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#創作小説
【ショートショート】 ガラス越しのバス停
そのバス停の近くには、古いたばこ屋があった。
電子たばこや自動販売機が広まっている今、そのたばこ屋はなかなか流行っているとは言い難い。
それでもバス停に用事のある人がひょいと立ち寄るくらいの場所にあるものだから、バスの利用者が悪気なく、店の前のベンチを使う。
お店のやりくりをしているのは、白髪で背の低い一人のお婆さんで、バスの利用者がバスを待つついでにベンチに座り、お婆さんと談笑するようなこと
【ショートショート】 ある不思議な夜のこと
ふと何かの物音で目を覚まし、寝ぼけ眼で時間を確認すると、時計はちょうど午前3時を回った頃だった。
寝返りを打つのも億劫なくらい体中は重く、燃えるように熱い。昼間に感じた倦怠感は、見事にひどい頭痛と発熱を連れてやってきた。
(明日からの連休は引きこもって終わりかな……。)
ため息をついて改めて布団に潜ろうとした瞬間、妙なことに気がつく。消したはずのキッチンの電気がついているのだ。1Kのこ
【ショートショート】 15分のつづきは
いつも通りの時間に電車を降りる。そのまま改札を出てバス停に向かう。いつも通りの時間にバスが来る。混雑を避けて、他の子たちより数本早いバスだ。いつも通りの場所に、きみは座っている。私は素知らぬ顔をしてきみの姿が見える位置に行き、カバンから英単語の本あたりを出して勉強をしているフリをする。これが、もうかれこれ2年半以上続いている毎朝のルーティン。
きみはいつもイヤホンをして窓の外を眺めている。ど