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映画/ドラマレヴュー

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観た映画やドラマのなかから興味深かったものについていろいろと。
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#音楽

カン・ダニエルの告白、女性差別…K-POPの光と闇の歴史を辿る『K-POP Evolution』 初出:wezzy(株式会社サイゾー) 2021年7月17日

 筆者がたびたび寄稿していたウェブメディア『wezzy』が、2024年3月31日にサイトの完全閉鎖を予定しているそうです。そのお知らせの中で、「ご寄稿いただいた記事の著作権は執筆者の皆様にございます。ご自身のブログやテキストサイトなどのほか、他社のメディアでも再利用可能です」とあるため、こうしてブログに記事を転載しました。元記事のURLを下記に記載しておきますので、気になる方は閉鎖前に覗いてみてく

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聴力を突然失ったドラマーが気づいた「音」の世界 「聞こえる」ことの意味 映画『サウンド・オブ・メタル』 初出:wezzy(株式会社サイゾー) 2021年6月19日

 筆者がたびたび寄稿していたウェブメディア『wezzy』が、2024年3月31日にサイトの完全閉鎖を予定しているそうです。そのお知らせの中で、「ご寄稿いただいた記事の著作権は執筆者の皆様にございます。ご自身のブログやテキストサイトなどのほか、他社のメディアでも再利用可能です」とあるため、こうしてブログに記事を転載しました。元記事のURLを下記に記載しておきますので、気になる方は閉鎖前に覗いてみてく

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テイラー・スウィフトのメディア戦略と理不尽との戦い方『ミス・アメリカーナ』 初出:wezzy(株式会社サイゾー) 2020年3月22日

 筆者がたびたび寄稿していたウェブメディア『wezzy』が、2024年3月31日にサイトの完全閉鎖を予定しているそうです。そのお知らせの中で、「ご寄稿いただいた記事の著作権は執筆者の皆様にございます。ご自身のブログやテキストサイトなどのほか、他社のメディアでも再利用可能です」とあるため、こうしてブログに記事を転載しました。元記事のURLを下記に記載しておきますので、気になる方は閉鎖前に覗いてみてく

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2022年のポップ・カルチャーを振りかえる

 2022年もポップ・カルチャーに触れていて感じたのは、自身の背景を強く滲ませた正直な表現が増えたということです。音楽作品でいうと、リナ・サワヤマの『Hold The Girl』は、これまで以上に自らの切実な想いが込められた素晴らしいアルバムでした。ロイル・カーナーの『Hugo』も、人生を振りかえりながら、自分の怒りや憎しみと向きあう痛みが顕著な作品と言えます。
 この傾向は今年突然始まったことで

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映画『目指せメタルロード』

 『目指せメタルロード』は、2022年4月8日からネットフリックスで配信が始まった映画。監督は『ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気』(2015)のピーター・ソレットが務め、脚本はドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』(2011〜2019)のD・B・ワイスが書いている。

 本作の中心キャラクターは、高校生であるケビン(ジェイデン・マーテル)とハンター(エイドリアン・グリーンスミス)だ。メタル・バンドを

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2021年のポップ・カルチャーを振りかえる



 おそらく、他の方々と比べてかなり遅いタイミングでのベスト記事発表でしょう。いつもは年末に発表していたんですが、例年よりも仕事とプライベートの忙しさが凄まじく、書く時間をなかなか取れなかったのが遅くなった主な理由です。とはいえ、年度で見ればぎりぎりOKかな?と思うので、どうかご容赦を。

 アルバム、トラック、映画、ドラマ、本のベストを選んだのは従来通りです。ただ、前回は選ぶ作品数を増やしたの

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2020年ベスト・アルバム100と今年のポップ・カルチャー

 他のベスト記事は増やしたのに、音楽のベストを増やさないのはどうなのか? と思い、2020年のベスト・アルバムは一気に100としました。とはいえ、評価基準はこれまでと同じです。質だけでなく、同時代性が感じられるか?も重要視しています。
 選考の対象になっているのは、フル・アルバム、ミニ・アルバム、EPです。作品名を〈『』〉で括っているのがフル・アルバム、〈「」〉はEPとミニ・アルバムでございます。

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アイリッシュ・ドリルとフォンテインズD.C.〜アイルランドのポップ・ミュージックが鳴らす複雑なアイデンティティー

 イギリスのラップ・シーンは、おもしろさが増すばかりだ。スークースといったコンゴの音楽をUKガラージやUKドリルと接合するバックロード・ジーなど、興味深いラッパーが次々と出てくる。その一方で、マイク・スキナーは久々にザ・ストリーツ名義のアルバム『None Of Us Are Getting Out Of This Life Alive』(2020)を発表し、健在ぶりを見せつけてくれた。若手からベテ

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“色”でポップ・カルチャーを楽しむ



 映画やドラマを観るとき、あなたはどこに注目していますか? 役者の演技、制作陣のスキル、脚本のおもしろさなど、さまざまな楽しみ方があると思います。

 今回筆者が取りあげるのは、“色”の視点から楽しむことです。徳井淑子さんによる著書『黒の服飾史』(2019)などが示すように、“色”は時代ごとに異なるイメージを纏っています。たとえば、中世以前の黒は“貧しさ”や“醜さ”を象徴する色でした。ところが

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映画『ティーンスピリット』



 ドラマ『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』でも好演した俳優マックス・ミンゲラの監督デビュー作。それが『ティーンスピリット』だ。主演にはエル・ファニングを迎え、さらに『ラ・ラ・ランド』の音楽監督だったマリウス・デ・ヴリーズも参加するなど、興味深い人選が目立つ。

 物語はイギリス南部のワイト島から始まる。母親のマーラ(アグニエシュカ・グロホウスカ)と暮らすヴァイオレット(エル・ファニング)は、

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ビヨンセとオカシオ=コルテスが示す“イメージ”の変化



 あらゆる情報が手に入る現在において、“虚飾”に怒る人はどれくらいいるのだろう? 多くのメディアで綺麗な写真をインスタグラムにアップするためのコツが紹介される一方で、そのインスタグラムでは世界中のスーパースターが加工済みの写真を次々とアップする。それでも大勢が“いいね!”をつけ、スターへの愛情を絶やさない。そうした状況を見ると、“イメージ”は作られるものと知ったうえで、それを人々は楽しむように

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わたしの2017年

 2017年も、フリーのライター/編集としてなんとか活動できました。ライター活動を始めたのが2010年だから、この仕事は今年で8年目ということになる。正直、ここまでやれるとは思っていなかった。毎月どこかで書かせてもらい、それで得たお金で生活をすることに、いまだ馴れません。
 読者から感想をいだたくことも、素直に嬉しいと思いつつ、居心地の悪いが拭えない。主にクラブ、ライヴハウス、レコード店などで感想

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言葉を取り戻すことは、自分を取り戻すこと ~ 2016年のポップ・カルチヤーを考える ~

 毎日新聞のサイトで、『安易な同調に「膝カックン」 言論、一人一人で染めよう』という記事を見かけた(※1)。この記事は、ライターの武田砂鉄が “言葉” について語ったものだ。近年の事象をいくつか例に挙げながら、言葉の自由が失われつつある現状に批判を投げかける内容で、言葉を取り戻すことの重要さを訴えている。

 そんな記事が出た約1ヶ月前、いとうせいこう & リビルダーズのアルバム『再建設的』がリリ

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