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子どもたちに建築ができること。アイディアをかたちにするツールとは?|設計士・太田恭輔 インタビュー

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今回は、保育園・幼稚園などの子ども施設を手がける、石嶋設計室の太田恭輔さんにインタビューしました。


▲設計士・太田恭輔さん

温度を感じる子ども施設づくり

──まずは自己紹介をお願いします。

太田:石嶋設計室の太田恭輔です。新卒から石嶋設計室に入社し、子ども施設の建築を担当。これまで10施設以上携わってきました。

物心がついた頃からの夢がパイロットで、高校も航空科のある学校に進学しました。当時、その学校から大学受験をする人ってあまりいなかったんですが、ちょっと違うことやりたいなと思い始め、先生に進路相談をすると建築が良いんじゃないかと薦めてもらって。そこではじめて武蔵野大学の環境学部 環境学科(現 工学部 建築デザイン学科)へ行きたいと決めました。

建築はハードな学科ということは知っていたんですが、図面や模型づくりなどやってみると思いのほか楽しくて、大学院まで進学。古民家や名もなき建築の屋根のフィールドワークを中心に研究していました。

──パイロットから建築の道に進んだとは驚きです。石嶋設計室で働きたいと思った理由も教えてください。

太田:僕が就職活動したのは、東京で待機児童問題が一番ピークだった時期だったり、大学の研究室の先生がこども環境学会に所属していたり、と子どもの施設に触れる機会が多くあり、僕自身も社会的意義を感じて、数多くの子どもの建築を設計する石嶋設計室を志望しました。入社して6年経ちますが、まだまだこれからって感じです。

──そんな太田さんが手がけられた建物で印象的なものはありますか。

太田:初めて1人で担当した、東京・世田谷区の保育園です。この案件は、住宅地で道も狭く、搬入制限もあって大きな木材が使えない中で、構造家に相談しながら進めていきました。

当然子どもたちが過ごすところなので、広々と遊べるスペースの確保、安全であることは担保しなくてはいけないという点でも、マテリアル選びはかなり厳選し、職人さんとたくさん議論しました。その結果、出来上がりもお施主様に満足いただけましたし、別の案件もお願いされるようになりました。

建築ってご存知の通り、一つの工事にたくさんの人の手や考えが関わっています。そうした方たちにとってこの建物は自分がつくったと誇りをもって言える、そんな建築に設計者として関われることに毎回喜びを感じています。

出典:石嶋設計室「グローバルキッズ松陰神社駅前保育園」

──素敵な考え方ですね。子どもの過ごす空間づくりは配慮する点も多いと思います。設計する上で意識していること、マテリアルの選び方はありますか。

太田:代表の石嶋の言葉になりますが、「子どもたちの原風景を大事につくる」という考えは、僕も常に意識しています。

床材に使う木材の触り心地や温度感、ぶつけたら傷がつくとかそういう体験ができる空間をつくりたい。できるだけ子どもたちが目に触れるものは素材のまま感じてもらえたらと思い、色はあえて使わずシンプルに留めるようにしています。

そのためにもマテリアルを見て、触ってということは必ずしますし、お施主様にも触っていただく機会をつくります。ときにはマテリアルを床に置いて、裸足で踏んでもらって感触を確かめてもらうこともありますね。

──温度感が伝わるコミュニケーションをされているのだなと感じます。太田さんが今後やっていきたいことを教えてください。

太田:今後は住宅やリノベーションなどの設計もやってみたいです。施設をたくさん担当させてもらい、制限の中でデザインする楽しさもあるんですが、個人邸を設計できたら今までのマテリアルとは違ったものにも出会えるとも思います。

Material Bank® Japanは、キャリアを重ねなくても経験になるツール

──マテリアルの出会いのお話が出ましたが、Material Bank® Japanを利用されてみていかがですか。

太田:すぐ届くっていうのがすごい便利ですよね。パッケージ化されていて、そのままクライアントへ提案できるのは嬉しいです。直近で短納期の案件があったのですが、午後にオーダーしたら翌日の午前中に届いて、助かりました

──お役に立てて光栄です。これまでのサンプルの取り寄せ方と変わった点はありますか。

太田:これまでの取り寄せ方は、カタログやウェブ検索してメーカーさんに問い合わせしていましたが、手元に届くのに数日かかっていました。でもMaterial Bank® Japanは、使ってみようと思うマテリアルサンプルがすぐ比較・検討できますよね。

例えば、「ウォルナット」と検索してみても、さまざまなメーカーさんのウォルナットが表示される。こういうひとつのマテリアルがメーカーを横断して見れるのは便利です。知らなかったメーカーさんも見られるので、ありがたいです。

▲Material Bank® Japan「ウォルナット」の検索結果画面。さまざまなメーカーのウォルナットを比較することができます。

──Material Bank® Japanで発見して採用となったマテリアルはありますか。

太田:今工事中の学童クラブなんですが、Material Bank® Japanで初めて知ったメーカーさんで、中川ケミカルさんの「ホワイトボードMGQ」が採用になりました。

この学童クラブは80平米くらいあるワンフロアなので、既製品のキャスター付きのホワイトボードを置くと、わざわざ持ってくる手間もあるし、それだけで雑多感が出てしまう。

しかも、大きなホワイトボードって既製品か、鉄板を入れてホワイトボードフィルムを貼るかだったんですが、ワンフロアを仕切る引き戸の窓ガラス部分をホワイトボードにするアイディアを思いつき、Material Bank® Japanで検索。

「ホワイトボードMGQ」は、磁石もつくシートになっていて、軽さもあって、すぐに取り寄せようと思いました。

▲太田さんが取り寄せてよかったと話す、中川ケミカル「ホワイトボードMGQ」

──素晴らしいアイディアですね。そういったアイディアも日々考えていらっしゃるんですか。

太田:そうかもしれないですね。常に建築物を見ても、「この構造は〜」とか考えちゃいますし、DIYが好きなので素材の扱い方も勉強しています。設計上は問題ないのに、実際に作ってみると、あるところには手が入らなくて、あと数mm必要なのかと発見がある。自分で手を動かすことで現場を想像できるようになるので、日常の延長線上で考えちゃってるかもです。

──最後に、このサービスができたことでデザイナーたちにどのような変化があると思いますか?

太田:いろんな時間の短縮になりますよね。検討する時間もそうですけど、従来だと色んなメーカーを知るためには時間・経験が必要でしたが、Material Bank® Japanは、年数を重ねなくても経験を積んだ方と肩を並べられるツールになると思います。

設計者は、お施主様と現場の職人さんたちを仲介する翻訳者のような立場にいると思っているので、若いうちから最初からマテリアルが学べるって本当に良いと思うんですよね。

あとは、取り寄せる前の情報がもっとあったらいいなと思うので、事例や経年変化の写真もあったらさらに使いやすくなると思います。

──ありがとうございます。確かに、何年後かの写真があると精度高く提案もできますね。アップデートしていきます。

石嶋設計室

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