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青天の霹靂(小説)

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高校生の廉夏は16になると、幼なじみで歳上の冬眞と、結婚することに。だけど、冬眞と、結婚したことで藁人形が沢山届くことに。さらに、脅迫状まで。それに導かれるように、廉夏たちは、ホ…
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2022年10月の記事一覧

青天の霹靂22(冬眞と廉の話し合い3)

青天の霹靂22(冬眞と廉の話し合い3)

廉はスーツの内ポケットから煙草を出すと、ライターで火を付ける。
それを見た冬眞は驚く。
「廉さんが吸われるの初めて見ました」
「そりゃそうだろ。見せてないからな。ただ、今回は吸わずにはいられない。悪いな」
そう言って、冬眞のいる方とは、逆に煙を吐く。
「いえ、僕も中学の頃やっていたんで、心配無用です」
廉は驚いた顔をする。
「何を吸ってた?」
「その頃かっこいいと言われていたのは、マイルドセブンだ

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青天の霹靂21(冬眞と廉の話し合い2)

青天の霹靂21(冬眞と廉の話し合い2)

「つまりは、持ち主の思い」
「そうだ。だから、廉夏は燃やしたんだろう。死せる人の思いだからな、これは。燃やすしかなかったんだ」
「ああ、だから廉夏は言ってたんですね」
「何と?」
「帰って行くって。僕はどう言う意味なのか、分からなかった。でも、それを聞いて納得です。それより、もう、良いでしょう? 廉さんが廉夏のことを自分の命よりも、大切に思っていることを僕は知ってます」
冬眞は少し怒る。
それに、

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青天の霹靂20(冬眞と廉の話し合い1)

青天の霹靂20(冬眞と廉の話し合い1)

冬眞が隣の部屋に行くと、廉のスマホが鳴った。直ぐに出ると、何故か廉は二言三言交わしたのち、そのスマホの音声拡張ボタンを押し、冬眞にも聞こえるようにしてくれた。
「先程の社長の質問ですが、社長の考えているのは、正しいです。確かに、間宮グループは間宮だけで、作ったわけではありませんでした。間宮と友人夫婦で作ったものでした。でも、その人達は亡くなっています」
その電話は、廉のプライベートアイだ。
まだ、

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青天の霹靂19(廉夏ダウン)

青天の霹靂19(廉夏ダウン)

スマホで、廉が電話をしようとしたとき、泣きそうな声で廉を廉夏は呼ぶ。
「廉兄」
「どうした?」
「廉兄いる」
少し目を開けて、廉を探すように、目をキョロキョロする。
それに気づき、廉は廉夏の枕元に座る。
「私達は、ずっと、お前の傍にいるよ。安心しろ」
そして、廉はそう廉夏に声を掛ける。
廉は廉夏の頭を優しく撫でる。
「本当に? お父さんやお母さんもそう言ってていなくなったよ」
その言葉で冬眞は気付

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青天の霹靂18(教会)

青天の霹靂18(教会)

会場内に、戻ると、間宮家の党首が廉に挨拶にくる。
「これは、神崎様よくお越し下さいました。神崎様がきたとなれば、それだけで、鼻が高いです」
「いえ、今回は姪の付き添いできただけです」
「姪っ子さん?」
廉の言葉が期待したものと違い、興が削がれたようだ。
「ええ」
廉夏に視線を移す。
「ああ、かわいらしい」
それが、廉へのおべっかだと気付いたが、廉夏は顔に出さない。
「ありがとうございます」
「富山

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青天の霹靂17(庭の散策)

青天の霹靂17(庭の散策)

「こんな所にいらしたんですね。もしよろしければ、私が庭を案内いたしますわ」
穂波が言う。
「あっ、行ってみたい」
元気よく返事をする廉夏に、冬眞は心配そうに小声で聞く。
「その足で、大丈夫ですか?」
「平気よ平気。ただ、歩くだけなら問題ないよ。靴も新しくなったし、行こうよ」
「そうですね」
廉夏達一向はこうして庭に出た。
「うわ~、綺麗」
庭も中世ヨーロッパが再現されていて、まず豪華な噴水が照明で

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青天の霹靂16(男同士の勝負)

青天の霹靂16(男同士の勝負)

「はい、終わり」
そう言って廉は、廉夏と、冬眞の間にパンフレットが差し込んだ。そして、冬眞に何かを投げる。
冬眞は、それを、左手でうまくキャッチをすると、それを確認することなく、冬眞は、廉に自分が抱えていた廉夏を廉に渡しキスをする。それに、廉は驚いた。
「ンゥ」
廉夏も驚いたように、目を見開く。
「早く行って来いよ」
廉は呆れたように言う。
「痛くなくなるおまじないです」
冬眞は、ウィンクする。そ

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青天の霹靂15(とうとう動き出す)

青天の霹靂15(とうとう動き出す)

「つまり、廉さんもそこに違和感を感じたことに、否定はなさらないんですね」
「さあ、それは、どうかな? 自分で答えを見付けろ。ただ、俺から言えることは、経営者の近くには、反対のことを言う立場の者も必要だと言うことだ。必ずしも、意見を認めてくれる者だけが大切だとは、限らない。特に俺みたいな人間にはな。反対してくれる者が重要だ。いつもハイハイ言われてると、自分のしていることが正しいことなのか分からなくな

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青天の霹靂14(廉を崇拝してる者)

青天の霹靂14(廉を崇拝してる者)

「ね、上行ってみない」
みんなが、ホールにある2階から庭を見ている。
廉夏はそれに興味引かれたようだ。
「行ってみますか?」
冬眞が言うと、廉夏は元気よく返事する。
「うん」
行って庭を見ると、
「綺麗」
「これには、一見の価値ありだな」
廉も言う。
「すごい価値ありだよ。これは、奪えないし、どうやったのかな?」
「う~ん、奪えないけど、こんなきちんと管理も出来ないと思うぞ」
「そうなんだよね。き

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青天の霹靂13(芸能人)

青天の霹靂13(芸能人)

「芸能人もたくさんいますよ。女子高生と言えば、興味ないんですか?」
「あ~、私、芸能人に興味ない。確かに、凄いなって思うけど、それだけよ」 
「廉夏ちゃんは誰か、この人のファンとかいないんですか?」
そう冬眞に聞かれ、廉夏は少し考えてから、面白そうに言う。
「いたわ。ファンと言うより、その人達がこれから先、どういう選択をするのか凄く興味がある人達がいる」
冬眞は不思議そうに聞く。
「誰ですか?」

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青天の霹靂12(ホテルのオープン記念パーティー)

青天の霹靂12(ホテルのオープン記念パーティー)

ホテルのオープン記念パーティに意気揚々とやって来た廉夏は、ホテルを前にして、すごく不満そうに言う。
「やっぱり、こんなの全然違う」
「ホテルのオープン記念パーティなら、こんなものだろう」
廉は冷めた眼差しで言う。
でも、廉夏は、すごく不満そうだ。
「そうかもだけど、もっと、陰惨な雰囲気じゃなきゃ。雰囲気味わえないわ。楽しみにしていたのに」
「それは、一体どんな雰囲気のホテルなのかね? 一体、廉夏さ

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青天の霹靂11(廉と豪造との話し合い)

青天の霹靂11(廉と豪造との話し合い)

「父さん、本気で行かせる気ですか?」
ちょっと怒り気味に廉は言う。
「本気じゃ」
それに、豪造は、あっさり言う。
「いつまでも、閉じこめておくことはできまい。多少、危険はあるが、廉夏は身をもってそれを知っている」
「しかし」
豪造はこれまで、廉夏に危険がないよういつでも目を配ってきた。
「今後、廉夏を守るのは儂じゃない。寂しいが、お前達じゃ。世代交代の良い時期じゃ。今回が、お手並み拝見の場としては

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青天の霹靂10(脅迫状)

青天の霹靂10(脅迫状)

夕方、終わった。
「ふ~、これで廉兄も納得してくれるでしょう?」
「そうですね」
二人の後ろには、15袋にも、及ぶごみ袋が、積み上がっていた。これを明日出すのは、家政婦さんだ。たぶん、手伝って貰ってやることになるんだろう。
二人は、なぜか、湯飲みを持ってクツロいでいた。
冬眞はフッと疑問に思う。
「あれ?」
冬眞は不思議そうに首を傾げる。
「どうしたの?」
廉花は、冬眞の疑問が分かっているように、

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青天の霹靂9(掃除)

青天の霹靂9(掃除)

「廉夏嬢、どこから、やりますか?」
廉を送り出し、リビングに戻ってきて冬眞が聞くと、廉夏は何やら真剣な顔で、何かを捜している様子だった。
「あった」
それは、何の変哲もない、箱だった。廉夏はそれを開けると中の手紙だけだし、贈り物の部分はポイ捨てする。
そして、冬眞が戻っていることに気づくと、少しウナダレる。
「あっ、冬眞兄。仕事行けなくさせてごめんね」
廉夏は、冬眞に頭を下げるが、冬眞は笑って言う

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