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コンビニのお姉さん

昨日は夕方からバイトだったから、休憩時間に食べるご飯を買うために学内のセブンイレブンに立ち寄った。普段はキャンパスの端っこの研究室にいるから、学部1年生がメインで使っている区画に足を踏み入れたのも久しぶりだった。

ちょうど4限終わりの時間帯だったからか、大混雑していた。店内にいるのはほとんど1年生だろう。高校生の時まではすれ違った相手が高1か高2かなんてわからなかったけど、大学1年生とそれ以上はなぜかわかる。1年生はなんだかエネルギーに満ちていて眩しい気がする。コンビニにいた学生たちはみんなアイスやお菓子を手に持って並んでいて、授業が終わってほっとしているのと、さてこれからどんな時間を過ごしましょうか、とわくわくしているのが入り混じったような表情をしていて、長い列ができているのにどこかのんびりとした空気が流れていた。

アルバイト先に向かう道の途中にあったからという理由でたまたま同じ時間にその空間に紛れ込んでしまった大学院生は、1年生の邪魔にならないようにこそこそとなんとか隙間を見つけて、惣菜コーナーにたどり着いた。晩ごはんにはおにぎりを2つ。梅おかかと海老マヨ。セブンイレブンのおにぎりは、のりに味がついていて好きだ。レジを待つ列に並んでいる間に、PayPayの残高をチャージして、セブンイレブンアプリをチェックしておく。いつも支払う直前に残高が足りないことに気づいて、慌ててチャージして金額再更新のボタンを連打する私でも、列のおかげで事前に準備できた。さらにおにぎり20円引きのクーポンを発見する時間まであった。

次の方どうぞ!
と、レジのお姉さんに声をかけられて前に進む。「いらっしゃいませ」と同時ぐらいに、用意していたクーポンを出すと1秒も空けずに「いつもアプリのご利用ありがとうございます!」と言い、PayPayの画面に切り替えている間にいつの間にかおにぎりをレジに通して、PayPayのバーコードを読み込んで、私がスマホをかばんに入れている間に「シールだけ貼らせてもらいますね!」と言って2つのおにぎりにシールを貼ってくれた。流れるように手を動かしながら同時に話し続けて、しかも全てのセリフを語尾まで言い切るお姉さんはすごい。

私だったらきっと「いらっしゃいませ、レジ袋…あ、クーポン、失礼します、レジ袋は…かしこまりました、2点で〇〇円です。お支払い方…PayPayですね、失礼します、シールを…少々お待ちください、ありがとうございましたー」みたいな感じになる。自分が言おうとしていた言葉を直前に変えるなんてできないし、言うよりも先に相手が行動しているのが見えてしまったら、最後まで言うのを諦めて対応に意識が持っていかれると思う。感動しながら店を出た。

影響を受けてその後のバイトでは、最後まではきはきとしゃべるぞと意気込んだのだけど、やっぱり「ポイントカードはお持ちでしょうか」の途中にカードを出されると、「お会計は⚪︎⚪︎円です」の途中に一万円札を出されると、あわててしまって、最後まで言い切るのをやめてしまう。なんだか自信がなさそうでかっこ悪い。
あわあわせずに自分のペースを貫くお姉さんはとても素敵だった。私が語尾を諦めるのは、きっと人を待たせるのを怖がりすぎているからだけど、お姉さんの作業が遅れているようには見えなかったし、人を苛立たせていることもなかった。私も同じようにできるまでにはきっと時間がかかるけど、チャレンジしても迷惑になることはないのかもしれないという勇気を少しだけもらえた気がした。

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