違い　#100文字の世界

小１三男、初めての子どもキャンプに参加。送られた写真見て母、暑くないか、疲れていないか、思ったより木陰があることに安心する。同じ写真見て父、「ここでも独りぼっちか？」と。見るところのなんと違うことよ。

熱い味噌汁 #100文字の世界

息子が熱い味噌汁をすすっている
ずずずと空気を含み
静かに流れ込む
はあ、と漏れた息が
立ちのぼる湯気と混ざる

17年間
私の作る味噌汁を体に染み渡らせた人よ

よそゆきでない
日々の生活そのものの味のする私の味噌汁を

100円ショップの会計に
クラッカー、バルーン、ろうそくと
御霊前袋を差し出すと
「こちらは間違えではありませんか？」
とレジのお姉さん
「あ、間違いじゃありません」
今夜は息子の誕生日
明日はお葬式

いびつな世界 #100文字の世界

保育園で 2児が陽性者ついに
息子も濃厚接触者
初めて目にする検査キッド
翌日、夫は大切な人の葬儀に出られなかった
私は友が気にしないと言うので
カラオケに行った

なんだかいびつなこの世界
未だにいびつと言うべきか

イタドリ #100文字の世界

春の土手
にょきっにょきっと せいめいりょく
遺憾なく見せつけるお前らの
勢い漲る先っちょをかっさらい
食べてやりたい衝動に駆られる
下処理の面倒くささを乗り越えて
今年はついに食卓へ
なんと手間のかかる0円食材！

長唄の翁 #100文字の世界

道端のベンチにて
長唄吟ずる翁あり
マスク通して　のびやかな
腹から発する　声響き
辺りの空気を震わせる
横切る人が驚き見るも
人通るごときが歌を止める理由になるものか
そういう自由を本来は　皆が持つのだ
皆、気づけ

とある元父、ひとり　＃100文字の世界

訳あって家族と別れ
古いアパートの一階に一人
この春に越してきた二階から
ギシギシミシミシ
夜も昼も眠れない
文句の１つもと思ったけど
二人の女子大生と聞き
不思議とうるささが遠退いた
同じ年の娘あり

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「とある元夫婦」と同じく、人から聞いたノンフィクションです。

この＃100文字の世界を「つぶやき」で作るとちょうど100文字だったのですが、「テキスト」にコピ

とある元夫婦　＃100文字の世界

元夫と元妻が地元のスーパーで鉢合わせ
「貸してみな」
元妻は元夫のカゴにある3品を
自分の山盛りのカゴと一緒に支払う
「あら今日はご夫婦お揃いで」
二人は互いを指差し「他人」と答える
口もきかず店を出て別れる二人

ママとは違う　＃100文字の世界

女の子は3日後に4歳だった。
初対面の私を「先生」と呼び、
礼儀を知り、器用に遊び、
人懐こい笑顔で瞬時に取り入る。
ふと
貸してあげたタオルハンカチに刺繡された熊を見て、
「あっ、熊さん笑ってる。ママとは違う」

やさしい気持ち　＃100文字の世界

「なけない女のやさしい気持ちを
あなたがたくさん知るのよ」
charaの歌詞に昔 共感していた

私のやさしさはきっぱりしてはいない
ふにゃふにゃした類いのものだ
そんなやさしさを好きだと言ってくれる人もいるのだ

ほんとうは嫌いではないのだ　＃100文字の世界

洗濯干しに皿洗い…単純作業の家事たちよ

私はおまえたち自体を嫌っているのではない

おまえたちが私の生活時間を圧迫し、

常に時間に追い立てることのみを嫌うのだ

1日48時間くれるなら　おまえたちに没頭するだろう

わたげに出会う　＃100文字の世界

息子4歳が目を見張る。
「タンポポが もう咲いてなくなって こんなんなっちゃった！」

「あ、わだげ！風にのって空を旅するよ」

「へぇ！
…で、クラゲだっけ？」

クラゲとわたげ、音もあり様もなんとなく似ているね。