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始まりのとき #1(そのゴミは誰のゴミ)
とある山に
50年以上放置されたままの
大量のゴミがあります。
登山者のポイ捨てや産廃業者の不法投棄といった類いのゴミではなく、
山のレジャーを楽しんだ人がゴミ箱に捨てたゴミ。
レジャー施設を運営していた人が出したゴミ。
何年も何年も捨てられ続けて、何年も何年も放置され、落ち葉が積もり、ゴミの地層が出来上がってしまったのです。
それを目の当たりにした1人の人間が
何でこんなことになっているんだ
場所 #9(そのゴミは誰のゴミ)
男はホワイトキューブを選ばなかった。
これは実験であり
問いかけであり
挑戦であり
先が見えなくて
でも希望は持つ事のできる
そんな類いの
わくわくとした
芸術の探求であるから
予定調和的に得るものの中に
どれほどの面白みや発見があるというのか
安心は得るのかもしれないけれど。
観覧者ではなく、
目撃者が
何を思うか
捻れてきた常識
誰かにとっての普通
それらが
美しい行いを妨げている。
仕様もない #10(そのゴミは誰のゴミ)
2022年 11月。
ゴミのプロジェクトが始まって2週間ほど経った。
期待と
不安。
誰かがもう気づいて
社会的に解決される期待。
景観を乱していると苦情を受ける不安。
そんな仕様もない感情を抱いていました。
さて、何も起こらず。
その頃の私の芸術に対する目は
まだまだ右往左往して
遠くの方に見えているものが
ああ、そういうことか
と 納得できるものなのか、
辿り着いたらそれは蜃気楼な
みんな玉虫色 #11(そのゴミは誰のゴミ)
ため水の中で 缶を揺らす
錆びて 土のついた
ゴミを洗う
取り出し 逆さにする
水と一緒に
玉虫色の虫の羽が
錆びたスチール缶のかけらと一緒に
たくさん流れ落ちた
その玉虫色は金緑というより
もっとずっと赤暗い色で
錆びたスチール缶の色が移ったような
見たことのない
独特の色をしていた
綺麗だ
きらきらしていた
自然は
そこにあるべくしてある
何をどうばら撒かれようが
人間の愚行の結
鳥は気にしない #13(そのゴミは誰のゴミ)
増える
増やす
男は止まらない。
通り過ぎてゆく人々は
みな一応に感嘆の声をあげ
優しい気持ちが交錯して漂う
正しさを差し出す
かの目には美しく
他の目には見苦しく
人を思えば尊く
我を思えば軽んずる
そこに
ここに
種は蒔かれている
問いかけている
蒔き時が違っていても
蒔く場所が違っていても
鳥たちはそんなことを
気にしない
ある種は実り
ある種は実らず
ただそれだけ
果てなく #14(そのゴミは誰のゴミ)
私は芸術を
わかろうとしているのではなく、
私が良かれと思うかたちの中に
適当な解釈をつけて
体裁よく納めようと
しているだけなのかもしれない。
答えがあると
思い込んでいる。
でもそれでは
何も越えられない。
私がそれまでの私のままで
規定範囲内の感情の機微を得るぐらいのものでしょう。
安心を得ようとわかったフリをしなくていい。
心を締め付けるものの正体を探し続ければいい。
様々な疑問を