松田綜合法律事務所(Matsuda&Partners)

2002年8月設立 / 代表弁護士松田純一(東京弁護士会)/ 東京都千代田区大手町所在…

松田綜合法律事務所(Matsuda&Partners)

2002年8月設立 / 代表弁護士松田純一(東京弁護士会)/ 東京都千代田区大手町所在/ 弁護士44名在籍(2024年1月1日現在) / 事務所HP https://jmatsuda-law.com/ 事務所公式X @MatsudaPartners

記事一覧

スマホソフトウェア競争促進法 巨大IT企業に挑む 新しい競争ルールの導入

令和6年6月12日、スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律(スマホソフトウェア競争促進法)が成立しました。同法は、令和7年12月1…

営業秘密の管理① 営業秘密とは?~秘密管理措置の概要~

2024年6月30日 個人情報・プライバシー分野チーム 弁護士 髙市惇史 1 はじめに  転職する従業員による営業秘密の持出しなど、営業秘密の漏えいに関する報道に接する機…

【景表法関連】買取サービスへの景表法の規制適用について

2024年6月27日 弁護士 永木 琢也 1 はじめに  令和6年4月18日、「景品類等の指定の告示の運用基準について」(景品類等の指定の告示の運用基準について(caa.go.…

【スポーツ関連】アスリートの肖像権・プライバシー権

1 はじめに スマートフォンをはじめとするデジタル技術の普及により、コンテンツ制作環境は大きく構造変化が生じており、アマチュアや一般人もコンテンツ制作に大量に…

【AI関連】AI事業者ガイドライン(第1.0版)のポイント解説① AI利用者向け

2024年5月31日 個人情報・プライバシー分野チーム 弁護士 森田岳人 AI事業者ガイドライン(第1.0版)の取りまとめ経産省と総務省は、生成AIの普及や急激な技術の変化等に…

【2024年11月施行予定】コンテンツビジネスとフリーランス保護法~施行令、規則案を踏まえた今後の対応~

                           2024年5月2日                           弁護士 梅澤 隼 第1 はじめに  公正…

セキュリティ・クリアランスとは?2024年通常国会で成立予定のセキュリティ・クリアランス法案の概要

2024年4月30日 個人情報・プライバシー分野チーム 弁護士 髙市惇史 1 はじめに  2024年4月9日の衆議院本会議において、セキュリティ・クリアランスについて定める「重…

【個人情報をクラウドに保存している事業者必見】クラウドサービスの利用に関して個人情報保護委員会が注意喚起

2024年4月1日 個人情報・プライバシー分野チーム 弁護士 森田岳人 個人情報保護委員会による注意喚起個人情報保護委員会は、2024年3月25日、「クラウドサービス提供事業…

改正次世代医療基盤法

2024年3月29日 弁護士 木舩恵 1 次世代医療基盤法の改正2023年5月に「医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律」(以下、「次世代医療基盤法」…

社員が営業情報を外部に流出させた行為の不正競争防止法(営業秘密複製罪)該当性について地裁は有罪であったが、高裁では秘密管…

【不正競争防止法-条文紹介】 (定義) 第二条 この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。 6 この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理され…

【事件解説】NTT西日本系列会社情報漏えい事件で、実行犯が不正競争防止法違反で逮捕・起訴

2024年2月27日 個人情報・プライバシー分野チーム 弁護士 森田岳人 事件の経緯西日本電信電話株式会社(NTT西日本)の100%子会社である株式会社 NTT マーケティング…

【2024年4月施行】改正不正競争防止法による営業秘密保護の強化

2024年2月20日 個人情報・プライバシー分野チーム 弁護士 髙市惇史 はじめに昨年、通常国会において可決成立した「不正競争防止法等の一部を改正する法律」(法律第51号…

ユニバーサルミュージックがTikTokとの契約を解消について

欧州議会ではいわゆるバリューギャップの問題を是正するべく音楽ストリーミングの公平性や持続可能性の確保等を目的したEU規則案が先日採択されました。国内でもバリューギ…

【労務Tip】その請負は違法な偽装請負じゃないですか?(偽装請負の判断基準・労働者性の判断基準(37号告示と昭和60年報告との…

【質問】 Q. 当社は、お菓子の製造メーカーの会社から業務委託を受けて、そのメーカーの所有する工場内において、当社の従業員にお菓子の製造を行わせています。最近、ニ…

【逆転判決!】地裁では漏洩した社内情報が営業秘密として有罪だったが、高裁では秘密管理性を否定されて、持ち出した者が逆転無…

【前提事実 被害者H社のワークフロー】 ・被害会社であるH社は自動車部品の仕入れや販売を行っている綜合商社で、令和4年10月3日時点でアルバイトを含めて従業員は142人…

【記事解説】『生成AI「ただ乗り」へ危機感 無断学習の歯止め案、国がパブコメへ』へのコメント

ニュースコメント(生成AIと著作権法) 著作権法30条の4柱書きは、「著作物は、次に掲げる場合その他の当該著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受さ…

スマホソフトウェア競争促進法 巨大IT企業に挑む 新しい競争ルールの導入

スマホソフトウェア競争促進法 巨大IT企業に挑む 新しい競争ルールの導入

令和6年6月12日、スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律(スマホソフトウェア競争促進法)が成立しました。同法は、令和7年12月19日までに施行されることになります。

1 スマホソフトウェア競争促進法の目的(法1条)スマホソフトウェア競争促進法は、経済成長のエンジンとなるべきデジタル分野での公正な競争環境を確保することにより、多様な主体によるイノベーションが

もっとみる
営業秘密の管理① 営業秘密とは?~秘密管理措置の概要~

営業秘密の管理① 営業秘密とは?~秘密管理措置の概要~

2024年6月30日
個人情報・プライバシー分野チーム
弁護士 髙市惇史

1 はじめに
 転職する従業員による営業秘密の持出しなど、営業秘密の漏えいに関する報道に接する機会が増えていると感じている方も多いのではないでしょうか。実際、独立行政法人情報処理推進機構「企業における営業秘密管理に関する実態調査2020」報告書によれば、営業秘密の漏えいルートとして、2020年の調査では「中途退職者(役員・

もっとみる
【景表法関連】買取サービスへの景表法の規制適用について

【景表法関連】買取サービスへの景表法の規制適用について

2024年6月27日
弁護士 永木 琢也

1 はじめに

 令和6年4月18日、「景品類等の指定の告示の運用基準について」(景品類等の指定の告示の運用基準について(caa.go.jp))が改訂、施行されました(以下「本改訂」といいます。)。本改訂は、買取りサービスに係る消費者トラブル事例が複数報告されていることを受けてなされたものであり、巷では本改訂により、買取サービスが景表法の規制の対象に含ま

もっとみる
【スポーツ関連】アスリートの肖像権・プライバシー権

【スポーツ関連】アスリートの肖像権・プライバシー権


1 はじめに スマートフォンをはじめとするデジタル技術の普及により、コンテンツ制作環境は大きく構造変化が生じており、アマチュアや一般人もコンテンツ制作に大量に参入することができるようになりました。また、SNS等を活用して制作したコンテンツを瞬時に全世界に発信することができるようになっています。このような時代を一億総クリエイター時代と呼ぶこともあります。
 
 他方で、スマートフォンのカメラを利用

もっとみる
【AI関連】AI事業者ガイドライン(第1.0版)のポイント解説① AI利用者向け

【AI関連】AI事業者ガイドライン(第1.0版)のポイント解説① AI利用者向け

2024年5月31日
個人情報・プライバシー分野チーム
弁護士 森田岳人

AI事業者ガイドライン(第1.0版)の取りまとめ経産省と総務省は、生成AIの普及や急激な技術の変化等に対応するために2023年から有識者等と議論を重ね、2024年4月19日に「AI事業者ガイドライン(第1.0版)」を取りまとめて公表しました。

AI事業者ガイドラインは、過去に策定された複数のガイドラインを統合し、最新の状

もっとみる
【2024年11月施行予定】コンテンツビジネスとフリーランス保護法~施行令、規則案を踏まえた今後の対応~

【2024年11月施行予定】コンテンツビジネスとフリーランス保護法~施行令、規則案を踏まえた今後の対応~

                           2024年5月2日
                          弁護士 梅澤 隼

第1 はじめに

 公正取引委員会は、令和6年4月12日、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行令(案)」等について、パブリックコメントの募集を開始しました。
 いわゆるフリーランス保護法は、本年6年11月1日に施行が予定されており、本法成

もっとみる
セキュリティ・クリアランスとは?2024年通常国会で成立予定のセキュリティ・クリアランス法案の概要

セキュリティ・クリアランスとは?2024年通常国会で成立予定のセキュリティ・クリアランス法案の概要

2024年4月30日
個人情報・プライバシー分野チーム
弁護士 髙市惇史

1 はじめに
 2024年4月9日の衆議院本会議において、セキュリティ・クリアランスについて定める「重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案」(以下「本法案」といいます。)が可決されました。まだ参議院における審議が残っている段階ですが、セキュリティ・クリアランスとはどのような制度なのか、本法案の概要をご説明します。

もっとみる
【個人情報をクラウドに保存している事業者必見】クラウドサービスの利用に関して個人情報保護委員会が注意喚起

【個人情報をクラウドに保存している事業者必見】クラウドサービスの利用に関して個人情報保護委員会が注意喚起

2024年4月1日
個人情報・プライバシー分野チーム
弁護士 森田岳人

個人情報保護委員会による注意喚起個人情報保護委員会は、2024年3月25日、「クラウドサービス提供事業者が個人情報保護法上の個人情報取扱事業者に 該当する場合の留意点について(注意喚起)」と題する文書を公表しました(以下「本文書」といいます)。
クラウドサービスを利用する際の個人情報保護法上の留意点については、これまでも個人

もっとみる
改正次世代医療基盤法

改正次世代医療基盤法

2024年3月29日
弁護士 木舩恵

1 次世代医療基盤法の改正2023年5月に「医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律」(以下、「次世代医療基盤法」といいます。)が改正され、「医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報及び仮名加工医療情報に関する法律」(以下、「改正次世代医療基盤法」といいます。)が成立しました。改正次世代医療基盤法について、施行日は2024年4月1

もっとみる
社員が営業情報を外部に流出させた行為の不正競争防止法(営業秘密複製罪)該当性について地裁は有罪であったが、高裁では秘密管理性がないことを理由として営業秘密に該当せず逆転無罪となった事件(営業秘密侵害罪被告事件、刑事事件です)

社員が営業情報を外部に流出させた行為の不正競争防止法(営業秘密複製罪)該当性について地裁は有罪であったが、高裁では秘密管理性がないことを理由として営業秘密に該当せず逆転無罪となった事件(営業秘密侵害罪被告事件、刑事事件です)

【不正競争防止法-条文紹介】

(定義)
第二条 この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
6 この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。
(罰則)
第二十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、十年以下の懲役若しくは二千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する

もっとみる
【事件解説】NTT西日本系列会社情報漏えい事件で、実行犯が不正競争防止法違反で逮捕・起訴

【事件解説】NTT西日本系列会社情報漏えい事件で、実行犯が不正競争防止法違反で逮捕・起訴

2024年2月27日
個人情報・プライバシー分野チーム
弁護士 森田岳人

事件の経緯西日本電信電話株式会社(NTT西日本)の100%子会社である株式会社 NTT マーケティングアクト ProCX(ProCX 社)及び NTT ビジネスソリューションズ株式会社(BS社)における大規模な個人データの情報漏えい事件で、2024年1月31日、ついに実行犯が不正競争防止法違反の被疑事実で逮捕されました。実

もっとみる
【2024年4月施行】改正不正競争防止法による営業秘密保護の強化

【2024年4月施行】改正不正競争防止法による営業秘密保護の強化

2024年2月20日
個人情報・プライバシー分野チーム
弁護士 髙市惇史

はじめに昨年、通常国会において可決成立した「不正競争防止法等の一部を改正する法律」(法律第51号。以下「2023年改正」といいます。)のうち、不正競争防止法(以下「不競法」といいます。)に関する改正が2024年4月1日から施行されます。
2023年改正において、不競法については、

デジタル化に伴う事業活動の多様化を踏まえ

もっとみる
ユニバーサルミュージックがTikTokとの契約を解消について

ユニバーサルミュージックがTikTokとの契約を解消について

欧州議会ではいわゆるバリューギャップの問題を是正するべく音楽ストリーミングの公平性や持続可能性の確保等を目的したEU規則案が先日採択されました。国内でもバリューギャップの問題を是正するべきという意見が従来から継続してなされており、2024年1月23日に開催された文化審議会著作権分科会政策小委員会でもレコード会社や実演家の業界団体からこの点についてヒアリングを実施しています。DX時代におけるクリエイ

もっとみる
【労務Tip】その請負は違法な偽装請負じゃないですか?(偽装請負の判断基準・労働者性の判断基準(37号告示と昭和60年報告との関係性))

【労務Tip】その請負は違法な偽装請負じゃないですか?(偽装請負の判断基準・労働者性の判断基準(37号告示と昭和60年報告との関係性))

【質問】

Q. 当社は、お菓子の製造メーカーの会社から業務委託を受けて、そのメーカーの所有する工場内において、当社の従業員にお菓子の製造を行わせています。最近、ニュースで偽装請負というワードを耳にしたのですが、どのような場合に偽装請負と判断されるのか、区別基準などはあるのでしょうか。

【回答】

A. 厚労省作成の「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和 61 年労

もっとみる
【逆転判決!】地裁では漏洩した社内情報が営業秘密として有罪だったが、高裁では秘密管理性を否定されて、持ち出した者が逆転無罪になった事例

【逆転判決!】地裁では漏洩した社内情報が営業秘密として有罪だったが、高裁では秘密管理性を否定されて、持ち出した者が逆転無罪になった事例

【前提事実 被害者H社のワークフロー】

・被害会社であるH社は自動車部品の仕入れや販売を行っている綜合商社で、令和4年10月3日時点でアルバイトを含めて従業員は142人。
・「パーツマン」というK社システムを導入していた
(パーツマンの使用方法)
・パーツマンをインストールしているPCに起動するために、K社提供のUSBキーを挿入する
→パーツマンを起動(なお、H社は常にUSBキーをPCに挿しっぱ

もっとみる
【記事解説】『生成AI「ただ乗り」へ危機感 無断学習の歯止め案、国がパブコメへ』へのコメント

【記事解説】『生成AI「ただ乗り」へ危機感 無断学習の歯止め案、国がパブコメへ』へのコメント

ニュースコメント(生成AIと著作権法)

著作権法30条の4柱書きは、「著作物は、次に掲げる場合その他の当該著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合には、その必要と認められる限度において、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。」と定めています。「当該著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合」(非享

もっとみる