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メタル君の「今日の精神医学豆知識!」(221)-(225)

皆様、こんにちは。鹿冶梟介(かやほうすけ)です😆

ジメジメした日がつづきますね…☔️

梅雨の晴れ間がとてもありがたく思える時期ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

小生、実は最近悲しいことがありました…。


3月にモスバーガーでもらったコスモスの種を大切にプランターで育てていたのですが、全部枯れちゃいました…😭

梅雨のバカー!!!っと思わず叫びたくなる1週間でしたね...。

(しかし、本当に梅雨が原因かは不明ですが…🤔)

さて気を取り直して、今回は第221回から225回までのメタル君の朝ツイートをまとめています。

Twitterでも頑張るメタル君の姿をでnote民の皆様も是非覗いてみてください☺️

Twitter民の皆様も、Twitterでは語りきれなかった【メタルのおまけ】がございますので、ご興味があれば是非お読みください!


【今日の精神医学豆知識集!(その45)】

221.統合失調症の発病に関連する遺伝子異常で有名なのはスコットランドの家系で見つかったDISC1遺伝子だよ。この遺伝子に転座(染色体が切断され、他の染色体と結合)が生じるとDISC1遺伝子の機能が障害され、胎生期の神経細胞の移動や軸索伸長、樹状突起形成が阻害されるんだって。

2023年5月14日

【メタルのおまけ】
遺伝子と統合失調症をつなぐ関係性は生物進化における「ミッシングリンク」のように”謎"とされてきたけど、DISC1の発見により「精神疾患の発病も生物学的に説明がつくかも…」という大きな期待が寄せられたよ。しかし、DISC1異常自体は極めて稀なので全ての統合失調症をDISC1で説明できるわけじゃないよ。

↓DISCといえばブルーレイディスク?思い出の記録にどうぞ!


222.昨日紹介したDISC1遺伝子異常を持つ家系において保因者29名のうち7名が統合失調症、1名が双極性障害、10名が大うつ病だったそうだよ。DISC1遺伝子に異常があっても必ずしも統合失調症を発病しないということは、環境要因が統合失調症の発病に影響することを意味するね。

2023年5月15日

16【メタルのおまけ】
DISC1という遺伝子異常が必ずしも統合失調症を発病させるわけでない…、という結果だけど、これは逆にいうと「統合失調症、双極性障害、うつ病には共通する生物学的異常がある」ということも示唆していると思うよ。19世紀のドイツの精神医学者グリージンガーは「精神疾患は元来一つであり、それが一人の患者の中で変化する諸段階で種々の症状が出現する」という単一精神病論をとなえたけど、DISC1はある意味この単一性を表しているようにも見えるな。

↓ドイツの精神医学者グリージンガーの本です!…高杉ぃ…😭


223.NGR1遺伝子はアイスランドの統合失調症家系調査によって同定された統合失調症関連遺伝子だよ。NRG1は胎生期の神経細胞突起の伸長、成人ではNMDA受容体の発現などに関わるよ。NGR1の遺伝子多型は統合失調症患者さんの脳室拡大・白質障害と関連することが指摘されてるよ。

2023年5月16日

【メタルのおまけ】
余談だけどアイスランドは遺伝子研究では「先進国」なんだ。これはバイキングが9世紀にアイスランドに移住して以降、外部からの移民がほとんど入ってこなかったからなんだ。つまり背景となる島の住民の遺伝子がほぼ均一で”ノイズ”が入りにくいんだよ。しかもアイスランド人は先祖代々の家系図も保有し、100年ほど前からは医療記録も残されているんだ。まさに遺伝研究にはうってつけの国だね!

↓アイスランド、良いところらしいですね!是非一度行ってみたいです!


224.統合失調症に関係する遺伝子としてCOMT遺伝子変異があるよ。COMT遺伝子が存在する22番染色体の部分欠失がVelo-Cardio Facial症候群(VCFS)を起こすけど、このVCFSが高率で統合失調症を発病することから注目されたんだ。

2023年5月17日

【メタルのおまけ】
VCFSは口蓋裂/二分口蓋垂、学習障害、心奇形、特徴的顔貌の4つの症候がみられるよ。同じく22番染色体の部分欠損であるDiGeorge症候群は胸腺低形成による免疫不全、心奇形、副甲状腺低形成(低カルシウム血症)、特徴的な顔貌を呈するよ。現在では円錐動脈幹異常顔貌症候群(高尾症候群)と合わせて、22q11.2症候群って呼ばれているよ。

↓ちなみに22番染色体欠損のことをかつて「キャッチ22症候群」と呼んだよ。差別的なニュアンスを含むから今では使わなくなった言葉だね…。


225.昨日紹介した統合失調症関連遺伝子COMTはドパミン等カテコールアミン類の代謝(不活化)に関わる酵素だよ。統合失調症のメカニズムとしてドパミン過剰説があるから辻褄は合うように見えるけど、最近ではCOMT遺伝子多型と統合失調症の関係は薄いと言われ注目されなくなってきたよ。

2023年5月18日

【メタルのおまけ】
COMT研究で最も注目されていたのは、ペプチドの108番目のアミノ酸がバリンからメチオニンに変化する多型だよ(Val/Met遺伝子多型)。特に統合失調症の前頭前皮質の機能とVal/Met多型が関与する…、という説があったけど現在ではあまり注目されていないな…。一つの遺伝子異常だけで統合失調症の発病するという単一遺伝子説はもはや採用されず、現代ではcommon disease-common variant仮説や遺伝子コピー数多型型(CNV)仮説などが提唱されているよ。詳細な説明は、いつか鹿冶さんがやってくれると思うよ!

↓メタル君、そういうのを「他力本願」というぞ!


【メタル君の考察】

今回は「統合失調症の遺伝子」をテーマにしたツイートが中心だったね。

以前から「統合失調症は遺伝する」ということは分かっていたけど、その原因遺伝子の研究が本格的になったのはわずか20年の話なんだよ。

このように統合失調症と遺伝子の関係は長年「ミステリー」だったんだ。

最近も様々な「統合失調症候補遺伝子」が見つかるけど、いずれもその異常で100%統合失調症が発病するわけでもないし、その候補遺伝子が鬱病や双極性障害とも関連する…、なんてこもとよくあるよ。

つまり、精神疾患同士って(遺伝子的には)差がないものかも知れないね…。

これからもマニアックな精神科ネタをジャンジャン紹介していくね😉


↓スライムの扇子だそうです。暑くなるので欲しいですね!


【Twitter】

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精神科医・鹿冶梟介(かやほうすけ)
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