神永学

小説家 1974年山梨県生まれ。2004年「心霊探偵八雲」でプロデビュー。 「心霊探偵…

神永学

小説家 1974年山梨県生まれ。2004年「心霊探偵八雲」でプロデビュー。 「心霊探偵八雲」「怪盗探偵山猫」「悪魔と呼ばれた男」「浮雲心霊奇譚」などシリーズ作品の他に、「ラザロの迷宮」「ガラスの城壁」など多数の作品を手がける。

記事一覧

マガツキ 冒頭限定公開

2024年3月25日発売の神永学さんの小説『マガツキ』の第一話を、発売に先駆け無料公開いたします!  『マガツキ』は、人の身体を欲しがる「それ」と呼ばれる怪異の正体を探…

神永学
1か月前
20

悪魔に墜ちた男

※「悪魔と呼ばれた男」のネタバレを含みます。 ※「悪魔を殺した男」初版限定に付属したショート・ストーリーです。      1  穴を掘った――。  スコップを地…

神永学
2か月前
9

魔女

※小説現代に掲載された「悪魔と呼ばれた男」のスピンオフショートストーリー。 ※「悪魔と呼ばれた男」のネタバレを含みます。 1  天海は、ノックしてからドアを開けた…

神永学
2か月前
18

悪魔の預言者

悪魔の預言者※本作品は、2020年11月29日『STORY LIVE Special』(三省堂書店池袋本店開店5周年記画)にて朗読、一部書店にて配付されたものを加筆・修…

神永学
2か月前
21

七十四秒の旋律と孤独

これは、とんでもないSF小説が誕生しました!! 私、個人的には、フィルップ・K・ディックを初めて読んだときのような衝撃を受けました。 本作は、創元SF大賞短…

神永学
3か月前
5

鬼妃 ~「愛してる」は、怖いこと~

さて、本日紹介する本は、鉈手璃彩子先生の『鬼妃 ~「愛してる」は、怖いこと~』です――。 本作はカクヨムweb小説コンテストホラー部門の特別賞受賞作です。 最近、…

神永学
3か月前
19

君のクイズ

さて、本日紹介するのは、小川哲先生の「君のクイズ」です――。 これはとんでもない作品です!! さすが日本推理作家協会賞受賞作品!! あらすじ 何が、そんなに凄い…

神永学
4か月前
9

名探偵じゃなくても

本日紹介する本は、小西マサテル先生の「名探偵じゃなくても」です――。 本作は、以前にブログで紹介した「名探偵のままでいて」の待望の続編。 前作の紹介は、コチラか…

神永学
4か月前
9

掌編小説「夏の日の幽霊」

 小学校五年生の夏休みでした──。  その日は、父は仕事に出かけ、母は買い物に出ていたので、ラジオから流れてくるサマーソングを口ずさみながら、マンガ本を読んで、…

神永学
4か月前
18

怪盗探偵山猫 物語案

「怪盗探偵山猫」再始動に向けて、物語の叩き台3案アップしました。 どのパターンがいいか、コメントなどお待ちしています。 継続verこれまでの流れを踏襲した物語の展開…

神永学
4か月前
25

でぃすぺる

本日、紹介する本は、今村昌弘先生の「でぃすぺる」です。 あらすじ最後の夏休みを終えたユースケは、自分のオカルト趣味を注ぎ込むために、新聞係に立候補する。 思う存…

神永学
4か月前
7

アリアドネの声

アリアドネの声 さて、本日紹介する本は、井上真偽先生の「アリアドネの声」です――。 巨大地震が発生――。 ほとんどの人が避難する中、一人の女性が地下施設の危険地…

神永学
4か月前
11

恋愛成就の確率

ぼくが、ノックしようとしたとことで、ちょうどドアが開き、中から人が出て来た。 あまりに突然のことに、思わず「わっ」と声を上げ、尻餅を突いてしまった。 「大丈夫で…

神永学
5か月前
45

テスト投稿

テスト投稿です。 猫の肉球は、特に意味はありません。

神永学
5か月前
9
マガツキ 冒頭限定公開

マガツキ 冒頭限定公開

2024年3月25日発売の神永学さんの小説『マガツキ』の第一話を、発売に先駆け無料公開いたします!
 『マガツキ』は、人の身体を欲しがる「それ」と呼ばれる怪異の正体を探るホラーミステリー小説です。無料公開は4月25日までの期間限定。ぜひ、SNSなどでも拡散いただけるとありがたいです。

***

第一話「それ」

それ──は知らぬ間に、あなたに近付いて来る。
それ──に訊かれても、答えてはいけない

もっとみる
悪魔に墜ちた男

悪魔に墜ちた男

※「悪魔と呼ばれた男」のネタバレを含みます。
※「悪魔を殺した男」初版限定に付属したショート・ストーリーです。

     1

 穴を掘った――。

 スコップを地面に突き立て、土を掻き出す。

 汗が滴り落ちる。

 筋肉が張って、持っているスコップが異様に重く感じられた。

 本当は人の背丈ほどの深さの穴を掘りたかったのだが、もうどうでもよくなった。表面上見えなければ、見つかりっこない。

もっとみる
魔女

魔女

※小説現代に掲載された「悪魔と呼ばれた男」のスピンオフショートストーリー。
※「悪魔と呼ばれた男」のネタバレを含みます。

1

 天海は、ノックしてからドアを開けた。
 白い壁に囲まれた部屋の中央に、阿久津は座っていた。
 窓のある方に顔を向け、差し込む光に目を細めるその姿は、とても穏やかな空気に包まれている。
「ご無沙汰しています」
 天海が声をかけると、阿久津がゆっくりとこちらに顔を向けた。

もっとみる
悪魔の預言者

悪魔の預言者

悪魔の預言者※本作品は、2020年11月29日『STORY LIVE Special』(三省堂書店池袋本店開店5周年記画)にて朗読、一部書店にて配付されたものを加筆・修正したものです。
※小説「悪魔と呼ばれた男」シリーズの特別ショートストーリーです。
※「悪魔と呼ばれた男」のネタバレを含みます!!

1 

 苦しい──。
 首に食い込んだロープが、ぎりぎりと気道を絞め上げていく。
 何とかロープ

もっとみる
七十四秒の旋律と孤独

七十四秒の旋律と孤独

これは、とんでもないSF小説が誕生しました!!


私、個人的には、フィルップ・K・ディックを初めて読んだときのような衝撃を受けました。

本作は、創元SF大賞短編賞を受賞した、表題作の「七十四秒の旋律と孤独」と、同一の世界観の中で描かれた「マ・フ クロニクル」の二部構成になっています。

短編の「七十四秒の旋律と孤独」は、ワープ航法を行った際に生じる空白の七十四秒間を舞台に、無防備になった

もっとみる
鬼妃 ~「愛してる」は、怖いこと~

鬼妃 ~「愛してる」は、怖いこと~

さて、本日紹介する本は、鉈手璃彩子先生の『鬼妃 ~「愛してる」は、怖いこと~』です――。

本作はカクヨムweb小説コンテストホラー部門の特別賞受賞作です。

最近、カクヨムを始めとしたweb小説出身の作家が、もの凄く増えて来ましたね。

賛否あると思いますが、私個人的には、本当に素晴らしいことだと思っています。

デビューのチャンネルが増えることで、作品の幅が広がりますし、普段、読書をしない人

もっとみる
君のクイズ

君のクイズ

さて、本日紹介するのは、小川哲先生の「君のクイズ」です――。

これはとんでもない作品です!!
さすが日本推理作家協会賞受賞作品!!

あらすじ

何が、そんなに凄いのかは、あらすじを読んで頂ければ分かると思います。
生放送のクイズ番組「Q-1グランプリ」に出場したクイズプレイヤーの三島怜央。優勝者が決まる最終問題で、対戦相手の本庄絆が、まだ一文字も問題が読まれていないうちに回答ボタンを押し、正解

もっとみる
名探偵じゃなくても

名探偵じゃなくても

本日紹介する本は、小西マサテル先生の「名探偵じゃなくても」です――。

本作は、以前にブログで紹介した「名探偵のままでいて」の待望の続編。
前作の紹介は、コチラから↓

ブログで紹介した縁で、小西マサテル先生からサイン本を頂いてしまいました。
小西マサテル先生、ありがとうございます!!

あらすじ小学校教師の楓の祖父は、幻視や記憶障害を伴うレビー小体型認知症を患い、介護を受けながら暮らしていた。

もっとみる
掌編小説「夏の日の幽霊」

掌編小説「夏の日の幽霊」

 小学校五年生の夏休みでした──。
 その日は、父は仕事に出かけ、母は買い物に出ていたので、ラジオから流れてくるサマーソングを口ずさみながら、マンガ本を読んで、ベッドの上でゴロゴロしていました。
 そのうち眠気に襲われて、ウトウトし始めました。
 どれくらい時間が経ったのでしょうか? 私は、ミシッと床が軋む音で目を覚ましました。
 起き上がろうとしたのですが、どういう訳か、身体が動きません。
 金

もっとみる
怪盗探偵山猫 物語案

怪盗探偵山猫 物語案

「怪盗探偵山猫」再始動に向けて、物語の叩き台3案アップしました。
どのパターンがいいか、コメントなどお待ちしています。

継続verこれまでの流れを踏襲した物語の展開――。

概要

 大学の名門野球部に所属する翔太だったが、成績が振るわず、上級生たちにパシリとして使われる日々を送っていた。
 スポーツ推薦で大学に入学しているため、部活を辞めるわけにもいかず、ただ耐え忍ぶ日々だった。
 そんなある

もっとみる
でぃすぺる

でぃすぺる

本日、紹介する本は、今村昌弘先生の「でぃすぺる」です。

あらすじ最後の夏休みを終えたユースケは、自分のオカルト趣味を注ぎ込むために、新聞係に立候補する。
思う存分、怖い話を新聞の掲示板に書けると思っていたのだが、なぜか真面目な学級委員長であるサツキも、新聞係に立候補した。
そこに転校してきたばかりの少女、ミナも加わり、三人で「七不思議」について調査を開始することになる。
優等生であるサツキが、「

もっとみる
アリアドネの声

アリアドネの声

アリアドネの声

さて、本日紹介する本は、井上真偽先生の「アリアドネの声」です――。

巨大地震が発生――。
ほとんどの人が避難する中、一人の女性が地下施設の危険地帯に取り残されてしまう。
崩落と浸水で、救助隊の侵入が不可能な上に、取り残された女性――中川博美は、目が見えず、耳も聞こえず、話すこともできないという、三つの傷害を抱えていた。
そんな彼女を救う役目を担うことになったのは、兄を事故で亡く

もっとみる
恋愛成就の確率

恋愛成就の確率

ぼくが、ノックしようとしたとことで、ちょうどドアが開き、中から人が出て来た。
あまりに突然のことに、思わず「わっ」と声を上げ、尻餅を突いてしまった。

「大丈夫ですか?」

中から出て来た学生らしき青年は、ぼくに手を差し出してくれた。

中性的な顔立ちで、男性アイドルと見紛うほどのルックスをしているのに、寝癖だらけの髪のせいで、全部を台無しにしている。
それでも、ぼくなんかよりは、ずっとかっこいい

もっとみる
テスト投稿

テスト投稿

テスト投稿です。
猫の肉球は、特に意味はありません。