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書いている小説

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書いている小説をまとめました。 こちらはホラー小説です。 https://note.com/maki0806/m/m6453eb5d2608
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#創作

真木崇志
割引あり
ある男のここ半年の出来事と今のこと。

ある男のここ半年の出来事と今のこと。

 約22900文字の小説を書きました。
 内容は、タイトル通り。ある男のここ半年の出来事と今のことです。

 おそらく、もう二度と書けない物語。



 主導権はそっちじゃない、こっちにある。

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イノセントワールド 小説

イノセントワールド 小説

 直哉は机にあった鏡で自分を見た。

そこには、十七歳の少年が映っている。
自分はこんな顔だったのだろうかと驚いた。
大量の汗と、悲痛な表情。
これが自分だと理解出来なかった。
思考回路が急速に、ある終着点に向かっていくのがわかった。頭の中でそれを否定するが、どうしてもそこにたどり着こうとする自分がいた。
嫌だ。
嫌だ。
いやだ?
いやだ?
それをするのがいやだ?
いや、考えるのももう嫌だ。
いや

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臨命終時 #2000字のホラー

臨命終時 #2000字のホラー

臨命終時 #2000字のホラー

 白い壁が見える。頭が割れるように痛い。自分の目で確認した訳ではないのに、体の様々な場所から血が出ているのがわかる。経験した事のない痛みが襲っている。痛い。
「助けて」
 意識が遠のく。

 懐かしい景色が目の前に広がっている。子供の頃によく兄弟たちで遊んだ公園だ。大きな池も見える。ここに来るのはいつ以来だろうか。入口からゆっくりと中に入った。
 桜の花が咲いてい

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はっぴぃえんど 2000字のホラー小説

はっぴぃえんど 2000字のホラー小説

 はっぴぃえんど

 朝起きて、家を出て、電車に乗る。会社に着いて、仕事して、帰る、そんな日々を繰り返し、気がついたら30代に突入していた。今している仕事は嫌いではないが好きでもない。勿論学生時代に憧れた職種ではない。給料に大きな不満はないものの、少なすぎるとは思わない。だからよく私は「これでいいのだ」と、我に返りそうになる自分に言い聞かす。

 「20歳ならまだしも、この歳で仕事をやめてやりたい

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君へ贈る景色-夢幻鉄道

君へ贈る景色-夢幻鉄道

前回書いた小説の続きです。こちらを読まなくても楽しめますが、読むとさらに楽しめます。

 不思議な夢を見た。夢というのは大抵不思議なものだとわかっているから、不思議と前につけなくてもいいのだが、あえてつけたくなる位不思議であった。酒を飲みすぎているのが原因で普段より不思議になった可能性はいなめないが、とにかく変な夢だった。その夢でも僕は電車で居眠りしていて、起きたら車内がいつの間にかレトロな内装に

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君に見せたい景色

君に見せたい景色

 ホスピタルアートの小説です。

以前書いた小説の原点となる話です。今回の話から読んでもわかりますが、前回書いた2つの小説も読んでいただけたら嬉しいです。

続きになります。

 君に見せたい景色

 あの日から自分の人生は大きく変わった。それまで望んでいた未来ではないが、この今の人生で良いと心から思う。

 あの日、待望の我が子が生まれた。二人で幸せに浸ったが、喜びはつかの間、すぐに終わってしま

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スタートライン 1

**フィクションの連載小説です。

 このままずっと潜っていたいと切に願った。ずっとこの時間が続けばいいと思った。水中から太陽を見上げるのが好きで、その光にいつも癒されているが、今日はいつも以上に癒してくれていた。その光に心が浄化されていくのがわかる。魚を見たり、珊瑚を見たり、カメとか見たり、洞窟に入るのも好きだけど、こうやって太陽の光にただただ包まれるのも好きだ。生命の起源は海らしいが、細胞レベ

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あの日の僕(第1話)━電車

あの日の僕(第1話)━電車

あの日の僕(第1話)━電車
中央線で思い出したのはあの日々
子供の頃の自分が今の自分を見たら何を思うだろう?



この前、久しぶりに中央線に乗りました。その時、あまり思い出したくない記憶が勝手に蘇ったのです。実は、この電車で0歳から小学6年の誕生日まで通院していました。すぐにある絵本が脳裏に浮かぶ。

小さい頃、電車の中で絵本の「ウォーリーを探せ」を読んで、検診の事考えないようにしていた。だか

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明日の月

明日の月

 ねえ、今でも目を閉じれば思い出せるよ。

 当時は長く感じていた時間も、こうして振り返ると、あっと言う間の様に思える。将来の事で色々悩んでいたし、お金もそんなにある訳でもなかったけど、心はすごく満たされていたよ。私はあの日みんなで一緒に見た月を忘れない。みんな、きっとそうだよね。

 ある大阪の私立大学。いつものこの時間であったらとっくに学生の姿は消え、ひっそりとしているはずの構内も、今日ばかり

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