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ショートショート

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400~600文字程度の奴です
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#ユーモア

ショートショート 僕のこと

どうせ美しくないのだから、
それが味噌汁まみれになったところで、
なんの問題もないよ。

それより、
唐揚げ派とステーキ派は、
どっちが勝ちそうなの?
あっ、そうなんだ。
それはまぁ、そうだろうね。

って、ごめん。
実はそんなことどうでもよくてさ。
僕は僕のことについて語り合いたいんだ。
一緒に僕のことについて語り合おうよ。

えっ、ウソ、
それは無理?
無理なんだ。
無理なのね。
それはなんと

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ショートショート 暗雲

ぐるぐる巻きにしてあった怒りん坊を
解き放って、
ぎゅうぎゅう詰めにしてあった甘えん坊を
家に帰した。
どちらとも、
逞しく生きてゆけよ。

さっきまで
外はかんかん照りだったのに、
今見たら、
外はザーザー降りだ。
てか今見たら、
外に黒い服、
黒い傘、
黒いランドセルの男の子と女の子がいる。
しかも、こっちを見つめている。
これは怖い。

これは怖いから僕はすぐに、
何故か一緒に暮らしている名

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ショートショート 夏の日

お外で子供達がわーわー騒いでいる十四時頃、
僕は死んだように倒れてテレビを見ていた。

死ぬほどつまらない番組だ。
もっと、おじいちゃんタレントを増やせよ。
この番組には、おじいちゃんが少なすぎる。
なんだこの若者が多い番組は。
今時は、一番組におじいちゃんタレントを最低五人は入れなきゃだろ。
なにやってんだ番組関係者。

ホントどうなってんだ。
テレビを見てもらおうって気がないのか。
今からでも

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ショートショート さよなら、僕の愛しき友よ

君の笑顔に救われた僕が、
君のお願いを
冷たくあしらったことについては、
「わりぃわりぃ、
あの日は涙活したかったんだよ」
って軽めの態度で謝るから、
君はその素敵な心で、
「そっか、それはしょうがないね」
って寛大に許してよ。

僕は、
どんなことでも一々責められたくないんだ。
日々を穏やかに過ごしたい。
大体、君も分かってるでしょ?
僕が逆ギレしてくる奴だってこと。
僕が笑えないクズだってこと

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ショートショート 映画

公開から一週間、
その評判が滅茶苦茶に悪い映画を観に行った僕は、その映画を観て感動の涙を流した。

なんて素敵な映画なんだ。
酷評している人の気が知れない。
酷評している人は、
きっと頭がおかしいんだ。
終わってる。
そうに違いない。

全く、嘆かわしい世の中になったもんだよ。
この映画の良さが分からないなんて可哀想だ。
これを酷評している映画評論家は、
今すぐその仕事を辞めたほうがいい。
語る資

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ショートショート 知らない

テンションの高いガキが、
恐いジジイに怒鳴られて、
しゅんとなっている昼下がり、
俺はそのガキの横を
「好きな子に嫌われてたらいいのに」
と思いながら通りすぎて行き、
ガキの心配など一切しなかった。

それから
テキトーにふらふら散歩を続けていると、
知らない知り合いに出会った。

向こうは
俺のことを知り合いだと言っているが、
俺はこんな人、知らない。
話せば話すほど知らない。
何をどう言われた

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ショートショート 凄い子

私の目に狂いはなかったし、
間違いもなかった。
あの子は絶対にやる子だと思っていたし、
全てを手に入れる子だと思っていた。
それはなんでかって言うと、
あの子の目が闇を捉えていて、
とても輝いていたからよ。

それに、
物凄くお風呂の水を飲む子だったし、
瞬間接着剤を上手く扱う達人でもあったし、
お菓子を食べすぎる子だったってのもあるわ。

あと、
あの子の性格。
あの子は、
とても正義感に溢れて

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ショートショート 気をつけて

ボクは心の成長を
家庭教師のお兄さんに止められたと思っている。
あの日のあの一言により、
心の成長が止まってしまったと思っている。
今でも家庭教師のお兄さんの、
あの悪魔みたいな笑顔が忘れられなくて息が苦しくなる。
そんなトラウマな家庭教師のお兄さんは今、
死刑囚なんだよな……。

ボクがブランド志向なのは、
近所のお兄さんがブランド志向だったから、
その影響かなって思っている。
久々に会った近所

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ショートショート じゃんけん

勝った方がクッキーの残り一枚を食べられるという事で、
今からじゃんけんをして、
その行方を決定付ける訳だけど、
君は何を出してくるだろうか?

握り拳かな?
Vサインかな?
手うちわかな?

君はよくVサインを出すイメージがあるから
Vサインかな?
だったら僕は、
握り拳を出せばいいのか?

いやでも、
握り拳を出して勝つイメージが湧かないな。
ここはやっぱりVサインじゃないか?
血に飢えたVサイ

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ショートショート サメ

水族館でイルカの赤ちゃんを見た帰り、
「やっぱサメだよな」
と思う俺は、
その思いを更に強くし、
「俺みたいな男はサメなんだよ!」
と心の声を大にした。

その思いはどうにも止まらなかったので、
その思いのまま海へと向かい、
「俺みたいな男はサメなんだよ!」
と、ここは心の声を口に出し、
服も脱がずに冬の海へと飛び込んだ。

そして、
その勢いのままクロールをする俺だったのだけど、服が重くて勢いが

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ショートショート 夜

こんな夜中に、
曇り空の夜の下、
寝静まった夜の住宅街で、
闇夜にぽつんと一人、
僕は一体、
こんな夜に、
何をしているんだ?

自分のことなのに、
自分のこの闇夜にぽつん。
という現状に至るまでの事情が分からない。
分からないけど、
今無性に体を動かしたいと思うから、
この夜風が冷たい夜の中、
創作ダンスをレッツダンスする。

そういう訳で、三、四分、
暗夜に冷たく見守られながらダンスをした。

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ショートショート しょぼしょぼ

元気か元気じゃないかで言うと、
僕はまぁ、
元気じゃない方の人間で、
ランフォリンクスが好きか嫌いかで言うと、
ランフォリンクスが好きな方の人間だ。

そんな人間が、
飛び出す絵本を収集していたら、
おかしいかな?
ゼニアオイを待ち受けにしていたら、
おかしいかな?

いや、まぁどうでもいいか。
好きにしろって感想になるよね?
じゃあ、そこは好きにさせてもらうとして、
人の大事な価値あるものが、

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