神永学

小説家 1974年山梨県生まれ。2004年「心霊探偵八雲」でプロデビュー。 「心霊探偵…

神永学

小説家 1974年山梨県生まれ。2004年「心霊探偵八雲」でプロデビュー。 「心霊探偵八雲」「怪盗探偵山猫」「悪魔と呼ばれた男」「浮雲心霊奇譚」などシリーズ作品の他に、「ラザロの迷宮」「ガラスの城壁」など多数の作品を手がける。

最近の記事

悪魔に墜ちた男

※「悪魔と呼ばれた男」のネタバレを含みます。 ※「悪魔を殺した男」初版限定に付属したショート・ストーリーです。      1  穴を掘った――。  スコップを地面に突き立て、土を掻き出す。  汗が滴り落ちる。  筋肉が張って、持っているスコップが異様に重く感じられた。  本当は人の背丈ほどの深さの穴を掘りたかったのだが、もうどうでもよくなった。表面上見えなければ、見つかりっこない。  これくらいでいいだろう。  おれは、スコップを地面に突き立てると、その場に座

    • 魔女

      ※小説現代に掲載された「悪魔と呼ばれた男」のスピンオフショートストーリー。 ※「悪魔と呼ばれた男」のネタバレを含みます。 1  天海は、ノックしてからドアを開けた。  白い壁に囲まれた部屋の中央に、阿久津は座っていた。  窓のある方に顔を向け、差し込む光に目を細めるその姿は、とても穏やかな空気に包まれている。 「ご無沙汰しています」  天海が声をかけると、阿久津がゆっくりとこちらに顔を向けた。 「久しぶりですね」  阿久津が笑みを浮かべる。  天海は、一瞬だけ表情を緩めて

      • 悪魔の預言者

        悪魔の預言者※本作品は、2020年11月29日『STORY LIVE Special』(三省堂書店池袋本店開店5周年記画)にて朗読、一部書店にて配付されたものを加筆・修正したものです。 ※小説「悪魔と呼ばれた男」シリーズの特別ショートストーリーです。 ※「悪魔と呼ばれた男」のネタバレを含みます!! 1   苦しい──。  首に食い込んだロープが、ぎりぎりと気道を絞め上げていく。  何とかロープを外そうと爪を立てたが、付け爪が剝がれただけで、ロープを外すことはできなかった。

        • 七十四秒の旋律と孤独

          これは、とんでもないSF小説が誕生しました!! 私、個人的には、フィルップ・K・ディックを初めて読んだときのような衝撃を受けました。 本作は、創元SF大賞短編賞を受賞した、表題作の「七十四秒の旋律と孤独」と、同一の世界観の中で描かれた「マ・フ クロニクル」の二部構成になっています。 短編の「七十四秒の旋律と孤独」は、ワープ航法を行った際に生じる空白の七十四秒間を舞台に、無防備になった宇宙船を守るアンドロイドを描いた作品です。 時間が制止していて、生物が知覚出

        悪魔に墜ちた男

          鬼妃 ~「愛してる」は、怖いこと~

          さて、本日紹介する本は、鉈手璃彩子先生の『鬼妃  ~「愛してる」は、怖いこと~』です――。 本作はカクヨムweb小説コンテストホラー部門の特別賞受賞作です。 最近、カクヨムを始めとしたweb小説出身の作家が、もの凄く増えて来ましたね。 賛否あると思いますが、私個人的には、本当に素晴らしいことだと思っています。 デビューのチャンネルが増えることで、作品の幅が広がりますし、普段、読書をしない人も、web小説きっかけで本を読むようにる――なんてこともあります。 何より、埋

          鬼妃 ~「愛してる」は、怖いこと~

          君のクイズ

          さて、本日紹介するのは、小川哲先生の「君のクイズ」です――。 これはとんでもない作品です!! さすが日本推理作家協会賞受賞作品!! あらすじ 何が、そんなに凄いのかは、あらすじを読んで頂ければ分かると思います。 生放送のクイズ番組「Q-1グランプリ」に出場したクイズプレイヤーの三島怜央。優勝者が決まる最終問題で、対戦相手の本庄絆が、まだ一文字も問題が読まれていないうちに回答ボタンを押し、正解してしまう。 本庄絆の優勝でQ-1グランプリは幕を閉じるのだが、不可解な状況によ

          君のクイズ

          名探偵じゃなくても

          本日紹介する本は、小西マサテル先生の「名探偵じゃなくても」です――。 本作は、以前にブログで紹介した「名探偵のままでいて」の待望の続編。 前作の紹介は、コチラから↓ ブログで紹介した縁で、小西マサテル先生からサイン本を頂いてしまいました。 小西マサテル先生、ありがとうございます!! あらすじ小学校教師の楓の祖父は、幻視や記憶障害を伴うレビー小体型認知症を患い、介護を受けながら暮らしていた。 だが、楓が身の回りで生じた謎について話して聞かせると、祖父の知性はかつての輝きを

          名探偵じゃなくても

          掌編小説「夏の日の幽霊」

           小学校五年生の夏休みでした──。  その日は、父は仕事に出かけ、母は買い物に出ていたので、ラジオから流れてくるサマーソングを口ずさみながら、マンガ本を読んで、ベッドの上でゴロゴロしていました。  そのうち眠気に襲われて、ウトウトし始めました。  どれくらい時間が経ったのでしょうか? 私は、ミシッと床が軋む音で目を覚ましました。  起き上がろうとしたのですが、どういう訳か、身体が動きません。  金縛りにあったのとは少し違います。頭の奥の方で、「起きてはいけない」と、もう一人の

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          怪盗探偵山猫 物語案

          「怪盗探偵山猫」再始動に向けて、物語の叩き台3案アップしました。 どのパターンがいいか、コメントなどお待ちしています。 継続verこれまでの流れを踏襲した物語の展開――。 概要  大学の名門野球部に所属する翔太だったが、成績が振るわず、上級生たちにパシリとして使われる日々を送っていた。  スポーツ推薦で大学に入学しているため、部活を辞めるわけにもいかず、ただ耐え忍ぶ日々だった。  そんなある日、先輩から新宿の歌舞伎町での荷物の受け渡しをするように言われる。  明らかに薬

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          でぃすぺる

          本日、紹介する本は、今村昌弘先生の「でぃすぺる」です。 あらすじ最後の夏休みを終えたユースケは、自分のオカルト趣味を注ぎ込むために、新聞係に立候補する。 思う存分、怖い話を新聞の掲示板に書けると思っていたのだが、なぜか真面目な学級委員長であるサツキも、新聞係に立候補した。 そこに転校してきたばかりの少女、ミナも加わり、三人で「七不思議」について調査を開始することになる。 優等生であるサツキが、「七不思議」に興味を持ったのは、一年前に殺害された従姉妹のマリ姉の死の真相を突き止

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          アリアドネの声

          アリアドネの声 さて、本日紹介する本は、井上真偽先生の「アリアドネの声」です――。 巨大地震が発生――。 ほとんどの人が避難する中、一人の女性が地下施設の危険地帯に取り残されてしまう。 崩落と浸水で、救助隊の侵入が不可能な上に、取り残された女性――中川博美は、目が見えず、耳も聞こえず、話すこともできないという、三つの傷害を抱えていた。 そんな彼女を救う役目を担うことになったのは、兄を事故で亡くした後悔を抱えた青年、ハルオだった。 ハルオは、災害救助用のドローンを使って、目

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          恋愛成就の確率

          ぼくが、ノックしようとしたとことで、ちょうどドアが開き、中から人が出て来た。 あまりに突然のことに、思わず「わっ」と声を上げ、尻餅を突いてしまった。 「大丈夫ですか?」 中から出て来た学生らしき青年は、ぼくに手を差し出してくれた。 中性的な顔立ちで、男性アイドルと見紛うほどのルックスをしているのに、寝癖だらけの髪のせいで、全部を台無しにしている。 それでも、ぼくなんかよりは、ずっとかっこいい。 ぼくも、こういう容姿で生まれてくることが出来たなら、人生が少しは楽しくなった

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          テスト投稿です。 猫の肉球は、特に意味はありません。

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