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コラム3 「その人のいないところでその人の話をしない」

「幾星霜の人々と共に・白駒池居宅介護支援事業所物語」

コラム(3)「その人のいないところでその人の話をしない」

 これは私の言葉ではなく、森川すいめいさんの「感じるオープンダイアローグ」(講談社現代新書)と、「オープンダイアローグ私たちはこうしている」(医学書院)から引用したものです。
 この言葉は私の心に大きく響きました。
 私たちはどれだけ「その人のいないところで、その人の話をしているか」ということですね。
 主なものとして、うわさ話や陰口など。ある意味大好きな分野と言えます。SNSの書き込みも同じかもしれません。
 さて、ケアや医療の専門職の間では、陰口ではありませんが、「その人のいないところで、その人の話をする」ということはよくあります。
 専門的見地からご本人が入ると会議がうまく進められないことがあるからです。
 しかしご本人が認知症である場合、認知症というだけで会議から外されるということがよくあるのではないでしょうか。
 これをご本人の立場から考えると、「自分のこれからのことを、専門職と名の付く連中が、勝手に決める。自分の人生のことなのに! これは人権侵害なのではないか! 」と、なるかもしれません。
 認知症というだけで外されることがあるのではないでしょうか。
 認知症でなくても本人が外されることは往々にあるかもしれません。
 「その人のいないところでその人の話をしない」という言葉は、本人ともども課題の解決に取り組むということになります。

「感じるオープンダイアローグ」より

 実際コミュニケーションが厳しくなっている認知症の人が話し合いの中に入ることは大変かもしれませんが、本人の意思確認は必要不可欠なものであるし、なによりも、認知症だからというだけで、「はなからはずす」という考え方を、無意識のうちにやってしまってるかもしれません。
 森川さんは、オープンダイアローグ実践に際し、その場にいない人のために空席を作り、「もしその人がここにいたらどう考えているだろう」と、空席の人の思いに沿って話すことが大切と言われています。
 例え、認知症の人本人の出席がなくても、私たちだけの勝手な思いで決めるのではなく、その空席に座るべきご本人の思いも考えたうえでの話し合いでなければならないでしょう。

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