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『不老不死の薬ができた』


とおい昔

ある国のある大臣が

クーデターを試みた


方法は毒薬による暗殺


すべての権力を

ほしいままにしていた国王は

そのチカラを永遠のものとしようと

不老不死を強く願っていた


国民はもとより

取り巻きのものに強く当たるから

それを快く思うものなど皆無だった




不老不死の薬ができた




そんなのはもちろん嘘で


毒薬をそう伝えて飲ませようと

その大臣は考えた




「今宵お眠りになる前、おひとりでどうぞ」


大臣はそう添えて

国王に小瓶を手渡す


「不老不死の薬とはよくやった」


国王もまんざらではない


「手に入れるのに苦労しました」

「ところでな、これ」

「は、なにか不審な点でも?」

「これ、このラベル」


劇薬を飲む前からこの国王は

おかしくなってしまったのではと

妙な考えが大臣の脳内をよぎった


なぜなら大臣は

瓶にラベルなど貼っていない


「ラベル…ですか?」

「そうラベル」

「あぁ馬鹿には見えないラベルって書いてあるな、おまえ読めないの?」

「よ、読めます…もちろん読めますとも」

「だよね読めないラベルが貼られた薬、おうさまに飲ませらんないもんね」

「もちろんでございます」

「じゃなんて書いてあるの?」

「ふ、不老不死の薬と…」

「嘘つけ毒薬って書いてあるよばーか」




かくして国王はその後も

健康を持て余し

権力の猛威を振るう日々を続けたとさ












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