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2学期の学級経営を見通そう:子どもの成長と自己調整力を育む指導法

二学期のこの時期は、子供たちの成長からすると本当に油が乗ってくるというか、これまで4月からの積み上げてきたものが開花してくるような時期でもあるような気がします。

二学期の締めくくりは、子供たちのアクセルをかなり付加した状態で、成長した自分たちを実感していく時期にしていくといいんじゃないかと思います。

今回は成長の勢いがかなりついてきているクラスにおいての注意点についてお話をさせていただきたいと思います。


上がれば下がる:子どものバイオリズム

「上がれば下がる、下がれば上がる」というのは、子供たちのバイオリズムの中で動いているということをこの連載でたくさんお伝えしてきたところです。9月、10月ごらいで一旦行事がたくさんあって、その行事に向かって団結して非常に熱くなる、熱くさせられるということがあります。それが疲れが溜まって11月ちょっと落ち込んでしまうという11月危機と言われるようなものが発生します。

それを乗り越えたクラスが、かなり加速していくという状態になります。11月末とか12月にそういうことがあり得ます。皆さんも学級経営がうまくいっているようなクラスはそういうふうになっているんじゃないでしょうか。

そういう子供たちに対しては、子供達の意欲も高まっており、いろんなことに取り組もうという意欲が大きくなっているというのはとても素晴らしいことです。それはそれで認めてあげたいところなんですけれども、反対に「上がれば下がる」の構造はここでもやっぱり起こってくるんです。

9月、10月は上げられるというか、教師が上げることによって子供たちは意欲的ではなかったかもしれないが、行事に向かってたくさん頑張って進んできました。それが終わって11月ちょっと休憩して、11月末から12月にかけてまたアクセルが踏み込まれていく。子供たちの学びのスピード、意欲、姿勢というものが勢いに乗ってくる時期というのが来るはずです。


11月にイベント×2やるよ!


外発から内発へ

ここは今度は、9月10月の外側からの外発によって上がるというよりは、もう自分たちの意欲、内発的な動機付けによって自分たちの学習活動というものを加熱していくというような違いがあったりするわけです。

そこで大切なのは、エネルギーの発生源が外からか内側からかという違いはあるとはいえ、子供たちのやる気が爆発してマックスで高まっていくという状況を見た時に、これは下がることも織り込み済みであるかということを確認したいわけです。

過度な頑張りの落とし穴

なぜこれを言うかというと、数年前に持っていた5年生のクラスで、本当に勉強も宿題もやる気満点で、めちゃくちゃ頑張ってノートも何ページも書いていました。宿題ノートを毎日何ページも、最低でもクラスの子供たちの中で3ページとか4ページ書いていました。多い子だったら本当に毎日10何ページくらいのレベルでやってくるという勢いがついた年がありました。

そこで僕も教師として嬉しいですから、どんどんいけというふうにやったんです。そうすると何が起こったかというと、3学期に入った瞬間、冬休みを挟んで3学期になった瞬間、ものすごくやる気が萎んでしまったんです。もう2学期の末にやり切っちゃった感が出てしまって、3学期の起動が非常に遅くなったというか、苦労したという年がありました。

ここで子供達も経験したし、僕もすごく学んだんです。子供たちのキラキラしたエネルギーが爆発的に発生するという瞬間というのはとても素晴らしいことなのですが、一方でその爆発というものにはいつか終わりが来て、その終わりが来た瞬間にかなり自分が萎縮し、その萎縮した自分をマネジメントできなくなり、しんどい時期が続いてしまうということを引き起こしかねないわけです。

例えば、授業ですごく油が乗ってくると、もう休み時間のチャイムが鳴って休み時間が始まってもなお勉強している子というのは出てくることがあるんです。そういう時に言うのは「休みなさい」ということです。強制で必ず休みなさいということを言うようになりました。

休み時間までやるという意欲やエネルギーはものすごく素晴らしいことなのですが、逆にそれをコントロールするというか、休む時はしっかり休んで自分で切り替えをして次のチャレンジ、つまり5分休んでまた45分始まるわけですから、そこでしっかり休憩をするという休息を、そこでは努力を、前向きな活動というのも一旦止める、意図的に止めるということもまた大事だよという話をしていました。

アクセルとブレーキの使い分け

これは脳でのハンドル、というかブレーキとアクセル、アクセルに近いですけれども、これをしっかり自分で使い分けられるような学習者ということを目指してもいいんじゃないかと思うわけです。自己調整学習者というのを考えた時に、アクセルが踏めるのはとても素晴らしいことですが、止まれないとか、もうエンジンがオーバーヒートしてエンジンが焼けてしまって、エンジンが動かなくなるからやむを得ず止まってしまうみたいなことでしかそのエネルギーを収めることができないというのは、またそれはそれで危険なんです。

だからそういうバランスを、2学期アツい学びを引き起こしていこうと思うほど、その辺も見据えて子供達にちょっと語ってあげるというのは、また一段レベルアップするような手立てにはなるんじじゃないかというふうに思います。

つまりは波打っていたいわけです。過度に上がって急に下がってということを繰り返すというのはしんどいですから、そのアップダウンが激しすぎるとしんどいので、いかにそれを自分のコントロールの中で収めて、上がったり下がったりということを自分なりに繰り返すことができるかという話です。

車もそうしているじゃないですか。アクセルを踏み込んでスピードを上げる時と、そのアクセルを離して進む時期と、もしくはブレーキを踏んで止まる時間というのが交互に訪れているわけです。それで長期で走れるわけじゃないですか。それと本当に同じで、いつアクセルを踏んでいつブレーキを踏んで、その使い分けというのを自分はできるかなということを、2学期後半あたりの子供達には語っていきたいと思います。

教師のゆるアツから子どもたちのゆるアツへ

僕の発信では、教師がゆるとアツを使い分けてあげようという視点で語ってきたことが多いです。こういう時はゆるい対応をしましょうとか、ここはアツく語りましょうとか、教師のあり方として話してきました。

この1年の前半の時期というのはそれでよかったと思います。でも2学期も後半になり、3学期を見据えた段階では、このゆるアツのバランスをいかに子供達一人一人がコントロールできるようになるかという視点で教室を一旦見ておきたいと思います。

冬休みのチャレンジ

ちょっと話は変わりますけれども、ここまで来るとやっぱり冬休みの過ごし方ですね。ここを子どもたちに見据えて生活するということを促していきたいわけです。

もう学校がなくなったから何もかもやるべきことから解放されて自由だというようなことでは困るわけです。学校がないからこそ、学校がない中でこの学級、一学期、二学期で培ってきたものがあなたの生活を支えられるかということがチャレンジとして設定できるわけです。

そういう風に指導としても見ていきたいわけです。こういうことを語れるような指導になっているかということです。この学級で培ってきたこの力、この意識というものが、学校がなくなってその世界、冬休みの2週間の世界において、あなたを支え進めるような力になるか、スキルになるかということを君たちは意識してねということを、学期末に語れるような指導を心がけたいわけです。

そして、そのチャレンジとして冬休みを使うわけです。つまり学校がなくなっても全ての自分のスケジュールを自分で管理するというような世界において、自分で自分を動かすことができるだろうか。もしくは学級で習ってきた、学習してきた、練習してきたこの能力というものは、学校がなくなっても自分がそれを使いこなすことができるかなという視点で、一旦チャレンジしたいわけです。

3月に向けての布石

これは3月期末への布石にもなるわけです。3月末で今回は学級はかなりうまくいって、というか前向きに前進して前向きなクラスが出来上がってきたという前提で話していますけれども、そうなった時に学期末ですね。「このクラスじゃないとやだ」とかいうことを言い出すシーンが見られます。この時に同じことを言うわけです。

冬休みの前に語ったことを思い出してね、ということです。このクラスで練習してきたことはいつが本番ですか?と言ったら、このクラスが終わった時が本番ですねということです。ということは、このクラスが終わったこの瞬間、君たちはやっと本番に出かけるんだよということです。

この1年間での学びというものが、あなたを進め支え前に進ませてくれるようなスキル、道具として獲得できたかというのは、もうこの次のクラスで、先生が変わって友達も変わって教室も変わった時になお駆動するものであれば成功だし、そこでも何もかも忘れて前が良かった、前じゃないと何もできないということだったら、この1年で学んだことというのはなかなか厳しいというか、望ましくないような姿になっちゃうよねということを、3月ぐらいには語るんですけれども、それの布石ですね。

学校が終わって学校がない中で、自分で自分をコントロールしたりとか自分を動かしたりするための力として、この学校で使ってきたもの、培ってきたものを是非発揮しようねみたいな感じで冬休みに入るとよいんじゃないかと思います。

だから宿題のあり方とかも、本当にプリントばかりやらせるとかいうことではなくて、本当にご自身のクラスを振り返っていただいて、まずは教師がその一学期、二学期の中で何が子供たちの中にできるようになっているのかということは明確に見えているかということを、指導の反省としては見たいところです。

教師の役割と自己反省

ここで教師がそういうことをもう語れないというか、こういうことを語りましょうねと言った時に何を話していいかわからないとなるんだったら、これは指導者側として反省なんです。

そういうこと、つまり学校がなくなって冬休みにこういう力で、これを冬休みに発揮しましょうねということが語れないのであれば、やはり「何ができるようになるか」というところまで育てなければならないとなっている今の日本の教育の中で、そこがまだまだ不十分だということになると思います。(コロナでの一斉休校でその改題は日本全国の学校が痛感したはずです)

なので、まず教師として冬休みでこれだよ、これを君たち練習してきたよね、それを冬休みでも先生がいない中でも友達がいない中でも、家族がいろんなこと言う中で、このスキルが君たちを支えられるかどうかというチャレンジをさせてあげられるだけの学びというものが、積み上がってきたかということも一旦見ておきたいところです。

可能ならそういうことを語っていただきたいという感じで冬休みに入っていただくと、子供たちに意欲的に、目当てを持って、こういうことをするんだということで2週間走り切れるという姿が見られるんじゃないかと思います。

こういうことを見通しながら、2学期の指導にあたっていくと、いいのではないかな、というお話でした。

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