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ファンタジー

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ずいぶん昔に書きかけたファンタジーに手を加えて完成させました。 3人の子供が不思議なタクシーに乗って時空を超えて旅をする物語です。 読んでいただけたら嬉しいです。
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記事一覧

チカムリオ 誕生秘話その②

チカムリオ 誕生秘話その②

「チカムリオ」が完成し、全文をNoteに掲載し終わった時点で、僕はそのことを親友O君に報告しました。

彼は中学時代の同級生で、『僕が出会った風景、そして人々②』に登場する、舎人での生活を共にした友人でもあります。

以前、「チカムリオのお話」という記事でも書きましたが、そもそも、この物語は、ずいぶん若い頃にО君と夜更けの井の頭公園をさまよい歩いていた最中に、ふと思いついて僕が語り始めたものでし

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チカムリオ 誕生秘話

チカムリオ 誕生秘話

「チカムリオ」について、少しお話ししたいと思います。

「チカムリオ」は、僕が学生時代から、少しずつ書き溜めてきたファンタジーです。ストーリーは、ジュンとキヨシとユミという3人の小学生が、謎の紳士が運転するタクシーに乗って、時空を超え、めくるめく不思議の世界を旅するというものです。

その後、3人は成長してそれぞれの道を歩みますが、30年後のある日、よれよれの四十男になったジュンはふたたびそのタク

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「チカムリオ」詩編

「チカムリオ」詩編

     
チカムリオ

ひとり
酔いどれてさ迷い歩き たどり着く真夜中の公園
ふと目覚めれば深い霧 人の姿もなく
(アア、ワタシニハナニモナイ)
音もなく
(アア、モハヤナニモナイ)
あるのはただあまりに深い後悔の念

とその時

霧の中より浮かびあがる漆黒のTaxi
驚き、よろめき、歩み寄り、
音もなくひらくDoor

「どちらまで?」

「いったい何処へ?」
私は途方に暮れて立ちすくむ
「で

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チカムリオ(その⑩最終回)

チカムリオ(その⑩最終回)



「さてどうするかね。このままチカムリオまで行くかね」

「いえ、すみませんが、あの公園に戻って下さい。できるならもう一度、始めからやり直したいんです」

「ふむ。私もそれに賛成だ。人生はいつでも、何処からでもやり直しがきくものだ。あのときは言わなかったが、一人一人の人生は不確定要素が多くてね。実に変化に富んでいるのだ。まあ、このへんのことになると理論的には少し難しいんだが。不確定性原理という

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チカムリオ(その⑨)

チカムリオ(その⑨)

「では、あのときどうしても見ることのできなかった、僕の未来の続きもあり得るというのですか?僕は何となく自分の未来があれ以上ないと・・・つまり、寿命があそこまでだと思っていたのですが」

紳士は微笑を浮かべた。その口元がバックミラーに映っている。

「ふふ、そんなことを心配していたのかね。まあ、自分の未来の一部を垣間見るという不思議な体験をすれば、誰しもそのとき見た通りの生き方をしてしまうものだろう

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チカムリオ(その⑧)

チカムリオ(その⑧)

過去回りの旅

私は車窓に顔を押し付けるようにして、外の景色が見え始めるのを待った。今はまだ深い霧のため何も見えないが、やがてそこに自分の過去の光景が映り始めることを知っていた。

私は紳士に尋ねた。これから残された時間がどのくらあるのかわからないが、この人物には、いろいろと聞いておきたいことがあるのだった。

「そういえば、僕たちのほかにも、これに乗った人々がいるんでしたね」

紳士は私の質問に

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チカムリオ(その⑦)

チカムリオ(その⑦)

そうだ。僕たちはこの公園で何かを待っていたんだ。
 そして、そこに現れたのは1台の黒いタクシーだった。
 そう、運転手のおじさんには悪いことをしたけれど、皆でメモしておいてよかったと思う。

本当に不思議なことだが、僕たちはあの体験に関してほとんど何も覚えていなかった。
 キヨシは催眠術にかけられたのだと言ったが、そうかもしれない。
 紙切れは、キヨシが着ていたジャンパーのポケットから落ちたもので

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チカムリオ(その⑥)

チカムリオ(その⑥)

(前回までのあらすじ)
僕とキヨシとユミは幼馴染で大の仲良し。ある日、秘密の通り道で紫色に輝く不思議な切符を拾ったのがきっかけで、怪しいタクシーに乗って時空を超える旅にでることになった・・・。

「うむ。少し脇道にそれてしまったようだな、本題に戻ろうか。”無”に関する話だったね。」

「宇宙と宇宙がくっついている話だったわ」

「君たちは箱の中の住人ゆえ、箱に関しては詳しいことだろう。だが、どう頑

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チカムリオ(その⑤)

チカムリオ(その⑤)

(前回までのあらすじ)
僕とキヨシとユミは小学校の同級生。ある日、秘密の抜け道で紫色に輝く切符を拾ったことから、夜明け前の公園で不思議なタクシーに乗り、時間と空間を超えた旅をすることになった・・・。

宇宙の旅

「あっ、見て!」「星だ!」

「あれは何?」「星雲だ!」

真っ黒い巨大なトンネルの中心部から、大小の星々や星雲が次々と現れてきた。そして、現れたかと思うと、次の瞬間には僕たちの横をすご

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チカムリオ(その④)

チカムリオ(その④)


僕たち3人を乗せたタクシーは静かに走り(?)続けていた。

窓の外は相変わらず濃い霧がかかっていて、まるでミルクの中を進んでいるような感覚だ。
 しかし、窓に顔をぴったりとくっつけるようにして目を凝らすと、霧の中に未来の光景が見えてくるのだ。それも、どうやら自分に関係した未来だけが見えるらしい。
 一度、3人で同じ側の窓から一緒に覗いてみたのだが、見えたものは3人とも違っていた。それで、自然と

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チカムリオ(その3)

チカムリオ(その3)

「さてそれでは、過去回りでいくかね、それとも未来回りにするかね」

(前回のつづき・・・)

この運転手はいったい何を言っているんだろう。
 僕はこの車に乗ったことを次第に後悔し始めていた。

『この人は誘拐犯人かもしれないぞ。きれいな目立つ切符をあちこちに落としておいて冒険好きな子供達をおびき寄せ、誘拐して外国に売り飛ばすつもりなのかも。もしかしたら、あの幽霊屋敷の住人なのだろうか?ああ、やっぱ

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チカムリオ(その2)

チカムリオ(その2)

腕時計はちょうど午前4時を示していた。まさにあの時と同じ場所、同じ時刻にそれは出現したのだ。
 私はおぼつかない足取りで車に近寄り、おそるおそる中を覗き込んだ。

すると、ドアーが音もなく開いた。私は覚悟を決めて中に入った。そして、はやる心を懸命に押さえつけながら次の瞬間を待った。

運転席には、普通のタクシーの運転手が被るような、白いカバー付きの帽子を頭に載せた紳士が座っていたが、車内は薄暗く、

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チカムリオ(その1)

チカムリオ(その1)


まだ夜明け前なので、辺りに人の気配は感じられない。

車の音も時折遠方からかすかに聞こえてくる程度だ。

公園の中は濃い霧に包まれ、街灯の光が淡く漂っている。

私はベンチに腰掛けたまま何度かくしゃみをした。こめかみのあたりが鈍く痛む。
 昨夜はずいぶん酒を飲んだ。つい今しがたまで、ここに腰掛けたまま、しばらく寝込んでしまったようだ。

どうやってここにたどり着いたのだろう?まるで記憶がない。

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