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My-Mythology〜新しく綴りあげる神話の世界〜

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2023年4月の記事一覧

My Mythology/Novels 2023.4【神話創作文芸部ストーリア月報】

My Mythology/Novels 2023.4【神話創作文芸部ストーリア月報】

神話創作文芸部ストーリア月報です。
第4週は連載作品を紹介します。

【今月の神話】笹塚心琴さん/陽羽の夢見るコトモノは(6)

伊織と両親との再会の場に、偶然鉢合わせた陽羽とエリーゼ。そもそも不穏な空気の流れていたところに、さらなる火種が投下されたようだった。両親との同居人たちには面識があったのか? 物語の歯車がギリギリと動き出す。



成瀬川るるせさん/フォークロアコレクト【5】

古代ギ

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〘お題de神話〙 毒を以て

〘お題de神話〙 毒を以て

 
 
 
「何処へなりとゆくがいい」

 男が言った。

 はらりと落ちたひと粒の涙が、女の手にある酒杯へ吸い込まれる。

「せめて最後の杯を……」

 差し出された酒杯に手を伸ばした時、年配の男が声を上げた。

「王! 飲んではなりません!」

 だが、男は静かに酒杯を受け取った。

「アリストテレスよ。案ずることはない。私には英雄ヘラクレスとアキレスの加護がある。何より『決して負けぬ』と神託

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創作未来神話「ガーディアン・フィーリング」48話 火星にて、素晴らしき出来事

創作未来神話「ガーディアン・フィーリング」48話 火星にて、素晴らしき出来事

47話のあらすじ

アフガニスタンで火星滞在の経験を子どもたちや大人たちに伝え終わったジョニーと絵美。

ふたりは、大天使ガブリエル、アフガニスタンの母と呼ばれる詩人ナーゾ・アナー、運転手のガブリに見送られ、別れを告げて次の地へとメタルクラッド飛行船に乗り込んだ。

そして一方、火星ではジョニーと絵美の上司にあたる自然創生共同コロニーのチーフ、スチュアートが彼とその妻と人類にとって大きな出来事を待

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My Mythology/Essay & Column 2023.4【神話創作文芸部ストーリア月報】

My Mythology/Essay & Column 2023.4【神話創作文芸部ストーリア月報】

神話創作文芸部ストーリア月報です。
第3週はエッセイ・コラムを紹介します。

【今月の神話】吉田翠さん/そこに示された循環

排泄物と摂取物の循環。結びつける呪力。これを踏まえて古事記を読むと、また違う裏ストーリーが見えてくるようだ。中公新書「古事記の起源」の紹介記事とのことですが、吉田翠さんの培ってきた歴史観と合致した瞬間を垣間見ることで読みごたえと説得力が生まれています。



吉田翠さん/

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【掌編】虹を見たから

【掌編】虹を見たから

錠剤をヒートからゆっくりと取り出す。左手に載るのは、ラムネ菓子より小さな一粒。

彼は今、窓のない狭い部屋にいる。家族も恋人も友人も、皆が彼の自認を拒絶した。すなわち、「僕は神である」と。

当然ながら、周囲の人々は異口同音に「妄想だ」と彼の言葉を否定した。しかし、そんなものはどこ吹く風、神を自認すると、彼は人々が縋っている倫理がいかに欠落的で独善的かを俯瞰できるのだという。そして、その欠落や独善

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瑠璃とまじない【掌編1000字】

瑠璃とまじない【掌編1000字】

「オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカ」

「オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカ」

茶目っ気たっぷりな声でリズミカルに歌う。
ルリという名の少女は、そうして街から街へと渡り歩いていた。
親の顔も知らず、他に監護者もなく、右に兎のゲッコーを、左には犬のニッコーを引き連れて。
その〈まじない〉の言葉は祖母がルリに教えたものだったが、彼女は物心つく前に天涯孤独の身となり、家族との縁はその

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My Mythology/Story & Poem 2023.4【神話創作文芸部ストーリア月報】

My Mythology/Story & Poem 2023.4【神話創作文芸部ストーリア月報】

神話創作文芸部ストーリア月報です。
第2週は読み切りの小説、詩作品を紹介します。

【リバイバル神話】すーさん/お花たちの創世神話

季節を決めたのは農耕民族でも天文学者でもなかった。新感覚のアニミズム×SF。今もなお、見知らぬ花たちが遠くの星よりやってきて「笑いましょう」と高らかに宣言しているかもしれない。



笹塚心琴さん/薫風

彼を追って山道を歩く。これはトレッキングなんて生優しいもの

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掌編 終末の時に

掌編 終末の時に

神話部お題 【薬】
千文字(以内)小説

 終末の時に

 そよぐ海風に揺れるヤシ。島の陽気は今日も上々だった。
 そろそろ日が落ち始める時刻になって、ケオニはのっそりとベッドから起き上がり、肘掛け椅子に体を預けていた。

「おじいちゃん、薬の時間だよ」

 孫のカイが声をかける。

「おお、カイ。丁度いい、イプヘケを持ってきてくれるか?」
「ん?なんでまた」カイが笑う。
「気分がいいんでな、叩き

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陽羽の夢見るコトモノは(6)

陽羽の夢見るコトモノは(6)

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(6)再会伊織は両親の職業のことをあまり知らない。祖母に尋ねたこともあったが、よくわらない、とのことだった。何かしらの研究事業に携わっており、そのために北欧に拠点を構える機構に所属していることだけは、かろうじて知っていた。

伊織が両親の仕事についてあまり知らないことに同期するかのように、両親もまた伊織が何を目指してどのような生活を送っているかについては、無関心のようであ

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【掌編】神の薬

尾張の先、三河の許呂母を治めていた皇子が亡くなった。垂仁天皇の皇子で、落別の王という。

父の垂仁天皇とも同様に、彼にも多くの子どもたちがいた。この地を治める跡継ぎを誰にするかを揉めだしたとき、誰ともなくこんな話になった。

「父皇子のため、神の薬を飲んで二柱となる勇気ある一族がいるのならば従おう」

この時代、貴人の死には殉死者を伴うしきたりがある。それを穏便に済まそうとしているのだ。

ここに

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『光/LIGHT』 神話創作文芸部ストーリア4月のお題企画作品集

『光/LIGHT』 神話創作文芸部ストーリア4月のお題企画作品集

【今月の神話】4月は「光/LIGHT」をテーマに作品を募集しました。
6名もの方々にご参加頂き、たいへん嬉しく感じております! 本企画が様々な世界の神話・個人の神話の扉を開き、また参加者同士の交流にお役立て頂けましたらまことに幸いです。
作品紹介の後には翌月のお題発表もありますので、最後までゆっくりとお楽しみください!



すーさん/終末の闇夜のなかに

始まりに在り、終わりまで在り続けた者た

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