毒親?いや、僕はただ満たされなかっただけ
毒親と言っては親が可哀想かもしれない。
でも、満たされなかった僕はもっと可哀想だ。
可哀想だから、可愛がる。
だから、僕は自分で自分を子育てする。
必要と思う教育を受けなかったのであれば、自分が代わりに自分を洗脳すればいい。
アファメーションでも7つの習慣でもなんでも。
いい歳こいてしょーもないことをすることこそがが、いい歳こいたしょーもない人には必要なのである。
僕はとにかく「一番尊敬できる人は親」という信念がカッコイイと思っていたし、1にも2にも、親(とくに母)のことが好きだったので、23歳くらいまで「親のせいにする」という発想がなかった。
上手くいくも上手くいかないも全ては自己責任。
15から経済的にも物理的にも自立していたのも関係している。
「この世の不利益はすべて当人の能力不足」
東京喰種のこの名言が生まれる前から、これを信念にして生きてきた。
なおかつ、自分は親に感謝している。そう思っていた。
全く出来た高校生だ。
全ての責任を負うには、精神が未熟すぎた。
「親は偉大」と思いたいのは「今まで沢山反抗してきた不器用な俺だったけど、ようやく母ちゃんの偉大さがわかったんだ。」
って言いたかったから。
あなたの背中に負われながら眺めた八重瀬岳の夕日を思い出して感傷に浸りながらアンマーよーと泣きながら大合唱したかった。
男のカラオケあるあるだよね。
その乗り越えた感がカッコイイと思っていたから。
たまたま都合よく、親に死ぬほど反抗していた僕はその物語を引用して、親に「ありがとう」と嘘をついたわけだ。
なんも乗り越えてないのに。
ただ酔いしれた。
親がしてくれたことで、特に良かったと感じていることが2つある。
1番は母がずっと僕に触れていたこと。
小学生の高学年くらいまでは一緒にお風呂に入っていたし、一緒に寝ていた。
アトピーだったので風呂上りには薬を塗ってくれたし、アトピーに効くツボを押してマッサージしてくれていた。
寝る前は腎盂(じんう)をずっとさすってくれていて、めちゃくちゃ気持ちよく、それが心の底から安心出来たことを覚えている。
母が子供の肌に触れる時間が多ければ多いほど、自殺の予防になると個人的には思っている。実際にそれは僕の役に立った。
もうひとつは親同士の喧嘩を見たことがないことだ。
父は母に経済的DVをしていたけど、母はそれに慣れ切って従順になっていたので波風を起こすことがなかった。
要は、ずっと我慢していただけなのだが僕はそれを仲が良いと思い込んだ。
それでも、仲が悪い姿を子供に見せなかったというのはとてつもなく大きなことだ。
小学生の頃地元のお祭りで僕が迷子になった時、帰りの車の中であんたが見てなかったせいだ、みたいなことでほんの少しだけ言い合ってるのを見て、物凄く不安に駆られたことを覚えている。
あの何分かだけでこんなに心の根本を揺らがせられるのだから、親同士が喧嘩しているのを日常的に見ている子供の精神負担は計り知れない。
両親もその姿を見せたことに後日反省していたというし、根本的に愛の深い両親に育てられたなと思う。
よく毒親をつぶやく人のアンチで「ご飯を食べさせてくれたことに感謝しろよ」みたいなことを見聞きするのだけど、
普通に自己都合で子供を産んでおいて、死なない程度の栄養を与えるのは普通に当たり前のことじゃないか?
当たり前に感謝しろと言われればそうかもしれないけど、感謝は人に強要されるものでもないし、食わせてやったことに感謝しろと言う親がいるならそれこそ毒親なのだと思う。
僕はごくごく一般的な家庭なので、普通に栄養のあるご飯を食べられた。
あんまり感謝はしていないけど。
愛情は深いが性格に難のある父親と、その被害を受けた兄に僕の強いエネルギーは抑えつけられたのだけど、そこまでならまだ僕はただの抑圧人間だった。
両親の失踪はマズかった。
そりゃ人間不信になるわ。
というか、
よく考えたら普通にネグレクトじゃね?
育児放棄の「児」ではないけど、多感な中学の時期に親2人失踪って、どうなのよ。
しかもそこからのフォローもリカバリーも何もない。
「見守る」ことしか出来ない受け身の親になって、教育を放棄した。
そりゃ僕は手に負えない子供だったけども。
それぞれに事情があって、それぞれの心の弱さが露わになる時期が重なってしまったから、こうなることは然るべき当然の流れだ。
そんなことはわかっている。
だからと言って納得できるかと言われれば出来ない。
僕は事実満たされなかったのだ。
そこから、今に至るまで能動的に僕に傾聴してくれたことは一度もない。
手に負えない子供を放棄したら、さらに手に負えなくなるわな。
しかも、その手に負えなさを奥の方に引っ込めて、外面を良くして自分に酔う演技をするようになるという達の悪い自衛の仕方で。
そりゃ大人になって、爆発するわ。
毒親、親ガチャとか、そんなことを言うつもりはない。
ある程度良い親だ。
ただ、僕が満たされなかっただけ。
これから彼らが僕を満たすことはないことを理解したから、しっかりと軽蔑して親を切り、しっかりと諦めて別の人間関係を作ることにした。
僕は僕を満たす為に、僕の子育てをするのだ。
邪魔はさせない。
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