かめ11

30代の勤め人です。日々の生活で思ったこと、旅行記、小説を投稿していきたいです。

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30代の勤め人です。日々の生活で思ったこと、旅行記、小説を投稿していきたいです。

記事一覧

比叡山を越えたり、保津川を下ったりと【旅行記】

 何度目の京都だろうか。思い返して数える気にもならず、階段を下りて乗り換える。出町柳駅まで行き、駅周辺を一瞥して叡山電鉄に乗り込む。ケーブルカー、ロープウェイと…

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3週間前
3

敦賀まで伸びた新幹線で福井へ【旅行記】

 福井がこんなに近いとは、朝一の新幹線に乗ると9時半前に着いてしまう。九頭竜線に乗り換える。ホームの端1両のディーゼル車が停まっている。揺られること20分、一乗谷…

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1か月前
2

初恋の鎮魂歌【小説】

 それは一目惚れだった。忘れもしない中学校の部活の最後の大会の日。勝てば県大会に出られる決勝戦だった。もう試合のスコアは忘れてしまったが、市民体育館で見たその人…

かめ11
2か月前
1

夢のつり橋【小説】

 12月の土曜日、私は東海道新幹線の車内にいた。今日は静岡で降りるため、「こだま」に乗っている。自由席は空いていた。各駅に停まっていくのが休みらしくて心地よい。…

かめ11
2か月前
3

満天の星の下で 最終話【小説】

2026年11月20日  金曜日の夜、飲み会に繰り出す人々終えて帰る人々を横目に私は竹芝のフェリーターミナルに向かっていた。仕事を終え、一旦帰宅した。着替えてか…

かめ11
3か月前
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満天の星の下で 第11話【小説】

2024年11月16日  何が私をここまで突き動かすのか。 「送るな。送ってはならない。」理性はそう叫んでいる。 「今更会って何になる。」頭では理解している。それ…

かめ11
3か月前
1

満天の星の下で 第10話【小説】

2024年7月9日  平凡なそして穏やかで幸せな日々が流れ、私は30歳を過ぎていた。仕事も家庭も順調で、迷うこと、心乱されることも少なくなってきた。しかし、この…

かめ11
3か月前
1

満天の星の下で 第9話【小説】

2022年10月15日  「あれから1カ月か。今日は1人で向かうのか。」気が進むような進まないような気持ちで先月と同じ道のりを辿っていく。この前と違って今日は昼…

かめ11
3か月前
1

満天の星の下で 第8話【小説】

2022年9月3日  私の平日はいつも同じ時刻の電車に乗り、会社へ向かう。勤務中は目の前の仕事に集中し、終われば帰る。時間に余裕があれば途中でジムに寄って汗を流…

かめ11
3か月前
2

満天の星の下で 第7話【小説】

2018年8月30日  寝ても覚めても暑い。猛暑日が続き、冷房を一日中つけていないと熱中症になりそうな日が続く。そんな天気とは裏腹な、穏やかで涼しい夢を見た。 …

かめ11
3か月前
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満天の星の下で 第6話【小説】

2018年4月20日  今月1日私は異動になり、職場が変わった。この日は業務の関係で元の職場に出張だった。奈穂も異動したようだが、勤務地は変わっていないようだっ…

かめ11
3か月前
1

満天の星の下で 第5話【小説】

2017年10月14日  優希子の家に向かう私は事がこんなにもスムーズに運んでいることに一抹の不安を覚えながら車のハンドルを握っていた。  事の発端は2か月前、…

かめ11
3か月前
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満天の星の下で 第4話【小説】

2017年4月16日  「ごめん、別れてほしい。」 私は職場で知り合い、半年付き合っていた奈穂に別れを告げた。 「うん…今日はそういうことになるかなって何となく感…

かめ11
3か月前
1

満天の星の下で 第3話【小説】

2017年1月4日  夢を見た。嬉しいような悲しいような様々な想いの交錯する夢で、身体を起こすと涙が頬を伝った。  気が付くと私は新幹線の車内にいた。どうやら東…

かめ11
3か月前
2

満天の星の下で 第2話【小説】

2016年12月29日  社会人1年目もあと3か月で終わる。実家へ向かう電車の中で私は晴れやかというか安堵というか限りなく無に近い感情で青空と太陽を見つめていた…

かめ11
3か月前
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満天の星の下で 第1話【小説】

あらすじ  私の気持ちは2人の女性の間で揺れていた。どちらも魅力的な女性である。2人を通じて愛とは何か、恋とは何かを知っていく私。その果てに一つの答えを見出すこ…

かめ11
3か月前
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比叡山を越えたり、保津川を下ったりと【旅行記】

比叡山を越えたり、保津川を下ったりと【旅行記】

 何度目の京都だろうか。思い返して数える気にもならず、階段を下りて乗り換える。出町柳駅まで行き、駅周辺を一瞥して叡山電鉄に乗り込む。ケーブルカー、ロープウェイと乗り継いで山頂へ。ケーブルカーの急勾配には驚いた。今日は40度近くまで気温が上がるというが、ここまで来ると街中よりは涼しい。下車してすぐのガーデンに入園する。

 眺めが良い。山から西を望めば京都市街が眼下に広がる。東を見れば琵琶湖そして沿

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敦賀まで伸びた新幹線で福井へ【旅行記】

敦賀まで伸びた新幹線で福井へ【旅行記】

 福井がこんなに近いとは、朝一の新幹線に乗ると9時半前に着いてしまう。九頭竜線に乗り換える。ホームの端1両のディーゼル車が停まっている。揺られること20分、一乗谷に着く。

 田畑の広がる景色の中にひと際目立つ一乗谷朝倉遺跡博物館へ入る。朝倉氏の栄華が偲ばれる出土品の数々と案内を見ていく。その名の通りの谷によって周囲から守られ、一乗谷川が今の福井市街地である北ノ庄、そして三国湊と繋がり発展した。京

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初恋の鎮魂歌【小説】

 それは一目惚れだった。忘れもしない中学校の部活の最後の大会の日。勝てば県大会に出られる決勝戦だった。もう試合のスコアは忘れてしまったが、市民体育館で見たその人の顔は忘れられなかった。チームメイトの歳の離れた姉、それだけの情報しか無かった。それでも私は猛烈に頑張った。その努力を受験勉強や部活に向けられたらと思わないことも無かったが、当時の私は止まらなかった。幸いにしてこのチームメイトと仲の良かった

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夢のつり橋【小説】

 12月の土曜日、私は東海道新幹線の車内にいた。今日は静岡で降りるため、「こだま」に乗っている。自由席は空いていた。各駅に停まっていくのが休みらしくて心地よい。スマホで今日の行程を再確認する。
「長いな。」そう思いながら車窓を眺めたり、うとうとしたりしている間に列車は歩みを進め、下車駅に着いた。
 東海道線に乗り換えて、さらに西へ進む。在来線でも結構速度を出している。人も多く乗っている。聞いたこと

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満天の星の下で 最終話【小説】

2026年11月20日

 金曜日の夜、飲み会に繰り出す人々終えて帰る人々を横目に私は竹芝のフェリーターミナルに向かっていた。仕事を終え、一旦帰宅した。着替えてから旅行用のリュックに着替えなどを詰めて再び家を出た。夜行便の船に乗り、八丈島に行くためだ。1度乗ったことがあるが、夜行便というのは否が応でもテンションが上がる。たとえ今日のように1人であっても。

 昨年の5月に優希子の結婚式は滞りなく執

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満天の星の下で 第11話【小説】

2024年11月16日

 何が私をここまで突き動かすのか。
「送るな。送ってはならない。」理性はそう叫んでいる。
「今更会って何になる。」頭では理解している。それでも手は動いてしまった。「近いうちに飯でも行かない?」
返信が来なければ、断りの返事が来てくれれば、きっぱり諦められるはずなのに。
身はすでに目的地に向かう電車に乗ってしまっている。この路線は乗ったことがあるが、今日降りる駅は初めて訪れ

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満天の星の下で 第10話【小説】

2024年7月9日

 平凡なそして穏やかで幸せな日々が流れ、私は30歳を過ぎていた。仕事も家庭も順調で、迷うこと、心乱されることも少なくなってきた。しかし、この日来た1通のラインを見た瞬間、心臓は激しく脈打った。それは優希子からの婚約したという報告だった。式を挙げるらしく、まだ先であるが呼んでもらえるようだった。帰宅すると妻はまだ帰っていなかった。着替えて、手洗いうがいを済ませキッチンに入る。夕

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満天の星の下で 第9話【小説】

2022年10月15日

 「あれから1カ月か。今日は1人で向かうのか。」気が進むような進まないような気持ちで先月と同じ道のりを辿っていく。この前と違って今日は昼前である。優希子からラインがあり、会うことになった。彼女は夜に飲み屋で会いたがっていたが、ランチに変えてもらった。妻にも優希子と会うことは伝えてある。少し心配しているようだった。
「この前会ったばかりだし、恵一に聞いても何か進展があったわ

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満天の星の下で 第8話【小説】

2022年9月3日

 私の平日はいつも同じ時刻の電車に乗り、会社へ向かう。勤務中は目の前の仕事に集中し、終われば帰る。時間に余裕があれば途中でジムに寄って汗を流す。帰宅して、風呂掃除と夕食の準備。妻が先に帰っていれば、分担する。食器を洗って、風呂に入り、寝る。いつも通りだ。そしてまた朝、出勤する。同じ時間の電車で。平凡だが満ち足りた日が続いてきたが今日は少し違う。
土曜日である。

「じゃあ行っ

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満天の星の下で 第7話【小説】

2018年8月30日

 寝ても覚めても暑い。猛暑日が続き、冷房を一日中つけていないと熱中症になりそうな日が続く。そんな天気とは裏腹な、穏やかで涼しい夢を見た。

 気が付くと私は山中の小さな家にいた。どこかに似ている。思い出す。奈良は吉野の西行庵によく似ている。風が部屋を通り抜けていく。その流れが目に見えるようだ。
「あら、お目覚め。赤ちゃんみたいに昼寝をするのね。」奈穂の声が聞こえる。
「確か

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満天の星の下で 第6話【小説】

2018年4月20日

 今月1日私は異動になり、職場が変わった。この日は業務の関係で元の職場に出張だった。奈穂も異動したようだが、勤務地は変わっていないようだった。久しぶりに会ってお昼でも食べないかとラインをした。勤務地が同じだから見かけることはあったが、話したりはしなかったし、ラインで連絡を取ることも無かった。大きい会社なのが幸いして仕事で関わることも無かった。彼女からの反応は意外なものだった

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満天の星の下で 第5話【小説】

2017年10月14日

 優希子の家に向かう私は事がこんなにもスムーズに運んでいることに一抹の不安を覚えながら車のハンドルを握っていた。

 事の発端は2か月前、夏休みに実家へ帰った時のことだった。春に車を買った私は両親へ見せようと電車ではなく車で行ったのであった。家に近付き、住宅街の道をゆっくりと走っていると思い焦がれた後ろ姿があった。クラクションを小さく鳴らし、窓を開け、車を止める。彼女が振

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満天の星の下で 第4話【小説】

2017年4月16日

 「ごめん、別れてほしい。」
私は職場で知り合い、半年付き合っていた奈穂に別れを告げた。
「うん…今日はそういうことになるかなって何となく感じてたから。」
「そっか…お見通しだったわけね。奈穂には隠し事できないや。」
無理に笑顔を作った自分が見苦しかった。
「何かやりたいことあるんでしょ。あなたはそうだもの。心に何か決めたらもう誰が何言っても止まらないもの。」
やや涙ぐんだ

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満天の星の下で 第3話【小説】

2017年1月4日

 夢を見た。嬉しいような悲しいような様々な想いの交錯する夢で、身体を起こすと涙が頬を伝った。

 気が付くと私は新幹線の車内にいた。どうやら東京行きの東海道新幹線のようだ。隣りを見ると優希子が眠っていた。外は暗い。スマホをポケットから取り出し、時刻を確認すると19時過ぎで日曜日だった。ロックを解除して、写真のフォルダを見ると京都の写真がたくさんあった。土日を利用して彼女と旅行

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満天の星の下で 第2話【小説】

2016年12月29日

 社会人1年目もあと3か月で終わる。実家へ向かう電車の中で私は晴れやかというか安堵というか限りなく無に近い感情で青空と太陽を見つめていた。冬の西日は強い。実家に帰るといっても1時間弱、乗換なしで着く。しかし不思議なもので近いと意外と帰らなかったため、両親に会うのは5月の大型連休以来だ。
 実家の最寄駅に着く。生まれてから20年ちょっと住んだ場所だ。ホームから改札を出て家ま

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満天の星の下で 第1話【小説】

あらすじ

 私の気持ちは2人の女性の間で揺れていた。どちらも魅力的な女性である。2人を通じて愛とは何か、恋とは何かを知っていく私。その果てに一つの答えを見出すこととなる。

2015年11月17日

 大学もあと少しで卒業である。必要な単位はすでに取り終え、就職先も決まっている。好きな講義を受けて、卒業論文の作成をする。気楽なものである。週一回のゼミは必ず行くが、それ以外は気まぐれである。
 今

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