか答えたくないからさ。見てもらうよ。
絡  「彼らがこの列車に乗るまでの話。」

★暗転。
◆絡ハケ。
◆ボニー板付き。
★明転。
◆クライド登場。

ボニー  どうしよ~クライド~。わ、私、泥棒しちゃったみた~い。
クライド  お~い。ボニィー、仕事はいつも二人で。って言ってるだろ~う?
ボニー  うぅ・・。ごめんねぇ~。
クライド  この街での最後の手柄はボニーに盗られちまったぜっ。
ボニー  もう出て行くの?
クライド  あぁ、少し長居しすぎたしな。それにしても一人でやっちまうなんてすごいじゃないかっ。
ボニー  えへへ~。ありがと~。
クライド  で。いつ盗ったんだ?
ボニー  さっき。クライドがあそこのトイレ行ってた間に・・・。
クライド  て、手際がいいな・・・。
ボニー  あの格好は、神父さんだったかなぁ?
クライド  おいおいボニー。そいつぁ神の手先じゃないかっ!

ボニー  えぇっ! なんかダメなことしたのかなぁ~。返しに行ったほうがいいかな~?
クライド  そんなことしたら捕まっちまうだろ~なぁ。
ボニー  え~!? やだよぅ。捕まっちゃったらクライドと離れ離れになっちゃうよ~う。
クライド  だから逃げるのさっ!
ボニー  い、いいのかなぁ~。
クライド  盗ったら逃げる。捕まらない。それがおれ達の!
ボニー  仕事だね!
クライド  そゆことっ。今回も二人で、
ボニー  二人・・。うんっ! 二人で、
ボニ&クラ  逃げる!

ニュースキャスター  緊急速報です。先ほどの強盗犯は逃走中との情報が入りました。大変危険ですので見かけた方は

ボニー  く、クライドぉ~! わたし達もう追われてるみたぁい!
クライド  なにぃっ!? なんて素早い対応なんだ。

ニュースキャスター  強盗犯は女性だったとの目撃情報を頼りに

ボニー  ク、クライドぉ! 犯人は私だったって言ってるよぉ。
クライド  そんなことまでバレてるのか! この町の情報網をなめてたぜ・・っ。
ボニー  ねぇ、クライド。わたし達、捕まっちゃうのかな・・。
クライド  諦めるな・・。捕まっちゃいけないんだ。俺達は、絶対に捕まっちゃいけない。
ボニー  そうだよね。捕まったら、もう逢えないかもしれないんだもんね。
クライド  世界中を周ることもできなくなるしな。
ボニー  困難が待ち受けてるねっ。
クライド  そんなこと、最初から覚悟してただろ~う?
ボニー  もちろんだよ。
クライド  「あ・・!」
ボニー  クライド?
クライド  行くぞ。ボニー。おれは天才かもしれんっ!
ボニー  あ。クライドぉ~!

◆ボニー&クライドハケ。
★暗転。
◆紅板付き。新聞紙詰めてた場合は抜いておく。
★明転。

紅  あいつと僕が働いてるお屋敷。ここのお嬢様は長い間苦しんでいた。何に? と聞かれても答えられない。どんな医者も原因不明だといっていたからね。そんな時、顔は思い出せないが、男が話しかけてきた。

声  やぁ。紅華さん。あぁ、ここでは紅君なんだっけ? 男のふりをして執事をしているなんて、変わったことしてるよねぇ。

紅  僕は本名を呼ばれて驚いた。それに本当の性別までばれていた。彼は何者だったのだろう。

声  君はお嬢様を大切にしているね。だけど病気は治らない。でもね、僕はお金さえあればどんな病気でも治せる人を知ってる。僕を信じるなら、どうにかしてその大金を集めてね。

紅  「僕は決めたよ」

★暗転。
◆紅ハケ。
◆兎兎板付き。
★明転。

兎兎  私はまた役に立てなかった。

◆絡登場。

絡  また悪魔祓いの仕事だったの? できないのによくやるねぇ。
兎兎  頼まれたら断ってはいけない・・。
絡  出来ないのに。ちゃんとお金は貰っちゃってるんだよねぇ。それって詐欺じゃない?
兎兎  か、神に仕える身でそんな真似するわけがありません!
絡  結果だよ。出来てないのに貰ってちゃあね。ん? どこいくの?
兎兎  銀行です。さっきの預けてなくてはいけないので・・。
絡  あはは! そう。しっかりしてるねぇ。
兎兎  教会を維持するのも、
兎兎  「大変なんだ。」

◆兎兎ハケ。
★暗転。
◆絡ハケ。
◆紅板付き。
★明転。

紅   仕方、ないよね。だって・・お嬢様を助けるためだから。お嬢様が元気になれば、礼、喜ぶだろうし。

◆礼登場。

礼  ねぇ、紅。どうしたの? そんな顔して。
紅   ぇ、え? なに、も。あ、あはは。びっくりするなぁ。やめてよぉ。
礼  だって紅はすぐ顔に出るから、わかりやすいんだよ。
紅   やだなぁ。そんなに僕の顔観察してたのかい?
礼  何をする気かはわからないけど、きっと危ないことなんだろ。
紅   あ、あはは。隠し事って結構難しいんだね。

紅   なんだか、バレちゃってたのかなぁ。あいつ、バカのくせしてたまに鋭いんだから、困っちゃうなぁ・・・。
紅   「ごめんね・・礼。」

◆紅ハケ。
★暗転。
◆荻野総徳板付き。
★明転。
◆絡登場。

絡  荻野総徳さんですよね。紅君と礼君のご主人様。
総徳  誰だ。どこから入った。
絡  あなたの娘さん。綺麗なお嬢様だそうで。
総徳  貴様何をしにきたっ!
絡  何も。娘さん、病気なんですよね。いや、病気で括っていいのか。
総徳  どういうことだ。何か知っているのか! 何人もの医者に見てもらったが、誰一人として原因はわからなかった。
絡  医者じゃあね。そうだなたとえば神父さんは呼んだりしたのかな?
総徳  神父?
絡  そう。娘さんが悪魔に憑かれてるという可能性は・・。
総徳  なにを可笑しな事を・・っ。
絡  そう思いますか。
総徳  ははは・・そんなこと、
総徳  「あるはずがないだろう。」

★暗転。
◆絡ハケ。
◆総徳板付き。
★明転。
◆礼登場。

礼   旦那様。
総徳  娘の調子はどうだ。
礼   残念ですが、お変わりなく・・。
総徳  この屋敷にはメイドがいないからな。
礼   え、ええ。そうですね。
総徳  メイドの一人でもいれば、もっと娘の世話を任せられるんだがな。
礼   あはは。そうですねぇ。この屋敷にも女性がいれば、よかったですね。
総徳  礼、娘のことで頼みたいことがある。
礼   お嬢様のためならばどのようなことでも。
総徳  教会へ行き、神父を連れてきてくれないか。
礼   え。
総徳  何を思ったかはわかっている。それでもいいんだ。
礼  ・・わかりました。
総徳  紅はどうした。あいつにも頼みたいことが。
礼  先ほどどこかへ、
礼  「出て行きました。」

★暗転。
◆礼、総徳ハケ。
◆紅華板付き。新聞紙詰める。車に乗ってる。
★明転。

紅華  なんだったんだあの神父。説得を始めたかと思ったら、あきらめて帰っていって、自由すぎだよ。困ったよ。で、でも、お嬢様を助けられれば。礼だって喜ぶんだから。

ニュースキャスター  緊急速報です。先ほどの強盗犯は逃走中との情報が入りました。大変危険ですので見かけた方は

紅華  早いなぁ。もう、ニュースになっちゃったよ。久しぶりだからやっぱり準備が足りなかったなぁ。

ニュースキャスター  強盗犯は女性だったとの目撃情報を頼りに

紅華  ふぅ。この女の格好は上手くいったみたいだな。旦那様の仕事じゃないと資金が足りなくて・・。それに、このまま屋敷に戻るのは、
紅華  「危険だな・・。」

★暗転。
◆紅華ハケ。
◆兎兎板付き。
★明転。

兎兎  神よ。何故、私は誰も救えないのです。私が聖職者になったのは、あなたなら、全ての人を救えると知ったから。でもそれは聖職者である私には出来ないことでした。
神様  子羊よ。迷っているようだな。正にこれぞ迷える子羊!
兎兎  神になれば救えぬものなどないのに。
神様  迷える子羊よ。祈りなさい。
兎兎  あ、れ? ない。十字架がない・・。
神様  子羊め。十字架を無くしおった。
兎兎  さっき、銀行の中で強盗を説得している時には持っていたハズ・・・。
神様  迷える子羊よ。永遠に彷徨っているがいい・・・。
兎兎  「もしかして・・・。」
★暗転。
◆兎兎ハケ。
◆クライド板付き。
★明転。
◆ボニー登場。

クライド  誰にも怪しまれなかったか?
ボニー  ばーっちし! 店員さんの目をじぃ~っと見てたから、安心だよっ。
クライド  よくやった。さっそくだが、例の物の御披露目と行こうじゃあないか!
ボニー  うんっ。いっくよ~! じゃっじゃーん!
クライド  おー。やったぜ! この手錠があれば。
ボニー  手錠があれば!?
クライド  追っ手が来たって、「おれたちはもう捕まってます。だからあなた達はおれ達を捕まえる必要はないんだぜっ。」って見せ付けられるってわけだっ!
ボニー  ク、クライドすっごぉい! 神様も脱帽だね!
クライド  よぉ~し! じゃあ、まず、あそこの教会で神様にお祈りしてこうぜ。
ボニー  そうだねっ。わたし達が捕まりませんように。ってね。
クライド  あ、なにかお供え物したほうがいいよな。
ボニー  それなら、わたし良い物持ってるよ~。これ。
クライド  十字架か。神様といえば十字架。ボニー、それは最高の贈り物だなっ。
ボニー  うんっ。これ、返しに行ったら捕まっちゃうんだもんね。だったら神様に上げ
ちゃえばいいかな~。ってねっ。
クライド  ボォニィー。おまえは女神様だなぁっ。
ボニー  だったらクライドは神様だねっ。

◆ボニー&クライドハケ。
★暗転。
◆兎兎板付き。
★明転。

兎兎  あの時落としたのかもしれない。強盗を説得できない無力な私自身を嘆き、走ってここまで戻ってきた時。

◆ボニー&クライド登場

ボニ&クラ  おっじゃましまぁ~す!
ボニー  かっみさま。かっみさまっ。どっこですかぁ~。
クライド  あそこにいる神父さんに聞いてみるか。
ボニー  そだねっ。すいませぇ~ん。
兎兎  ん。お~。これはこれは、礼拝ですか?
ボニー  ん? 礼拝? 神様にお願いしに来たの。
兎兎  あはは。そうですか。ようこそ。
ボニー  ・・・あ。
クライド  ボニー?
ボニー  えと、ごめんねっ。神様にお願いするのは、また今度にするよっ。行こ、クライド。
兎兎  まっ、お待ちくださいっ!

◆ボニー&クライドハケ。

兎兎  せっかく、誰かの力になれるチャンスでしたのに。
兎兎  「・・待って下さい!」

★暗転。
◆兎兎ハケ。
◆ボニー&クライド板付き。
★明転。

クライド  ボ、ボニー。どうしたんだ?
ボニー  えとね。これ、あの神父さんの。
クライド  ・・・じゃあ。
ボニー  うん。捕まっちゃう・・・。
クライド  逃げ

◆兎兎登場。

兎兎  あ、まだいた。よかった~。
ボニー  え、えとえと・・。
兎兎  君たち。どうしたんだい? 私でよければ力になるが。
クライド  い、いっやぁ~。神父さんは気にしなくて良いよ。
兎兎  私では力不足と・・。
ボニー  神父さんの力とか関係ないんだよぉ。
クライド  あーーっ!(兎兎の後を指差す。)
兎兎  え?
クライド  いよぉ~っしっ。(ひそひそ)
ボニー  じゃあね~神父さぁ~ん。(ひそひそ)

◆ボニー&クライドハケ。

兎兎  なにかあったので・・あ・・。いない・・。

◆礼登場。

礼  神父さぁ~ん。
兎兎  はい・・。
礼  あれ。元気ないね。具合悪い?
兎兎  いえ。元気元気ですよ。
礼  なら安心です。神父さんの助けが必要でして。
兎兎  わ、私の助けがっ!? も~うなんでも聞きますとも!

★暗転。
◆兎兎、礼ハケ。
★明転。
◆ボニー&クライド登場。

ボニー  ねぇ、クライド。あの神父さん、誰かと話してるよ。
クライド  んん。も、もしや。あの神父さんおれ達の盗みに気づいたんじゃ。
ボニー  えぇ~? これ見られちゃったのかなぁ! 大変だよぉ。
クライド  お、おおおお。落ち着けボニニニッ。
ボニー  くらいどもだよ・・。
クライド  この距離だ。
ボニー  近いね。
クライド  騒がず、こっそりだ。
ボニー  こっそ~り。ね。
クライド  とにかく駅まで行くぜ!
ボニー  クライド。しーっ。
クライド  んぐっ。
ボニー  も~う。
クライド  なぁ、ボニー。次はどの街に行こうか。
ボニー  クライドと一緒ならどこでもいいよぉ~う。

★暗転。

絡  今この列車に乗っている礼ちゃん、兎兎君、紅華さんは、僕の掌で踊らされていたって感じかな? あはは。でも、クライド君とボニーちゃんは色々と誤算だったなぁ。彼らに関しては、僕は列車に乗せる気なんてなかったし。

◆全員板付き。
★明転。

兎兎  わ、私たちが何でこの列車に乗っているかと聞かれましても・・。
絡  僕の列車ね。
兎兎  列車に乗るくらいなのだから、何か目的があるに決まっ、て・・。
絡  わからない。でしょう?
兎兎  ・・・思い出せません・・。
絡  そうでしょう。あぁ、良かった。これで実験は成功だ。
礼  実験?
絡  そう君達を使った実験。僕の暇つぶしを兼ねてるけどねぇ。
紅華  あなたの暇つぶしに付き合わされていたの?
絡  そうだよ。まぁ、そんなことは置いといてさ。実験の内容を説明してあげるよ。
紅華  聞いたって、納得出来ませんけどね。
絡  「人間ってさ、記憶がなくなると、人間性は変わってしまうけど、強い思いだけは残っているんだ。そして、僕の仮説じゃあね、人は死んだら記憶はなくなるんじゃないか。って考えてた。」
兎兎  その実験が成功したって・・。
絡  うん。気が付いた? そう。僕の考えは当ってた。人は死んだら記憶がなくなる。
礼  それだとわたくし達は死んでいると・・。
絡  へぇ。礼ちゃん、バカだと思ってたけど、察しが良いね。そうだよ、
絡  「君たちは死んでいる。」
クライド  え? シンデイル? ボニー、あいつなんて言ったの?
ボニー  えっと~ねぇ。死んじゃったって。わたし達。
クライド  なんだと~!?
ボニー  ねー! ビックリ。でもクライドと一緒だから。まぁ、いいかなぁ。
クライド  ん。待てよ? ってこたぁ、次の仕事は神様から奪うのか?
ボニー  く、クライド。神様をも敵に回すんだねっ。
クライド  神をも恐れぬクライドここに参上!
絡  あぁ、クライド君とボニーちゃんは死んでないよ。
ボニー  え? そなの?
絡  うん。そ~だよぉ~。君たちは何故か普通に僕の列車に乗ってきたんだよねぇ。
ボニー  クライド・・。神様を敵に回すのはお預けだね。
クライド  神様を敵に回すのは、おれ達にはまだ早いってことか・・。
兎兎  私は神の元へと近づいているのですねっ!
礼  美しい女性には、もう会えない・・。
紅華  あら。私がいるじゃない?
礼  紅華さん。お、お嬢様!
絡  死んだって聞かされても、あっさりしてるのは記憶がないからなのかな?
兎兎  この後、どうなるのです?
絡  戻してあげるよ。時間をね。事故にあう直前にもどしてあげるよ。
礼  え? 出来るの?
兎兎  自分で仕組んでおいてよく言いますね。
絡  あはは。僕だって、申し訳ないとは思ってるんだよぉ? 僕の暇つぶしのために君たちを死に追いやったわけだしさぁ。
紅華  それでは、また事故にあうのじゃないかしら?
絡  この列車で起こっていることは記憶から消えないよ。僕のことも。
紅華  あとは私達しだいってことね。
絡  がんばってね~。
兎兎  あなたは何故そのようなことが出来るのです? まるで、
絡  言っとくけどぉ、神なんかじゃないよ。むしろ神なんて僕の敵。
兎兎  悪魔?
絡  あはは。そんな高位な存在じゃあないよ。
兎兎  じゃあ、なんだと・・。
絡  そんなことはもういいよ。そろそろ僕の列車から出てもらわないと。
礼  絡さんはどこに行くのですか?
絡  僕に興味があるの? 僕は、
絡  「どこにでもいるよ。」

★暗転。
◆全員ハケ。
◆紅華、礼板付き。
★明転。

紅華  礼・・。
礼  え。あれ? べ、紅華さん・・?
紅華  いや・・。紅・・だよ。
礼  こ、紅!? だとしたら僕はいままで・・。
紅華  あはは。僕に女の格好をしてほしい?
礼  う、え、えと。
紅華  というか、これだけの変装で気づかない礼が悪いよ。
礼  い、いや・・。だって綺麗だったから・・。う、うぅ・・っ。

◆礼ハケ。

紅華  礼には僕が屋敷にいる理由をまだ知られちゃいけない。

◆紅華ハケ。
◆兎兎登場。

兎兎  絡という男。何者だったんだ。もっと仕事をこなせるようにならなければ。

◆兎兎ハケ。
◆ボニー&クライド登場。

ボニー  クライド! わたし達手錠してるよ!
クライド  なんで手錠なんてしたんだっけ?
ボニー  ・・さぁ?
クライド  忘れちまったな!
ボニー  もしかして、脱獄?
クライド  かもしれない! だとしたら、
ボニー  大変だね!
クライド  逃げるぞっ!
ボニー  次はどこに行く~?

◆ボニー&クライドハケ。


◆兎兎。ボニー&クライドを追って入りハケ。
◆礼。兎兎の少しあとを追って入りハケ。


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