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口語俳句 作品集 12 〜ちる桜〜

春の海見るおんがくということか

ねこの子よちいさな丸になって夜

ちんもくよやがてしずかに春の滝

蝶が飛ぶたて琴鳴りわたるように

大空をひっくりかえしつばめとぶ

生き抜いてこそ長命寺さくらもち

ゆびで割るなかみどりいろ草の餅

街空にきえてもとぶかしゃぼん玉

おぼろづきふるさとともす二三軒

まどに立つうしろすがたと春愁と

離別後よ問いかけてくるはるの月

おんがくよいきいき暮らす春の街

はるの崖モーセ海割るものがたり

叙景詩のひとりとなって花あおぐ

おたがいのためにはたらき街は春

日に風にまかせる島よわかめ干す

さくら一枝咲きはじめたか白磁壺

いまそらを満開にしてあさざくら

げきりゅうを鮎のぼりゆく夕山よ