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#現代語俳句の会
コラボ作品集《梅雨2023》 2
『懐古の時、それもまた』
小さな駅舎の時刻表。古い友人を訪ねたはいいが……
「一時間後か」
かと言って暇を潰すような場所と言ったら、昔のよろず屋よろしく小さな店が一軒だけ。
「うれしいとメガネが落ちるんです」
懐しいブリキの看板が見えた。
「あいつ、またきっと歩けるようになるさ」
見上げた空は、子供の頃のままだった。
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コラボ作品集《名月2021》1
『行く道』
これはひとつの区切りだ。
年老いた父の具合がどうもいけない。わたしは意を決して長年勤めていた職場に今日別れを告げた。
苦労もあったが、仲間と一緒に乗り越えた日々があった。
さて、上等なワインでも奮発しようか。いや、それよりも父の好きな和菓子を買って帰ろう。
いつか行く道。
今夜はお月見だ。
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