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ショートストーリー

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短い物語をまとめています。
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迷宮入り。

迷宮入り。

嘘しかつけない日に良い事があった。
正直に過ごそうとした日は怒られた。

嘘をついてはいけませんと教えられたけど、正直なことが良いわけではないらしい。ついていい嘘というのもあるらしい。

嘘をついて、笑って見せた。
正直に泣いた。

朝から、元気に挨拶した。
やりたくないことを断った。
みんなの話題に話を合わせた。
知らないところで起きた悲惨なニュースを消して、ゲームの続きをした。
もう会う気のな

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別れの歌を聞かないように〔ショートショート〕

別れの歌を聞かないように〔ショートショート〕

 オレンジ色の朝陽がカーテンの隙間から覗いているから、もう夕方なのかと焦って起き上がる午前5時45分。窓際にぶら下がった洗濯物が笑っている。
 こんなときのスマホの画面は信用できない気がしてカーテンをすこし開けた。隙間から見える窓の外は明るい。近所の屋根の間から見える太陽が、フローリングの床に窓辺の形を映し出している。それからゴミの袋を持った婆さんが収集小屋へ歩いていくのが見える。このカーテンの隙

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太陽を見間違えるひとはいない〔ショートショート〕

太陽を見間違えるひとはいない〔ショートショート〕

 7月のある雨降りの午後に、僕は太陽にそっくりな女性を見かけたんだ。
 その日は内科の受診のために、駅前の総合病院を訪れていた。僕は看護師から渡された体温計で検温しながら椅子に座り、名前が呼ばれるのを待っていた。彼女が現れたのはそのときだった。
 これはべつにその女性が、輝くほどの美人だったという話ではない。寧ろ、彼女は地味な顔立ちをしていていた。身長もどちらかといえば低めで、胸やお尻もぺたっとし

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〔ショートショート〕海が太陽を吸った日の色のような

〔ショートショート〕海が太陽を吸った日の色のような

 誰しも、ターコイズ色の靴を履くべき日がある。それはブルーでもグリーンでも構わない。だけど、来たるべきその日の為に準備しておくに越したことはない。そして、それは突発的かつ直感的にやってくる。いわば天気雨のように。したがって、それを晴天の空の下でただじっと待っているだけのような非効率的なことは馬鹿げているから、そんなに神経質になる必要はない。直前になれば自ずと分かるから。それが、彼にとっては今日だっ

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〔ショートショート〕喫茶店にスプーンは必要かな

〔ショートショート〕喫茶店にスプーンは必要かな

 コーヒーゼリーの上からかけた白い生クリームソースが、スプーンの後を追って行く。「苦いのが美味しいね」なんて格好をつけたところで、本当はシロップ入りの生クリームがあるから好きなんだと、後悔した。僕は今日、初めて彼女を尾行した。

 仕事だと思っていたが平日が、急に暦通り以上の連休が取れることになった。付き合って半年の彼女と旅行にでもと思ったが、彼女の方は仕事らしい。だから、僕は以前から気になってい

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