こは

理系大学院生/本の話をします

こは

理系大学院生/本の話をします

マガジン

  • 書く部|みんなでつくるマガジン

    • 3,711本

    メンバー同士、もう少し交流というか「あ、どーも」があっていいのかなと。記事を書いたら(よければ)放り込んでください。ぜひ、あなたも読んでください。基本はその日の記事を、あと「これ読んで!」って過去記事も数本なら。みんなでいいマガジンにしましょ~🙌

記事一覧

読書ノート|『ジュリアン・バトラーの真実の生涯』川本直

アメリカで大人気だったジュリアン・バトラーという作家。そんなジュリアンと生涯を共にしたジョージ・ジョンという人物が書いた回想録が『ジュリアン・バトラーの真実の生…

こは
3日前
15

読書ノート|『白鳥とコウモリ』東野圭吾

久しぶりに、「ザ」って感じのミステリーが読みたい!こんなときは東野圭吾だ!と思って『白鳥とコウモリ』を読んだ。最初の方に刑事が部下と事件の話をしながら部下と話す…

こは
13日前
21

読書ノート|『ほたるいしマジカルランド』寺地はるな

蛍石市の遊園地『ほたるいしマジカルランド』で働く人たちが主役の物語。ひらかたパークがモデルになっているらしい。高校生のときまでひらパーの広告が吊るされた電車でず…

こは
2週間前
15

桃を買った日

桃を買った。スーパーの果物売り場の一等地に、桃色の果物がたくさん並べられていた。そこだけなんだか上品な空気が漂っていた。自然界でこのピンク色に出会ってしまったら…

こは
1か月前
34

読書ノート|『死んだ山田と教室』金子玲介

どこかの教室でとったような写真が使われている表紙が目に止まった。手にとってみてあらすじを見てみると「教室のスピーカーから死んだ山田の声が聞こえた」なにそれ。すぐ…

こは
1か月前
23

明るい夕方

こは
1か月前
22

スタバで横に座っている人が気になる

スタバにいる他の人が気になる。もちろんジロジロと観察したりなんかしない。パソコンを開いて作業をしている人は、いったい何をしているのだろう。資料を作っているのだろ…

こは
1か月前
18

海を見に行く

アルバイトに行って、いつものように家に帰ろうとした時、ふとまだ帰りたくないと思った。今日は風が気持ちよくて、空が真っ青で、入道雲がもくもくとしていて、このまま家…

こは
1か月前
24

3行日記

頭がしゅわしゅわ燃え尽きて、こんなにアイスを買って帰りたい日に、まだ開いているコンビニが帰り道になくてよかった

こは
2か月前
12

女子校

学部1年生の6月ぐらいに、いろんな学部の学生が集められて1つのクラスみたいになって、自分についてプレゼンをしようという授業があった。みんなやっと始まった大学生活に…

こは
2か月前
19

目が合った本

初めてジャケ買いした本のことを覚えている。 小学校から高校まで通学路が同じだった。12年間同じ電車に乗っていた。ずっと校則が厳しくて、スマホも持って行っていなかっ…

こは
2か月前
11

コンビニのお姉さん

昨日は夕方からバイトだったから、休憩時間に食べるご飯を買うために学内のセブンイレブンに立ち寄った。普段はキャンパスの端っこの研究室にいるから、学部1年生がメイン…

こは
2か月前
14

読書ノートl朝井リョウ『何者』

中学生のときにこの本を読んだせいで、わたしはかなり早くから就活に怯えていた。就活では面接に何回も落ちて、自分のことも人のことも嫌になって、友だちのプリンターが借…

こは
2か月前
17

負けず嫌い

学部時代、楽器を弾くサークルにいた。 毎年自分たちで演奏会をしていて、演奏する曲は半年前ぐらいにみんなで決める。4年生のとき、わたしはやってみたかった曲があったの…

こは
2か月前
11

クッキー

23時20分。私はクッキーを食べている。 ステラおばさんのアーモンドチョコチップクッキーを大切に食べている。 こんな時間に甘いものを食べるのに罪悪感なんて必要ない。 …

こは
2か月前
12

オリーブ

先輩と頻繁に会っていた時は、よく話しかけたり、話しかけられたりしていた。 私がタイツを履いていた日には、タイツとストッキングってどう違うの?って聞かれた。変な毛…

こは
2か月前
17
読書ノート|『ジュリアン・バトラーの真実の生涯』川本直

読書ノート|『ジュリアン・バトラーの真実の生涯』川本直

アメリカで大人気だったジュリアン・バトラーという作家。そんなジュリアンと生涯を共にしたジョージ・ジョンという人物が書いた回想録が『ジュリアン・バトラーの真実の生涯』です。

この小説の何がすごいかというと、全部フィクションということ!!ジョージの目を通して、ジュリアンという人間の人生が事細かに書かれていて、実在しないということを忘れそうになる。というか忘れる。「ジュリアン・バトラー」っていうWik

もっとみる
読書ノート|『白鳥とコウモリ』東野圭吾

読書ノート|『白鳥とコウモリ』東野圭吾

久しぶりに、「ザ」って感じのミステリーが読みたい!こんなときは東野圭吾だ!と思って『白鳥とコウモリ』を読んだ。最初の方に刑事が部下と事件の話をしながら部下と話すシーン。事件ものの始まりってこうじゃないとね!とわくわくしてから、気づいたら上巻から下巻に移動し、最後まで一気読みしてしまった。いい休日。

死体遺棄事件が起こり、捜査線上に浮かび上がった人物が過去に起こった殺人事件とも関係があったとわかる

もっとみる
読書ノート|『ほたるいしマジカルランド』寺地はるな

読書ノート|『ほたるいしマジカルランド』寺地はるな

蛍石市の遊園地『ほたるいしマジカルランド』で働く人たちが主役の物語。ひらかたパークがモデルになっているらしい。高校生のときまでひらパーの広告が吊るされた電車でずっと通学していたからとても懐かしくなった。

別の世界に遊びに行っている気分を味わうテーマパークとはまた違って、遊園地は現実世界の中でとても楽しいことをしている感じがしてわくわくするし、こんなところで働けたら楽しそうだと思ったことも何度かあ

もっとみる
桃を買った日

桃を買った日

桃を買った。スーパーの果物売り場の一等地に、桃色の果物がたくさん並べられていた。そこだけなんだか上品な空気が漂っていた。自然界でこのピンク色に出会ってしまったらきっと虜になってしまうだろう。ふわふわとぴかぴかの両方を持っているものは、私はこの世で桃しか知らない。

果物を買ったのは久しぶりだった。高くて手が届かないと思って果物売り場には近づくことがなかったのだけど、その日は買い忘れたレタスを取りに

もっとみる
読書ノート|『死んだ山田と教室』金子玲介

読書ノート|『死んだ山田と教室』金子玲介

どこかの教室でとったような写真が使われている表紙が目に止まった。手にとってみてあらすじを見てみると「教室のスピーカーから死んだ山田の声が聞こえた」なにそれ。すぐに買って帰って読んだ。めちゃめちゃおもしろかった!

確かに「教室のスピーカーから死んだ山田の声が聞こえ」る話だった。クラスの人気者だった山田が突然死んでしまうのだが、その数日後、教室のスピーカーから山田の声が聞こえてくる。これだけの情報だ

もっとみる
スタバで横に座っている人が気になる

スタバで横に座っている人が気になる

スタバにいる他の人が気になる。もちろんジロジロと観察したりなんかしない。パソコンを開いて作業をしている人は、いったい何をしているのだろう。資料を作っているのだろうか。文章を書いているのだろうか。あの人が完成させたものをきっと私は一生見ることができないのが不思議だ。スタバにいるときはいつも誰かの背景になっているような気持ちになる。

私はだいたいフラペチーノを飲むのを目的に行くミーハースタバユーザー

もっとみる
海を見に行く

海を見に行く

アルバイトに行って、いつものように家に帰ろうとした時、ふとまだ帰りたくないと思った。今日は風が気持ちよくて、空が真っ青で、入道雲がもくもくとしていて、このまま家に帰ってしまうのはもったいないような気がした。住んでいるマンションの前の横断歩道を渡らずに左に曲がった。海に行くことにした。

大学2年生の春に初めてこの海に来た。緊急事態宣言が出て暇を持て余し、海まで行ってみようと思い立って歩いて行った。

もっとみる
3行日記

3行日記

頭がしゅわしゅわ燃え尽きて、こんなにアイスを買って帰りたい日に、まだ開いているコンビニが帰り道になくてよかった

女子校

女子校

学部1年生の6月ぐらいに、いろんな学部の学生が集められて1つのクラスみたいになって、自分についてプレゼンをしようという授業があった。みんなやっと始まった大学生活にちょっとずつ慣れ始めて、でもまだわくわくし続けている時期。ギターを始めた話、既にブラックそうな動画編集のバイトの話といった、新しい生活の話をする人もいれば、学部を選んだ理由や、生まれ育った地域の紹介など、自分のルーツを話す人もいた。私は何

もっとみる
目が合った本

目が合った本

初めてジャケ買いした本のことを覚えている。

小学校から高校まで通学路が同じだった。12年間同じ電車に乗っていた。ずっと校則が厳しくて、スマホも持って行っていなかったし、かばんにつけるキーホルダーは拳ぐらいの大きさで1個だけという決まりも守っていた。

校則では寄り道も禁止されていた。高2になるまで私はそれも律儀に守っていて、コンビニにすら寄らなかった。初めての寄り道は、最寄駅のひとつ前の駅で降り

もっとみる
コンビニのお姉さん

コンビニのお姉さん

昨日は夕方からバイトだったから、休憩時間に食べるご飯を買うために学内のセブンイレブンに立ち寄った。普段はキャンパスの端っこの研究室にいるから、学部1年生がメインで使っている区画に足を踏み入れたのも久しぶりだった。

ちょうど4限終わりの時間帯だったからか、大混雑していた。店内にいるのはほとんど1年生だろう。高校生の時まではすれ違った相手が高1か高2かなんてわからなかったけど、大学1年生とそれ以上は

もっとみる
読書ノートl朝井リョウ『何者』

読書ノートl朝井リョウ『何者』

中学生のときにこの本を読んだせいで、わたしはかなり早くから就活に怯えていた。就活では面接に何回も落ちて、自分のことも人のことも嫌になって、友だちのプリンターが借りられなくなるのだと思っていた。去年就活をしている時も、就活の小説があったなとこの本を思い出しながらも、今読んだら病みそうだと思って近づけなかった。
実際に就活をしてみると、この本で怯えていたようなことは一つも起こらず意外とあっさりと決まっ

もっとみる
負けず嫌い

負けず嫌い

学部時代、楽器を弾くサークルにいた。
毎年自分たちで演奏会をしていて、演奏する曲は半年前ぐらいにみんなで決める。4年生のとき、わたしはやってみたかった曲があったのだけど、大親友の指揮者にわたしたちにはできないと思うと言われた。その日は確か博多のカプセルホテルに泊まっていて、2段に分けられた下の段の、自分に割り当てられていた個室で必死にメッセージを打ちながら、音が漏れないようにタオルに顔を埋めて泣い

もっとみる
クッキー

クッキー

23時20分。私はクッキーを食べている。
ステラおばさんのアーモンドチョコチップクッキーを大切に食べている。
こんな時間に甘いものを食べるのに罪悪感なんて必要ない。
遅くに帰ってきて、変な格好で椅子の上に丸まって時間を溶かす石像になってしまう前にシャワーを済ませて、スキンケアをして、髪の毛を乾かした。
ぜんぶ終わらせて、帰ってきた瞬間から涼しくしておいた部屋で椅子に座るとき、ああ、今「素」だな、と

もっとみる
オリーブ

オリーブ

先輩と頻繁に会っていた時は、よく話しかけたり、話しかけられたりしていた。

私がタイツを履いていた日には、タイツとストッキングってどう違うの?って聞かれた。変な毛玉がついていませんようにと願いながら、「ストッキングが肌色のやつ?」「黒のストッキングもあるかも」「じゃあ足の先まで覆われてるのがタイツ?」「足の先がないのはスパッツだと思います。薄いやつがストッキングですかね」という会話をしたことを覚え

もっとみる