大日本末期文学全集

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『『「LINE壊れてんだよね」』の続き』

昨日のこちらの続きです。

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「こんなこと&#d)Ж〟{∵」

彼女はまるで正気を失ったように

言葉にならない音を並べる

さっきバーで声をかけたときの

可愛らしい顔は

泣き腫らしてくしゃくしゃ

店員さんに詫びを入れながら

またも彼女の腕を引いて

通りへ連れ出す

俺もいちおう

彼女のスマホを確認する

あぁ俺じゃロックが解除されない

「¢%/`仝?ф▽」

顔を両膝にう

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ヒント6

『「LINE壊れてんだよね」』

「LINE壊れてんだよね」

出たよ

じゃあさっきからいじってる

その緑のアプリ

なんなんだよ

「インスタもなんか壊れたっぽい」

まぁボロいシステムだこと

こんなのは慣れている

当たって砕ければいいんだよ

俺みたいなやつは

きょうもきょうとて

出会いに勤しむ

「信じてないでしょ?」

もはや俺はこの目の前にいる女子から

撤退しようとしていた矢先

そんな言葉を投げかけられた

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ヒント8

『もう一周してみたんだ』

なつやすみの自由けんきゅう

どうしようかなって思って

へやのまどから

海を見てぼうっと

考えてたんだ

そしたらね

地球はほんとうに

まるいのかなって思ったから

調べてみることにしてみたんだ

さっそくパパにたのんで

ぼくんちから

ひこうきを飛ばしてもらって

ずっとずっとまっすぐ飛んで

とちゅう休けいもしてね

そしたら

ぼくんちについた

地球はまるかったです

あれ?

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ヒント5

『プリン』

通りすがりの人に訊ねてみれば

私は3ブロックもはずれた位置を歩いていた

10階建ての公団住宅が縦横に

見渡すだけで数十は軒並んでいる

S氏宅を訪れる理由はふたつあって

ひとつは

貸したカネの催促

だから

行くぞという予告はしていない

ところがこれはまあ

汚い言い方をすればハシタガネなので

どうでもよくて

目的の棟の横手に着いた

まずは窓側へ回って

在宅を確認する

えぇ

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ヒント6

『思い出古地図』

工房は東側に小さな窓がひとつあるだけで

それも半地下になっており

通りの向かいの家を越えてからでないと

朝日が差し込むことはなくて

つまりはほとんど

ランプを灯さないことには

作業などできなかったと思う

地図職人だった爺さんが

父や僕に仕事を継がなかったのは

まともに食っていける仕事じゃないからって

聞かされている

たしかに僕の生きているこの時代に

建築家や土木作業者の測量

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ヒント1

『そういうところだよ?』

パパはわたしの発言を耳にした途端

フォークとナイフをパタリと止めて

ハの字にお皿へ置いて

そしてそれならば

おまえの意志は尊重するし

気持ちの奥では応援するが

経済的な支援は一切しない

また

帰郷を許さないのはもちろんのこと

連絡も絶つ

と言って退けられた

別にかまわないけど

というのが

そのときのわたしの思い

そりゃ他よりは多少は裕福でしょうけど

こんな田舎町で

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ヒント3

『おかげで100円出して』

「あの…」

反応がない

「あの…」

「なんすか」

「あの、煮玉子…」

「入ってますよ」

「は、はい、はい、入ってます煮玉子…」

俺のはらわたは

スープの寸胴のごとく煮えくり返っていた

ところがそれを

うまく言葉にできない

一口すする

さほど旨…

旨い…

悔しい

今回は俺の負けである

完敗だ

だって

再訪したいもの

もうきょうみたいな

ミスはしない

店主らし

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ヒント2

『でそのボンクラがさらに驚くことに』

(まえがき)

さて一言お題シリーズラストの5作目は、まえがきから失礼します。まずは出題いただいたアヤコ14世様、ありがとうございます。

で、いただいたお題が「ボンクラ」だったんですが、すでに拙作に同タイトルがあるんですよ。だから今回はその続きを書くことにしました。

(前回までのあらすじ)

世界征服をたくらむ極悪秘密結社「暗闇前衛半裸旅団」に恋人を囚われてしまったシンイチ(あだ名はボンクラ)

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ヒント7

『匕首(あいくち)を』

見晴らしのよい高原に位置するその建物は

打ちっぱなしのコンクリート壁に囲まれて

まるで美術館のような佇まいで

予約は数か月先まで埋まっているというから

どれだけの盛況かと思ったら

わたしのほかにお客の姿はなくて

友人から

怖いと評判のお化け屋敷のチケットが1枚だけ取れたけど

急用で行けないといわれて

それとなく興味本位で足を運んでみたわけ

わたしの住む都会から

電車とバスを乗

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ヒント3

『なんとかケーション』

苦痛

なにがつらいって

課員みんなそろって

毎日ランチに行くんです

課長曰く

”飲みにケーション"が出来ないから

"昼にケーション"なんですって

あぁわたしは一人でのんびり

お弁当でも食べたいのに

課長が選ぶお店はだいたい

体育会系の学生が好みそうな食堂か

ラーメン屋さん

課員6人でカウンターに並ぶこともあって

誰も異論を言わないのが

ほんとうに不思議です

まぁ課長は

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ヒント5