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恋物語

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胸を震わす想い 切ない別離 映画のような再会 生涯の恋など恋心を詩にしました。ひとときのティータイムを楽しまれてください
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記事一覧

「星辰を求めて」―詩―

「星辰を求めて」―詩―

ボクの青春の ダイヤモンドは
君と 出会えたことだった
絹色にひかる 長い髪が
歩くたびに揺れる 寂し気な後姿
足跡の一歩 一歩に
音符のように 耳をすませた

秋の風の 透明さをたたえる瞳
シェルティを 抱きかかえて
坂道のベンチにすわり
頬を 舐めさせる やさしさ
いつの間にか ボクは
その犬に 嫉妬してた

銀杏の色が まぶしい窓辺
短い言葉の 逢瀬
星のためいきのような 息遣い
コーヒーの

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「ワルツを見つけました」ー詩―

「ワルツを見つけました」ー詩―

SNSで みつけました
あなたの 動画です
あなたは 渋さを身にまとい
海辺の街の 小さな クラブで
知らない女(ひと)と 踊っています
私の知らない ワルツの調べ
私のしらない やさしい調べ

スマホ画面で 繰り返し
あなたの 踊る姿みています
何度見ても 涙があふれて
ハンカチを 濡らし続けます
甘めの カクテルも
この時は 苦くなります
あなたの頬を 爪で幾度も
なぞっています

ラインで 

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「涙で消せない恋の炎」ー詩ー

「涙で消せない恋の炎」ー詩ー

雨粒が そっと落ちるように
ポツリ ポツリと
郵便受けに 届く
あなた宛ての 手紙

「さよなら」という言葉だけ
投げかけて
部屋を 出て行ったあなた
室内には あなたの影が
まだ 住んでいるよう

あなたが 置いて行った 置時計
その針が 進むほど
あなたが 遠のいていく
いっそ 庭のあんずの木の根元に
埋めてしまおうか

人は「早く 全部 片付ろ」と言う
散らばった 想い出の破片を
どんな カ

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「転校の奇跡」詩~#青ブラ文学部「初めて切なさ覚えた日」

「転校の奇跡」詩~#青ブラ文学部「初めて切なさ覚えた日」

新校舎
新しい小学校の校舎は
野原の 真ん中に立てられた
幾つかの 学校が集まって出来た学校
教室を 青い風が 柔らかく吹きぬける

ボクは 小学校4年生
平凡で およそ目立たない
おとなしい子供だった

他の子が カッコよく
野球をしていても
独りで川で 魚とりしてる
さえない 男の子

ボクの教室での席は
窓際の 後ろの方
斜め前には クラスで
一番人気の おさげ髪の
川村さんが 座ってる

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「あなたと駒を走らせる」ー詩ー

「あなたと駒を走らせる」ー詩ー

明日が お天気なら
メトロに乗って
あなたに 会いに行こう
お気に入りの 青い靴履いて
黄色のカチューシャつけて
出かけよう

あなたの街は 夜も寝ることはなく
尖った ビルの森があり
空が 四角い街
「たまには 広い空がみたい」と
あなたは つぶやく

わたしは あなたの心を
海色に 染めてあげる
二人で歩いた 湘南の海を 小瓶に詰めて
あなたの 手のひらに注ぐ
きっと 部屋中が 潮の香りで

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「ラストノートのさみしさ」―詩―

「ラストノートのさみしさ」―詩―

ラストノートは 君の置手紙だったのか。。。

君が 部屋を飛び出して
行ったのは いつだったろう・・・
おぼろげな記憶が
降りつづく 粉雪のように
残っているだけだ

君が 忘れて行った
歯ブラシや
空の 香水瓶
読みかけの文庫本が
君と暮らした日々を
こだまのように 胸に響かせる

僕たちの恋は ちょっと大人ぶって
華やかさが光る 恋では 無かった
仕事から 帰ってきて
二人でテーブルに 向かい

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「心の砂時計メモリ」-詩―

「心の砂時計メモリ」-詩―

私達の 刹那の邂逅は
心で 深く息づいている
ひとり歩きの旅の糸が 
運命のいたずらで 交わり
私達は 結びついた

その糸は 脆くて 簡単に立ち切れる
でも あなたとは もう離れられない
二度と 取り戻せない 昔と恋は
こころの海に 冷たく静かに
打ち寄せる

私達が 一緒に居て 
同じ時間を 過ごせたことは 
私の 誇り
あなたの 唇が
私の名を 呼んでくれたのが
私の はじまり

あなたの 

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「花火のため息」―「夏の残り火」企画応募作品

「花火のため息」―「夏の残り火」企画応募作品

夏が 逃げていく。ボクの 恋の花火も湿りだした。
そこで いつか君と一緒に行った 八幡神社のお祭りの日をおもいだした。
 ひとり 神社で花火遊びをする。心に溜めた寂しさ 愁い スキの言葉は 
煙となって暗い夜空 昇っていく。
パチパチシュシュという音は わが身を燃やす線香花火のようだ。
その燃える姿はまるで 自分の恋ダイアリーが 燃え尽きて 行くようだ

ボクは 深いため息を炎に吹きかける。手持ち

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「夏の京都ひとり歩き」ー詩ー

「夏の京都ひとり歩き」ー詩ー

京の ひとり歩き
蒸し暑さと 扇子が友

産寧坂の石畳を 昇り 
清水寺の 舞台に出る
街を 渡ってくる風は
恋のはかなさを
むかし言葉で 運んでくる

街は 黄昏色に染まり
人波が さんざめく
空に 浮かび上がる大文字の送り火に 
あの人の 病の快癒を 一心に祈る
恋の残り火は 蛍の光のように
心の中で 瞬く

朝の 祇園の花見小路通
舞子さんの おぼこの足音は
宵闇に 消え去り
人声は 無い

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「君との指切り」詩―炭酸刺繡 盛夏編企画応募

「君との指切り」詩―炭酸刺繡 盛夏編企画応募

魂は 響きあう歌声となり
炭酸の泡のように
はじけながら 舞いあがり
深く心に 刻まれる

カゲロウの恋は
はかなくて
泡のように フッと
きえてしまう

それでも 終わりの見えない
幸せごっこの遊びに 疲れはてて
ぬるいサイダーの海に
浮かんで 水平線の
入道雲を仰ぎ見る

幸せの重さを
知りたいと 
天の 女神に問いかけるが
自分の 心の中で探せと
冷たく 撥ねつけられる

止まったままの カ

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「惜別」短歌―令和版百人一首 恋の巻【他の部】

「惜別」短歌―令和版百人一首 恋の巻【他の部】

異国の地 惜別の文(ふみ)君に書き
外国切手 貼る指震え(補足説明):
さよならも 告げずに日本を飛び出した
好きだった君への 別れを言えずじまいだった。
異国の地を 放浪するが、
逍遥の旅に 耐えられず
君への手紙を したためた。
外国切手を 封筒に貼る際
指先は 涙でぬれ 震えた。

三羽 烏さんの企画に参加させて
いただきました。
ぎこちない短歌でお恥ずかしいです
どうぞ 末席にお加えくださ

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「泡に 思い出の花が咲く」詩―炭酸刺繡 盛夏編企画応募

「泡に 思い出の花が咲く」詩―炭酸刺繡 盛夏編企画応募

思い切って あなたを誘った
隅田川花火大会 
人の波に まぎれないように
そっと 手を繋ぐ

ボクの胸は
打ち上げ花火の
フィナーレのように
激しく ときめく

炭酸の泡は 舞い上がり
空で 花火として咲く
泡の一粒 一粒に
あなたの トパーズ色の面影が
映って はじけ 光る

打ち上げ花火は 泡を集め
暗い空に 金糸の幻を
縫い上げて 刹那色に身を焼く

花火が うちあがるたびに
「あーぁ」とあ

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「二人は ずっと青春」ー詩ー

「二人は ずっと青春」ー詩ー

異国の 空の下で 病んでいる
君を思い 大空を眺める

君とは 欧州の
ユースホステルで 出逢った
「このホステル シーツが
皺くちゃ アイロンかけてない!!」と
いう不平の共有が 始まりで
心の扉を 開きあった
片言の英語で 話すのが
かえって 真剣さを 醸し出した

二人とも お金がなく
街の公園で 固いフランスパンを
シェアして ランチするのが
常だった

そんな 君が病を得て
ひとりで 苦

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「泡の間に見えるあなた」詩―[炭酸刺繡 盛夏編]企画 応募作品

「泡の間に見えるあなた」詩―[炭酸刺繡 盛夏編]企画 応募作品

湘南の 海辺カフェ
あなたと二人で
海の見える席に すわり
ボンヤリ 店内にながれる
サザンの歌に 耳を癒す
開け放たれた 窓からは
潮騒と海風が こっそりと
入ってくる

幼馴染みの ふたりだが
たわいない 喧嘩別れをした
そして 時は 容赦なく流れる
小町通りの 人混みで 
あなたの姿を 目に留めた時
心が震え 言葉を忘れて 
片手をあげるだけだった
ボクの目は 可憐な青い羽根で身を飾る
蝶の

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