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#156 DXは「DとXの順番」が大事(大阪ガスの成功事例から)
昨日、DXが実は企業文化の変革を含む広範な概念であることを投稿しました。
ちょうど今日、大阪ガスのDX取組事例を紹介した日経新聞の記事を読んで、やっぱりなぁ、と思ったことをメモ。
1、どんな記事?
「大阪ガス全社員『データ分析官』電力部門含め5000人が検索・共有」
「営業力向上競争勝ち抜く」
という見出しで、大阪ガスのDXの取組を紹介した記事です。
最初の部分を引用します。
大阪ガスが社内のデータ活用の仕組みを変える。あらゆる社員がガス供給量や機器稼働状況などのリアルタイムデータを検索できるようにし、商業施設の省エネや家庭用燃料電池「エネファーム」の販売などで攻勢をかける。全社員を「データ分析官」に育て、業界をまたいだ競争で生き残る。
本文からポイントを抜き出すと、以下の通りです。
☑️ 20年ほど前からデータ分析の専門組織を立ち上げ業務効率化を進めてきた。
☑️ モットーは「具体的成果が出せないデータ分析官は役に立たない」
☑️ 社員に対しては11年度からデータサイエンス研修を1,900名に実施。
☑️ 実態を熟知する現場社員がスキルを習得することで分析担当に頼らず新たな戦略を自発的に立案しやすくなる。
☑️ ガス、電力の小売自由化もあり既存の事業基盤を守りつつ新規顧客を増やすにはデータ共有の仕組みの刷新が必要だった。
☑️ 来年4月に新たなデータ検索システムを本格稼働させる。
☑️ これにより全社員が最新データを扱える「分析官」になる。
このように、大阪ガスはDXという言葉が出てくるかなり前から様々な取組をしていた成果が今出てきたことが分かります。
2、「D→X」ではなく「X→D」
昨日の投稿で、DXの定義は、企業文化や風土まで含む大きな概念であることを紹介した上で、最後に、以下のような感想を述べました。
デジタルで変革、という順番がよくないですよね。
(なんらか必要性があって)変革をする。そのためにデジタルが必要、というなら分かるんですけど。。。
今回の記事を見て、やっぱり!と思いました。
というのも、大阪ガスも、まず目的(業務の効率化やガス、電力の小売自由化による競争激化への対応)があって、そのための手段としてデータを活用、という順番だったからです。
つまり、「D→X」ではなく、「X→D」なのです。
昨日のアビームコンサルティングの調査で、「全社員へのデジタル教育」が成功のカギの一つとして挙げられていましたが、「全社員へのデジタル教育」も手段です。
大阪ガスでは、当初、専門部署で専門家がデータを分析していたが、「具体的成果が出せないデータ分析官はいらない」とし、「実態を熟知する現場社員がスキルを習得することで分析担当に頼らず新たな戦略を自発的に立案しやすくなる」からこそ、のべ1900名に研修を実施。
つまり、必要があって、やっていることなのです。
従業員にいくら研修してもそれだけでは効果は薄いでしょう。
繰り返しになりますが、「D→X」ではなく、「X→D」なのです。
3、まとめ
まさに、以前、「逆・タイムマシン経営論」について投稿した時の、
「飛び道具トラップ」
の危険性を孕んでいると言えるのではないでしょうか。
必要がある企業は、DXと名前がつく前から、
☑️ データを分析し業務効率化につなげる
☑️ 部門を超えてデータを共有することの必要性を感じてデータ統合を進める
☑️ 一部の専門家が分析しても効果は限定的なので、現場の従業員にデータ活用、分析の研修を実施する
などを「必要だから」行っているわけです。
それを、「DXをやれば効果が上がる」、と捉えて、「じゃぁDXやろう」、では効果が出ない、ということになります。
成功している企業は、DXだからやっているわけではない、ということですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
参考になるところがあれば嬉しいです。
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