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これからの人材・組織開発の話をしよう。

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人材開発や組織開発について知ったこと、考えたこと。
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#組織論

結局、組織はトップ次第であるという言説と品性(インテグリティ)について

結局、組織はトップ次第であるという言説と品性(インテグリティ)について

結局のところ、組織はトップ次第である。組織のビジョン実現を妨げているのは、ビジョンを掲げている当の本人、組織のトップであることは少なくない(ように思われる)。つい、先日も同僚と、「なんとなくあの組織のトップは信用できない。組織の求心力を弱めているのは、当の本人ではないか」、そんな話になった。こうした話は、特別、ぼくのような人材・組織開発コンサルまわりだけのものではなく、みな働いていれば、実感のもて

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【日本的組織開発論】『失敗の本質』に見る日本軍の集団主義的傾向と河合隼雄の「場の論理」

【日本的組織開発論】『失敗の本質』に見る日本軍の集団主義的傾向と河合隼雄の「場の論理」

『失敗の本質』を再読した。先日のnoteで触れた河合隼雄「場の論理」に関連して、さらに思考を深めるために、何かヒントが得られるのではないか、と思ってのことだ。

河合の「場の論理」とは、「与えられた「場」の平衡状態の維持にもっとも高い倫理性を与えるもの」であった。「場の中に「いれてもらっている」かぎり、善悪の判断を超えてまで救済の手が差しのべられるが、場の外にいるものは「赤の他人」であり、それに対

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なぜ、組織開発はうまくいかないのか~レヴィンの場の理論と河合隼雄の場の論理から考える~

なぜ、組織開発はうまくいかないのか~レヴィンの場の理論と河合隼雄の場の論理から考える~

組織開発にすこしでも関心がある方は、クルト・レヴィン(Kurt Lewin)の場の理論(Field Theory)を知っている読者も多いかもしれない。レヴィンは、社会心理学者であり、グループダイナミクスや組織変革の研究で知られている。彼の場の理論は、主に個々の行動やグループの行動を特定の社会的な状況や「場」の中で理解しようとするものだ。

レヴィンの場の理論は、**B = f(P, E)**の式で

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組織開発はなぜ難しいのか

組織開発はなぜ難しいのか

20年と組織開発に携わってきたが、つくづく難しいなあ、と思う。どうすれば、組織は変わっていくのか、機能するのか、どの手法が最善なのか、と頭を悩ませ続ける日々を送っている。が、今だ明瞭な答えは見いだせない。あまりにも難しいせいで、そもそも組織に対して、少なくとも外部のコンサルタントという立場では、変化を起こせないのではないかとも思う。2020年にぼくたちの働き方を変えたのは、組織開発ではなく、新型コ

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現場に資する組織開発とはなにか

現場に資する組織開発とはなにか

最近は、自分の生業でもある組織開発を批判的に検証する、ということをおこなっている。社会人になって以降、ずっとこの界隈にいるので、組織開発を批判するということは自身のアイデンティティを批判するということと同義であり、つらい作業である。

とはいえ、批判的の組織開発を再検討することは以下のような理由で求められている。現場のプロフィットセンターで十数人をマネジメントする立場からすれば、組織開発はおおくの

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HRTech全盛時代に陥る罠、あるいはデータの消化不良と組織開発について

HRTech全盛時代に陥る罠、あるいはデータの消化不良と組織開発について

これからの人材・組織開発の話をしよう。久々のマガジン記事をお届けする。

数年前から衰えることを知らないHRTech。コロナ禍によってさらにそのトレンドは加速したように思える。HRTechといってもその領域は無数にあり、採用や労務、学習、オンボーディング、人事評価、モチベーション、組織の活性化などさまざまだ。この記事では主に、ぼくの専門分野である“学習”以降の領域についての所感である。

利用が進

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【5分で学べる組織論】組織文化、組織カルチャーとはなにか?

【5分で学べる組織論】組織文化、組織カルチャーとはなにか?

人や組織に関する支援をしていれば、誰もが”組織文化変革”とか”組織カルチャーの醸成”といった言葉を耳にしたことがあると思う。”風土”とか”体質”とった言葉でも表されるもので、とにかく何だかよくわからない組織に内在するなにかといった意味でよく使われている。

よくわからない”組織文化”とか”組織カルチャー”を変える支援は大体の場合、明確な成果をあげることなく終わってしまう。大失敗したり、クライアント

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【5分で学べる組織論】組織が進化するための3つのステップ

【5分で学べる組織論】組織が進化するための3つのステップ

VUCAな時代において、組織は変革を強いられる。つねに、組織は変化し進化しつづけなければならない。

この記事では、組織が進化するための3つのステップを紹介する。

結論はこうだ。

ステップ1 自社の存在意義を再定義する
ステップ2 戦略的ポジショニングを再考する
ステップ3 実現策を検討する

進化のためにもっとも重要な最初の2ステップを解説していこう。

ステップ1 自社の存在意義を再定義す

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“ティール組織”旋風に対する一抹の不安

“ティール組織”旋風に対する一抹の不安

最近、組織開発や組織論において“ティール組織”が旋風を巻き起こしている。

発達理論をベースにした組織論ということで、この風潮がますます広がり、発達心理に注目が集まることを期待している。

ロバート・キーガンにはじまり、ビル・トーバート、日本では加藤洋平氏が、発達理論の書籍を出版し、ティール組織旋風が巻き起こる種はまかれていた数年間だったと思う。

一方で、一抹の不安を覚えている自分もいたりする。

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