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アリアドネの声

アリアドネの声

さて、本日紹介する本は、井上真偽先生の「アリアドネの声」です――。

巨大地震が発生――。
ほとんどの人が避難する中、一人の女性が地下施設の危険地帯に取り残されてしまう。
崩落と浸水で、救助隊の侵入が不可能な上に、取り残された女性――中川博美は、目が見えず、耳も聞こえず、話すこともできないという、三つの傷害を抱えていた。
そんな彼女を救う役目を担うことになったのは、兄を事故で亡くした後悔を抱えた青年、ハルオだった。
ハルオは、災害救助用のドローンを使って、目も耳も利かない中川誘導するという、前代未聞のミッションに挑むのだった……。

と、あらすじを読んだだけで、面白そうでしょ!!

災害救助を扱った作品は、これまで幾つもありましたが、本作は、そうしたジャンルを超越した面白さがあります。

何せ、浸水や余震など、予測不能なトラブルが断続的に発生する中、たった一機のドローンで挑むという展開は、斬新でありながら、抜群の緊張感を生み出しています。

しかも、要救助者が、目も見えず、耳も聞こえず、喋ることさえ出来ない――。

そんな人をドローン一機で救おうとするのですから、これは一筋縄にはいきません。

「え? この状況どうすんの?」

と、読みながら何度かフリーズしてしまいました。

ネタバレになるので、多くは語りませんが、絶体絶命の状況を切り抜ける方法として、「そう来たか!」と、思わず膝を打つようなアイデアが満載なのです。

いや、よくこれ考えついたな!! と読んでいて感心しきりでした。

それだけでなく、兄が事故で亡くなったことに、責任を感じているハルオ――。
彼の抱える後悔は、否応無しに今回の任務と重なり、心情的にも作品を盛り上げていきます。

でもね――。

この作品の凄いところは、それだけではないのです。

最初に、この作品はジャンルを超越した面白さがある――と書きました。
その意味は、ラストまで読んで頂ければ分かると思います!!

「そういうことだったのか……」と、ラストで衝撃の真実に気付かされます。

ミステリーランキングを席巻する訳です。

これを書いてしまうと、ネタバレになるので、これ以上は敢えて書きません。
心震える感動のラストを、是非、読んで確かめてください!!



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