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asami_kun
2021年12月31日 20:15
七「さてどうするかね。このままチカムリオまで行くかね」「いえ、すみませんが、あの公園に戻って下さい。できるならもう一度、始めからやり直したいんです」「ふむ。私もそれに賛成だ。人生はいつでも、何処からでもやり直しがきくものだ。あのときは言わなかったが、一人一人の人生は不確定要素が多くてね。実に変化に富んでいるのだ。まあ、このへんのことになると理論的には少し難しいんだが。不確定性原理という
2021年12月19日 16:04
「では、あのときどうしても見ることのできなかった、僕の未来の続きもあり得るというのですか?僕は何となく自分の未来があれ以上ないと・・・つまり、寿命があそこまでだと思っていたのですが」紳士は微笑を浮かべた。その口元がバックミラーに映っている。「ふふ、そんなことを心配していたのかね。まあ、自分の未来の一部を垣間見るという不思議な体験をすれば、誰しもそのとき見た通りの生き方をしてしまうものだろう
2021年12月11日 08:26
過去回りの旅私は車窓に顔を押し付けるようにして、外の景色が見え始めるのを待った。今はまだ深い霧のため何も見えないが、やがてそこに自分の過去の光景が映り始めることを知っていた。私は紳士に尋ねた。これから残された時間がどのくらあるのかわからないが、この人物には、いろいろと聞いておきたいことがあるのだった。「そういえば、僕たちのほかにも、これに乗った人々がいるんでしたね」紳士は私の質問に
2021年11月17日 23:29
そうだ。僕たちはこの公園で何かを待っていたんだ。 そして、そこに現れたのは1台の黒いタクシーだった。 そう、運転手のおじさんには悪いことをしたけれど、皆でメモしておいてよかったと思う。本当に不思議なことだが、僕たちはあの体験に関してほとんど何も覚えていなかった。 キヨシは催眠術にかけられたのだと言ったが、そうかもしれない。 紙切れは、キヨシが着ていたジャンパーのポケットから落ちたもので
2021年11月11日 16:45
(前回までのあらすじ)僕とキヨシとユミは幼馴染で大の仲良し。ある日、秘密の通り道で紫色に輝く不思議な切符を拾ったのがきっかけで、怪しいタクシーに乗って時空を超える旅にでることになった・・・。「うむ。少し脇道にそれてしまったようだな、本題に戻ろうか。”無”に関する話だったね。」「宇宙と宇宙がくっついている話だったわ」「君たちは箱の中の住人ゆえ、箱に関しては詳しいことだろう。だが、どう頑
2021年10月29日 13:52
(前回までのあらすじ)僕とキヨシとユミは小学校の同級生。ある日、秘密の抜け道で紫色に輝く切符を拾ったことから、夜明け前の公園で不思議なタクシーに乗り、時間と空間を超えた旅をすることになった・・・。宇宙の旅「あっ、見て!」「星だ!」「あれは何?」「星雲だ!」真っ黒い巨大なトンネルの中心部から、大小の星々や星雲が次々と現れてきた。そして、現れたかと思うと、次の瞬間には僕たちの横をすご
2021年10月9日 10:29
腕時計はちょうど午前4時を示していた。まさにあの時と同じ場所、同じ時刻にそれは出現したのだ。 私はおぼつかない足取りで車に近寄り、おそるおそる中を覗き込んだ。すると、ドアーが音もなく開いた。私は覚悟を決めて中に入った。そして、はやる心を懸命に押さえつけながら次の瞬間を待った。運転席には、普通のタクシーの運転手が被るような、白いカバー付きの帽子を頭に載せた紳士が座っていたが、車内は薄暗く、