とまりぎセキュアベース・天の川進

大阪府在住。日々悪戦苦闘しているケアマネジャーやケア実践者を応援する小説を主体に、時折…

とまりぎセキュアベース・天の川進

大阪府在住。日々悪戦苦闘しているケアマネジャーやケア実践者を応援する小説を主体に、時折、認知症やケアに関するコラムもはさみながら、読まれる方の「心の安全基地」となるようなブログにしていきたいと思っています。

マガジン

記事一覧

20. 気になる自分の話

「幾星霜の人々と共に・白駒池居宅介護支援事業所物語」 第1話「彼方の記憶」 【今回の登場人物】    立山麻里 白駒池居宅の管理者    徳沢明香 白駒池居宅…

19、父の人生を見つめる

【今回の登場人物】   薬師淳子 薬師太郎の一人娘 旅行店勤務     親の人生のことは意外と知らないもの 19、父の人生を見つめる  薬師淳子は夜、父太郎が寝静…

18.相手を理解するということ

「幾星霜の人々と共に・白駒池居宅介護支援事業所物語」 第1話「彼方の記憶」 【今回の登場人物】   立山麻里  白駒池居宅の管理者   想井遣造  居酒屋とまりぎ…

17.おばばの眼力

「幾星霜の人々と共に・白駒池居宅介護支援事業所物語」 第1話「彼方の記憶」 【今回の登場人物】   立山麻里  白駒池居宅の管理者   想井遣造  居酒屋とまりぎ…

16.話を聴いてくれる人(アタッチメント)

「幾星霜の人々と共に・白駒池居宅介護支援事業所物語」 第1話「彼方の記憶」 【今回の登場人物】   立山麻里 白駒池居宅の管理者   正木正雄 居酒屋とまりぎのマ…

15.わからないは、わかることの始まり

「幾星霜の人々と共に・白駒池居宅介護支援事業所物語」 第1話「彼方の記憶」   【今回の登場人物】   立山麻里 白駒池居宅の管理者   徳沢明香 白駒池居宅の新…

14.提案

「幾星霜の人々と共に・白駒池居宅介護支援事業所物語」 第1話「彼方の記憶」 【今回の登場人物】    立山麻里 白駒池居宅の管理者    滝谷七海 地域包括支援…

13.サービス担当者会議

「幾星霜の人々と共に・白駒池居宅介護支援事業所物語」 第1話「彼方の記憶」 【今回の登場人物】    立山麻里 白駒池居宅の管理者    滝谷七海 地域包括支援…

コラム3 「その人のいないところでその人の話をしない」

「幾星霜の人々と共に・白駒池居宅介護支援事業所物語」 コラム(3)「その人のいないところでその人の話をしない」  これは私の言葉ではなく、森川すいめいさんの「感…

12.知らない者の視点

「幾星霜の人々と共に・白駒池居宅介護支援事業所物語」 第1話「彼方の記憶」 【今回の登場人物】    立山麻里 白駒池居宅の管理者   正木正雄 居酒屋とまり…

11.苦情

「幾星霜の人々と共に・白駒池居宅介護支援事業所物語」 第1話「彼方の記憶」 【今回の登場人物】    立山麻里 白駒池居宅の管理者    滝谷七海 白駒地区地域包…

10.人生の概要  

「幾星霜の人々と共に・白駒池居宅介護支援事業所物語」 第1話「彼方の記憶」 【今回の登場人物】    立山麻里 白駒池居宅の管理者    滝谷七海 白駒地区地域包…

9.夜が明けても暗い日々

「幾星霜の人々と共に・白駒池居宅介護支援事業所物語」 第1話「彼方の記憶」 【今回の登場人物】   薬師太郎 元旅行会社の社長 アルツハイマー病と診断される   …

8.初回面接を振り返る

「幾星霜の人々と共に・白駒池居宅介護支援事業所物語」 第1話「彼方の記憶」 【今回の登場人物】   立山麻里 白駒池居宅の管理者 主任介護支援専門員   滝谷七…

コラム(2) 認知症の人のアタッチメントについて

「幾星霜の人々と共に・白駒池居宅介護支援事業所物語」 コラム(2) 認知症の人のアタッチメントについて  この小説の基盤は、「セキュアベース 心の安全基地」なの…

7.登山靴のひもを締める

「幾星霜の人々と共に・白駒池居宅介護支援事業所物語」 第1話「彼方の記憶」 【今回の登場人物】   立山麻里 白駒池居宅の管理者   徳沢明香 白駒池居宅のケアマ…

20. 気になる自分の話

20. 気になる自分の話

「幾星霜の人々と共に・白駒池居宅介護支援事業所物語」

第1話「彼方の記憶」

【今回の登場人物】
   立山麻里 白駒池居宅の管理者
   徳沢明香 白駒池居宅の新人ケアマネジャー
   滝谷七海 白駒地区地域包括支援センターの管理者

自分自身が話すこと以上に気になる、他人が話す自分のこと

20. 気になる自分の話

 立山麻里と徳沢明香は、最初のインテークの振り返

もっとみる
19、父の人生を見つめる

19、父の人生を見つめる

【今回の登場人物】
  薬師淳子 薬師太郎の一人娘 旅行店勤務

    親の人生のことは意外と知らないもの
19、父の人生を見つめる

 薬師淳子は夜、父太郎が寝静まった後、太郎の書棚や雑然と机の上に積み上げられている書類を整理していた。
 デイサービス担当者の松本深也の意見が気になっていたのだ。
 確かに太郎は、最初の旅行社でも、自ら立ち上げた旅行社でも、仕事に没頭し、また会社を大きくするため

もっとみる
18.相手を理解するということ

18.相手を理解するということ

「幾星霜の人々と共に・白駒池居宅介護支援事業所物語」

第1話「彼方の記憶」

【今回の登場人物】
  立山麻里  白駒池居宅の管理者
  想井遣造  居酒屋とまりぎの客
  山のおばば 山小屋のおばば
  滝谷七海  白駒地区地域包括支援センターの管理者
  石田信一  居酒屋とまりぎの客 想井の友人

相手の大変さを思っていたつもりが、
自分の大変さばかりを思っていたのかもしれない

18.相

もっとみる
17.おばばの眼力

17.おばばの眼力

「幾星霜の人々と共に・白駒池居宅介護支援事業所物語」

第1話「彼方の記憶」

【今回の登場人物】
  立山麻里  白駒池居宅の管理者
  想井遣造  居酒屋とまりぎの客
  山のおばば 山小屋のおばば

幾星霜の人に学ぶことは一杯ある。何故ならば幾星霜の人だから。
17.おばばの眼力

 居酒屋「とまりぎ」のカウンター席で立山麻里と想井遣造は語りあっていた。
 「相手の視点で考える… う~ん、ま

もっとみる
16.話を聴いてくれる人(アタッチメント)

16.話を聴いてくれる人(アタッチメント)

「幾星霜の人々と共に・白駒池居宅介護支援事業所物語」

第1話「彼方の記憶」

【今回の登場人物】
  立山麻里 白駒池居宅の管理者
  正木正雄 居酒屋とまりぎのマスター

 迷った時、困った時、その迷ったや困ったや辛いを
 聴いてくれる存在の人がいれば

16.話を聴いてくれる人(アタッチメント)

 独身生活を送る立山麻里は、ストレスが生じることがあったり、自炊がめんどくさいと思ったときは、

もっとみる
15.わからないは、わかることの始まり

15.わからないは、わかることの始まり

「幾星霜の人々と共に・白駒池居宅介護支援事業所物語」

第1話「彼方の記憶」

  【今回の登場人物】
  立山麻里 白駒池居宅の管理者
  徳沢明香 白駒池居宅の新人ケアマネジャー
  横尾秀子 白駒池居宅のベテランケアマネジャー

   鬱憤は「吐き出す」のか「掃き出す」のか
15.わからないは、わかることの始まり

 会議後、立山麻里と徳沢明香は、薬師太郎とのこれまでの関りをフィードバックす

もっとみる
14.提案

14.提案

「幾星霜の人々と共に・白駒池居宅介護支援事業所物語」

第1話「彼方の記憶」

【今回の登場人物】
   立山麻里 白駒池居宅の管理者
   滝谷七海 地域包括支援センター管理者
   徳沢明香 白駒池居宅のケアマネジャー 薬師太郎の担当
   松本深也 白駒デイサービスの管理者
   薬師淳子 太郎の娘 旅行会社勤務

なにが正解かを考えるのは難しい でもやってみなければ何も始まらない

もっとみる
13.サービス担当者会議

13.サービス担当者会議

「幾星霜の人々と共に・白駒池居宅介護支援事業所物語」

第1話「彼方の記憶」

【今回の登場人物】
   立山麻里 白駒池居宅の管理者
   滝谷七海 地域包括支援センター管理者
   徳沢明香 白駒池居宅のケアマネジャー 薬師太郎の担当
   松本深也 白駒デイサービスの管理者
   薬師淳子 太郎の娘 旅行会社勤務

13.サービス担当者会議

つらい時間があったとしても、話しあうことは

もっとみる
コラム3 「その人のいないところでその人の話をしない」

コラム3 「その人のいないところでその人の話をしない」

「幾星霜の人々と共に・白駒池居宅介護支援事業所物語」

コラム(3)「その人のいないところでその人の話をしない」

 これは私の言葉ではなく、森川すいめいさんの「感じるオープンダイアローグ」(講談社現代新書)と、「オープンダイアローグ私たちはこうしている」(医学書院)から引用したものです。
 この言葉は私の心に大きく響きました。
 私たちはどれだけ「その人のいないところで、その人の話をしているか」

もっとみる
12.知らない者の視点

12.知らない者の視点

「幾星霜の人々と共に・白駒池居宅介護支援事業所物語」

第1話「彼方の記憶」

【今回の登場人物】
   立山麻里 白駒池居宅の管理者
  正木正雄 居酒屋とまりぎのマスター
   想井   居酒屋とまりぎの客

12.知らない者の視点

専門職が当たり前と思っていることも、違う世界の人が見るとおかしいと思うかもしれません

 心が晴れない立山麻里は、家までの帰り道に必ず前を通る居酒屋「と

もっとみる
11.苦情

11.苦情

「幾星霜の人々と共に・白駒池居宅介護支援事業所物語」

第1話「彼方の記憶」

【今回の登場人物】
   立山麻里 白駒池居宅の管理者
   滝谷七海 白駒地区地域包括支援センターの相談員
   薬師太郎 要介護1 デイサービス行きを拒否
   薬師通子 太郎の妻 
   薬師淳子 二人の長女 旅行会社勤務

介護者の時間の感覚と、ケア側の時間の感覚とは違うのです。

11.苦情

 立山麻里はフ

もっとみる
10.人生の概要  

10.人生の概要  

「幾星霜の人々と共に・白駒池居宅介護支援事業所物語」

第1話「彼方の記憶」

【今回の登場人物】
   立山麻里 白駒池居宅の管理者
   滝谷七海 白駒地区地域包括支援センターの相談員
   薬師太郎 要介護1 デイサービス行きを拒否
   薬師通子 太郎の妻 

  一人の人の人生に関わる仕事
  その人生の最終章に関わる重く深い仕事だということを誇りに思ってい 
  るだろうか・・・

もっとみる
9.夜が明けても暗い日々

9.夜が明けても暗い日々

「幾星霜の人々と共に・白駒池居宅介護支援事業所物語」

第1話「彼方の記憶」

【今回の登場人物】
  薬師太郎 元旅行会社の社長 アルツハイマー病と診断される
  薬師通子 太郎の妻 太郎の認知症状に疲労困憊している
  薬師淳子 二人の娘 旅行会社に勤務

9.夜が明けても暗い日々

 立山麻里と滝谷七海が「とまりぎ」で飲んでいた頃、途方に暮れた薬師通子は、娘の淳子に連絡をとった。
 淳子は急

もっとみる
8.初回面接を振り返る

8.初回面接を振り返る

「幾星霜の人々と共に・白駒池居宅介護支援事業所物語」

第1話「彼方の記憶」

【今回の登場人物】
  立山麻里 白駒池居宅の管理者 主任介護支援専門員
  滝谷七海 白駒地区地域包括支援センター管理者 社会福祉士
  徳沢明香 白駒池居宅の新人ケアマネジャー

8.初回面接を振り返る

 薬師通子が血相を変えて薬師太郎を探している頃、日中なかなか予定の合わなかった立山麻里と滝谷七海は、業務

もっとみる
コラム(2) 認知症の人のアタッチメントについて

コラム(2) 認知症の人のアタッチメントについて

「幾星霜の人々と共に・白駒池居宅介護支援事業所物語」
コラム(2) 認知症の人のアタッチメントについて

 この小説の基盤は、「セキュアベース 心の安全基地」なのですが、今回の薬師太郎さんにとっては、妻の通子さんがそのセキュアベースなのです。  太郎さんに限らず、認知症の人は認知機能の低下により、不安感が増幅します。それが心の混乱となり、様々な行動へと繋がっていきます。
 その不安感を、太郎さんは

もっとみる
7.登山靴のひもを締める

7.登山靴のひもを締める

「幾星霜の人々と共に・白駒池居宅介護支援事業所物語」

第1話「彼方の記憶」

【今回の登場人物】
  立山麻里 白駒池居宅の管理者
  徳沢明香 白駒池居宅のケアマネジャー 薬師太郎の担当
  薬師太郎 元旅行会社の社長 デイサービスを拒否
  薬師通子 太郎の妻 太郎の認知症による行動に疲労している
  
7.登山靴のひもを締める

 数日後、薬師通子から白駒池居宅に電話が入った。
 担当の徳

もっとみる