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エッセイ

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ある体験をきっかけに気づいたこと、思い出したことを書いています。紐づけられた記憶を抽出する作業。
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母校はいつ「母校」になるのか

母校はいつ「母校」になるのか

 先日の「同窓会に行ってみた」の続きです。

 自分にとっての母校が高校だなと感じたのは最近のことで、これは高校の同窓会に行ったのが明確な動機になっているのは言うまでもない。同窓会に行き、ずっと昔の顔も名も知らぬ同窓生に会い、そう感じた。多分、同級生が揃う同窓会だったらこうは思わなかったんだと思う。歳のずっと離れた人々の存在が私をそう思わせている。

 でも、何がそんなに遠い同窓生の存在が私に高校

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同窓会に行ってみた

同窓会に行ってみた

 先日、久しぶりに同窓会に行ってきた。とはいっても、同級の同窓会ではなく、卒業会の異なる同窓会で、顔を知る人物は誰もいなかった。それはそれで居心地は良かったのだが。その同窓会は一風変わっていて、幹事学年の方が企画をした出し物が披露された。立食形式のものではなく、浅草花劇場で行われ、まるっきり鑑賞スタイルであった。卒業生の中には音楽活動やパフォーマンスに従事でしている方もいて、その演奏があったり、現

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いつもと違う場所で本を読みたい

いつもと違う場所で本を読みたい

 先日、友人に旅行に行かないかと誘われた。二つ返事で行く行くと答えていたが、結局友人の方に大事な仕事が入りその旅行は頓挫となったのだが、今回はその頓挫するずっと前の話。

 友人にどこに行って何をしたいかと聞かれた。何をしたいのか。これが非常に難しい。私は旅行に行き、その地を少しぶらぶらして本を読みたいといった。その地で買った本、その地に根ざした本ではなく、いつも読んでいる本を読みたい。何なら今読

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八丈島で車に乗せてくれたオヤジさん

八丈島で車に乗せてくれたオヤジさん

 大学1年生の春休み、八丈島に行った。春休みも残り1週間というタイミング。誰かを誘うわけでもなく、入念なプランもなしにのんびりと船に揺られて、島に向かった。
 底土港からすぐ近くの民泊を借り、着いたその日は当てもなく近くをぶらついた。雲が地上に近くずっと雨が降っているみたいで、海沿いをひたすら歩いた。その日は船が港に入れるか怪しいくらい波があり、風も強かった。海沿いは岸までやってきた波が風にゆっく

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短期的な成果物を出す意味

短期的な成果物を出す意味

最近はnoteの投稿頻度を上げるように心がけている。その最大の理由は短期的に成果物を上げて、自分の中のペースを維持すること。そして、自分自身に自信を持ってもらうこと。普段、インタビューの編集をしていることが多いが、インタビューは現状、毎日出せるようなものではない。出せて月1-2本が限界である。インタビューの準備やインタビュー相手との調整など一人ではどうにも解決できない部分がある。しかし、そうやって

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『夕方がいちばんいい時間』

『夕方がいちばんいい時間』

 日々の忙殺に流されてしまいついぞ1日が終わってしまうというのは今に始まったことではありません。中学を過ぎたころ、それは少し言いすぎでしょうが、高校生になったころにはそういう感覚が少しづつ芽生えてきたように思えます。気づいたら夜なんていう日が増え、大人の言ってる時間にまつわるあっという間とはこれのことかと妙に納得している自分に背筋がひやりとして、そんなことかと思えばもう大学3年生です。とはいっても

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なぜインタビューをするのか

なぜインタビューをするのか

どこから話すべきか、非常に難しいですが、順を追って丁寧に話していくのが賢明だと思うので、少々回りくどいですが、適当に読み飛ばしてもらえればと思います。

きっかけはリバネス奨学金そもそものきっかけは2023年4月に採択されたリバネス奨学金で参加したゼミでした。ゼミで感じたことの詳細は別の記事にしようと思いますが、簡単にいうと、手弁当で自分の好奇心を満たせるのは本を読んだり、映画をみたり、論文よんだ

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「英国王のスピーチ」から思い出すハハキコウヘイ

「英国王のスピーチ」から思い出すハハキコウヘイ

先日、英国王のスピーチという映画を見た。父が偶然BSの録画を残していたのだ。その日は風邪気味で外に出る気にもなれず、これ幸いとこの映画を見ることにした。映画の内容は、ざっくり言うと、吃音のジョージ6世がいかにして、吃音とそして自分と向き合ったかを描いたものである。実際にあった話に基づいているので、劇的な展開があるわけではないが、国王が一歩ずつ「話す」という行為に向き合う姿が切実で印象的であった。

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友人に「思い出トランプ」を勧めた自分はウザいのか

友人に「思い出トランプ」を勧めた自分はウザいのか

先日、友人と本の話になった。その友人は本を読まないらしいが、私がなぜ本を読むのかとか、どんな風に本を読んでいるかとかを聞いて、本を読みたくなったらしく本を紹介してくれと頼まれた。本を紹介する。これは非常に難しいことだ。頼まれたことがある人なら分かるだろう、おそらく。ただでさえ、人に本を紹介するというのは気を遣うのに、相手は普段本を読まないときた。非常に難しい問題だ。

みなさんはこういうときどうい

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